txt:北口大介 構成:編集部

プロジェクションマッピング はやわかり

プロジェクションマッピングという映像技法が注目され始めたのはいつごろからだろうか?1970年代のライトショーなど、ルーツとなるものはあったにせよ、現代的なスタイルが完成され、われわれが広く知ることになったのは2000年代後半だろう。

映像をスクリーンではなくオブジェクトに映し出すことにより、映像単体では得られないユニークな効果を狙う。例えば、大きな建物に、窓枠やドアの形状にぴったりと合う映像を映し出す。その映像のドアを開閉すると、あたかも実物のドアが開閉しているような印象を与えることができる。この効果を用いて、現実では起こりえないような世界観を演出できるのだ。

使用機材は、基本はコンピューターとプロジェクターということになる。コンピューターで作った映像を、プロジェクターを使ってオブジェクトに映写する。対象となるオブジェクトが大きくなれば、それだけ大規模な(明るい)プロジェクターが必要となる。

では実際の事例を見ていこう。下の映像はラルフ・ローレンが2010年にニューヨークで行ったショーの模様。

このように建物を使ったコンテンツはプロジェクションマッピングの主流の1つだ。プロジェクションマッピングは、アパレルメーカーや自動車メーカーなどが自社の製品をアピールする「広告媒体」として躍進してきた。下の映像はヒュンダイが2011年にマレーシアで行ったプロジェクションマッピング。建物に実車を貼り付けるという大がかりなものだ。

一方、伝統的な建造物やランドマークを使ったプロジェクションマッピングも盛んに行われている。2012年、スペインのサグラダファミリアで行われたプロジェクションマッピングは、その最たるものの1つと言えるだろう。

建物自体が持つ伝統やキャラクターを、スピリチュアルに際立たせることができるのもプロジェクションマッピングの大きな特徴だ。また、大規模なものだけでなく、小さいオブジェクトを使ったプロジェクションマッピングもアートシーンを中心に行われている。

デヴ・ハーランによる自転車プロジェクションや…

キット・ウェブスターの「ENIGMATICA」シリーズがよく知られている。

日本では、2012年10月に行われた東京駅のリニューアルイベントがきっかけとなって広く知られるようになった。

最近では、2013年5月1日〜5月6日まで、護国寺に「デジタル掛け軸」を投影するというコンセプトのプロジェクションマッピングが行われ注目を集めた。

プロジェクションマッピングは、映像表現としてはまだ若いシーンといえる。コンテンツ、手法ともに、まだまだ大きな可能性を秘めており、今後も世界中で新しい表現が生み出されていくだろう。次の項ではプロジェクションマッピングについてさらに深く探って行こうと思う。


Vol.00 [ProjectionMapping] Vol.02