カメラと写真映像の情報発信イベント「CP+(シーピープラス)2012」がパシフィコ横浜で9日から始まった。12日までの4日間開催される。初日に参加して驚いたことは来場者の多さだ。初日の登録来場者数は11,711人。昨年の初日の登録来場者数は8,835名だったので、約2割ほど増えている。ニコンの「D800」や多数のミラーレスカメラなどの魅力的な新製品の効果だろう。各ブースでは、新製品を体験するための15分や30分という待ち時間の行列ができていた。

キヤノンとニコン

ところで近年のカメラ業界のメーカー数は、縮小傾向にある。有名ブランドでは、コンタックスの京セラ、コニカミノルタ、マミヤ・オーピーなどがカメラ事業から撤退した。ここ1年間を振り返ってみても、ペンタックスはイメージング・システム事業をリコーへ譲渡、コダックの連邦破産法第11章の適用、オリンパスの資本・業務提携の噂など、これからもメーカーの撤退、売却、統合はあっても、増えることはないと思われる。こんなグレーな状態で、今年のCP+もどの程度盛り上がるのか未知数と思われていた。

ところが、実際に開催してみると、ニコンは「D800」、オリンパスが「OM-D」、ペンタックスが「K-01」を開催に合わせて発表してきた。特に、ミラーレスカメラはここ最近元気のなかったカメラ業界の救世主のように見える。カメラメーカーにとっては、従来のデジタル一眼レフカメラ市場を侵食してミラーレス市場を形成拡大しつつあるし、シェアを独占しているメーカーもなく市場に参入しやすい雰囲気もある。ユーザーにとっては、フランジバックの短さを生かして様々なレンズを楽しめたり、NEX-7やGH2など充実した映像記録機能をそなえたカメラの存在も魅力的だ。一眼レフカメラの動画撮影機能も含めて、CP+は映像業界からも無視できないイベントと言っていい。

そんなCP+を映像業界の視点でレポートする今回の特集。まずは、最大面積で出展しているキヤノンとニコンの2社の展示から紹介しよう。

映像機器の展示も積極的に取り入れたキヤノンブース

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プリンタから一眼レフカメラ、ビデオカメラ、コンパクトカメラなどを展示するキヤノンブース

キヤノンの出展の目玉は、EOS-1DXやコンパクトデジタルカメラIXYシリーズなどの新製品だ。それ以外にブースの内容をよく見てみると、今年から映像関連製品にもかなり力を入れており、動画とスチルが融合したような展示になっていた。去年のCP+のキヤノンブースに展示されていた映像機器は、パーソナル向けデジタルビデオカメラ「iVIS」や業務用デジタルビデオカメラ「XA10」ぐらいだった。今年はXF105やXF305といった業務用デジタルビデオカメラも展示されていた。

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キヤノンのブース内にXF105やXF305などの業務用カメラの展示も行われていた

また、C300の実機展示も早速行われていた。キヤノンプロフェッショナルステージとブース前面中央、体験コーナーにC300が展示されていた。C300はEFマウントモデルが1月31日に発売されたばかり。会場にいたスタッフに販売状況を聞いてみると、主にCM制作会社などが購入しているという。現在は、製品が足りない状態で出荷待ちの状態になっているという。

キヤノンの出展内容は、CP+のブースだけにとどまらない。CP+会場の近所にあるブリリア ショートショート シアターで2月9日から2月11日までCINEMA EOS SYSTEMとEOS-1D XのEOSムービー機能に関する併設イベント「DIGITAL MOVIE WORKSHOP」を行っている。ここからも今年のCP+でキヤノンが映像関連を積極的にアピールしていることがわかる。

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キヤノンプロフェッショナルステージに展示されていたシネマレンズ付きのC300

ブース内のデジタル一眼レフカメラの展示でもっともアピールしていたのは「EOS-1D X」だ。「EOS-1D X」は、キヤノンのフラッグシップモデルだ。従来、キヤノンのフラッグシップモデルはスポーツ報道向けの「EOS-1D」シリーズとスタジオ撮影を中心とするプロユーザー向けの「EOS-1Ds」シリーズの2種類に分かれていた。その2種類を35mmフルサイズのイメージセンサーを搭載したモデルに統合したのが「EOS-1D X」だ。画素数は約1,810万画素で、常用ISO感度 100〜51,200。拡張設定時はISO50〜204,800と、従来では考えられないようなハイスペックを実現している。

