現場からの叫び。今カメラマンが求めるカメラとは?
毎年様々なカメラがリリースされる。筐体のデザインや新しい技術が投入されるが、我々のカメラを探す旅は続く…
映像という分野でカメラは必須である。最近ではデジタルシネマ、DSLRや、高機能な民生機など多種多様にラインナップされている。各メーカーから、様々なカメラが百花繚乱リリースされている。そのカメラ自体が最近面白い。しかしながら、本当に欲しいカメラは、まだ存在しない。新しいカメラを手にとっても、どこか妥協して使っているのが現状である。筆者は街のビデオ屋を標榜し、ミドルレンジと銘打ちカメラで映像を撮る事が生業だ。日々カメラが必須である。自分にとってのカメラを今一度考えてみたい。
今回の特集は、今必要な理想のカメラを追求しつつ、カメラを使う人と機能から紐解く事になった。今回は独断と偏見で、筆者の得意分野であるミドルレンジ視点で2011年現在求められる理想のカメラを掘り起こしてみたい。当然様々な分野の方がカメラを扱っているから、異論、反論も出てくるだろうが、それはご容赦いただきたい。逆に理想のカメラについて、皆さんとさらなる議論ができればと思う。
カメラの要「入力」と「記録」
REDのようなカメラは、実験的で取り扱いは大変かもしれないが、その試みは大いに賞賛したいところ!
カメラマンがカメラについて、押さえなければ、いけない事は何か?幾つもその要素はあるが、大きく分けて二つある。「入力」と「記録」である。まず「入力」について考えてみよう。入力について、真っ先に考えられるのは光の入り口であるレンズだ。さらに必要な入力装置=撮像素子。この二つの物の組み合わせだけでも現状のカメラだけでも相当数な組み合わせが考えることが出来る。単板なのか3板なのか?マウントはどうする?などなど、ここだけでも検証を始めたら終わりは見えない…。
さらに”捕らえる “という入力を考えると、VF(ビューファインダー)がある。せっかくカメラ自体のパフォーマンスが良くても、VFが見づらくてそのカメラそのものを否定されてしまうことは良くある事で、VFの癖を掴む事が新しいカメラを導入したときには真っ先にやるべき事なのである。逆にお気に入りのVFはカメラが変わっても使いたいと考える。
視覚的な物だけではなく、画を切り取るための撮影という所作の部分についても考えなくてはならない。つまりはグリップやハンドリング、ENGタイプなら担いだ時のバランスもそれに当たるだろう。性能だけではなく使いやすさを担保してくれる事も重要な要素だ。特にグリップ部分は指先の細かい動きやカメラのホールディングの為に様々な形状等を求められる。SONY PMW-EX1Rが回転式のグリップを採用したのも特殊撮影カメラマンの意見が採用されという。つまり入力部分というのはカメラマンの五感とカメラ本体が何処まで一体化出来るかと言うのが最も重要な部分だと考えられるはずだ。
次に「記録」部分であるが、これも今や多種多様に存在する。収録メディアはどうするのか?コーデックは?フォーマットは?問題は山積みである。現在、カメラヘッドと記録部分は一体化されているが、一昔前のアナログ時代には、組み合わせて使用する事もあった。絶対的な高画質を求めるならIkegamiのヘッドにβカムレコーダーをマルチケーブル接続、機動性重視ならSONYヘッド+βカムのドッカブルレコーダー、小型で省電力システムならPanasonicのMⅡと組み合わせが定番だった。当時はカメラヘッドと記録部分は別物で、予算と収録体制に合わせ選択する事が当たり前だった。カメラマンにはこの組み合わせのコーディネートを求められた時代でもあった。筆者的にこのシステムは是非復活してもよいと思っている。
それを受けて、「記録」を別視点で考えると外部接続による記録についても押さえておくべきだ。つまりカメラ本体からの出力の事にも目を向ける必要がある。単純に「HD-SDIがあれば良いじゃん!」と言う意見もあるだろうが、さすがにHD-SDIモニターを誰もが持っているモノではないだろう。最近ではメーカーからも小型で安価なHDMI接続モニターと言うのが売られているの。もっといえば、企業VP等でチョットした素材チェックを大人数で見る時に欲しいのはNTSCが出力できる端子(コンポジット)が欲しくなる。ちょっと横にそれてしまった…。
単純にカメラ探ってみただけでもこれだけの要素が出てきた。探れば探るほど奥深いこの世界である。さて、理想のカメラを求めていろいろと考えてみたい。
txt:岡英史 構成:編集部