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また、「EOS-1D X」は連射の性能が高く、連写性能はAF/AE追従時で約12コマ/秒、ミラーアップしてAF/AEを固定すれば約14コマ/秒を実現する。体験コーナーでボディを手にとると多くの人はこの連射を体験するので、「ガガガガガ!」という凄いシャッター音が鳴り響いていた。発売は3月下旬発売予定している。

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(左)拡張感度でもっとも高いISO 204800に設定  (右)常用ISO感度でもっとも高いISO 51200に設定

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左からEF28mm F2.8 IS USM、EF24-70mm F2.8 L II USM、EF24mm F2.8 IS USM

リニューアルしたレンズ3本EF24-70mm F2.8 L II USMとEF24mm F2.8 IS USM、EF28mm F2.8 IS USMも展示されていた。EF24mm F2.8 IS USMとEF28mm F2.8 IS USMは、広角単焦点レンズとして世界初となる手ブレ補正機構を搭載しているのが特徴だ。

D800でいよいよ動画に参戦。盛り上がるニコンブース

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D4とD800を中心に展示をしたニコンブース

ニコンブースの目玉といえば、2月7日に発表されたD800だ。35.9×24.0mmのニコンFXフォーマットに36.3メガピクセルを実現している。それでいて30万円を切る価格に誰もが驚いたのではないだろうか? 最大の解像度は7,360×4,912で、従来ニコンで最大解像度を誇っていたD3Xの1.5倍に匹敵するサイズだ。ISOは100〜6,400だが、50から25,600まで拡張可能だ。発売は3月22日を予定している。

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少しなで肩のデザインが特徴のD800

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ニコンFXフォーマットで36.3Mピクセルを実現したCMOSセンサー

D800の映像記録機能は、1,920×1,080/30pのフルHDに対応する。大きな撮像素子を活かしたボケ味重視の表現できる「FXベースの動画フォーマット」と、焦点距離の短いレンズで被写体をより大きく写せる「DXベースの動画フォーマット」の2つの撮像範囲を選択できる。また、ヘッドホン端子を装備し、ステレオヘッドホンでの音声確認が可能なほか、動画や動画ライブビュー映像を液晶モニターと外部モニターに同時表示できる。

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クリエイティブステージの「Nikon D800で撮るスナップシネマ」でD800の映像記録機能について語る渡辺伸次氏

D800の映像機能については、写真家、映像作家の渡辺伸次氏がニコンブース内のクリエイティブステージの「Nikon D800で撮るスナップシネマ」で、次のように使い勝手を語っていた。

「ライブビューのフォーカスの確認がとても素早く、ライブビューの見え方も凄くきれいです。特に前の機種までできなかったライブビューで画を確認しながらISO感度やシャッター速度、絞り、ピクチャーコントロールを変えることができます。REC中にもできたりするので、ほしい画をスピーディーに作ることができます」

「フォーカスをオートにしておくと、オートで追っかけてくれます。ただし、内蔵マイクを使っている際にはフォーカスの音もレコーディングされていまうので同録の際には注意が必要です」

「D800には音声モニタリングができるイヤフォンジャックがついています。これを聞きながら撮ることによって安心感がでてきます。少ない予算と時間でワンマンオペレートするということに関して大事な機能です」

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グラスバレーはニコンブースの中でD800からHDMI出力された映像を「STORM MOBILE」で直接記録するデモが行われていた

D800から動画ライブビュー映像をHDMI出力して外部レコーダーに直接記録することも可能だ。ニコンブース内で、グラスバレーが映像入出力インターフェース「STORM MOBILE」を使ってHDMIのキャプチャをして、EDIUS 6で編集ができることをアピールしていた。1,920×1,080 4:2:2の非圧縮データをSTORM MOBILEを使ってキャプチャできるというものだ。STORM MOBILE自体はアナログのビデオを取り込んだり、ビデオアウトプレビューができる周辺機器だ。

D800に対応するにあたり、アップデートも必要ないという。また、基本的にデコードのエンジンが同じエントリーモデルの「EDIUS Neo 3」でもD4やD800は対応可能だという。

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D800からHDMIで「STORM MOBILE」に接続


[CP+2012] Vol.02