昨日のプレスカンファレンスから一夜明けて、1月7日CES2014展示会初日を迎えた。展示会に来場者が流れ込む前に恒例の基調講演が朝8時半より始まる。今年は、CEA会長 Gary Shapiro氏を皮切りにソニー平井一夫社長兼CEOの基調講演で幕を開けた。昨日のソニープレスカンンファレンスから繋がる平井氏の講演を今回は取り上げてみたい。
失敗を恐れず、機能や利便性より「感動」を提供する
ソニー平井一夫社長兼CEO / プレゼン映像は手書きの絵。さまざまな「WOW」が重要
CES2014の最初のKeynoteは久々にソニーが担当し、平井一夫社長兼CEOが壇上に立った。
プレゼンテーションは「子供の頃は好奇心がいっぱいの子供だった」と、自身の子供の頃の話から始まった。好奇心が人々の想像力を掻き立てるものであると述べ、さらに話は子供の頃いつも見ていたテレビ番組「ロンパールーム」の話にまで及び、自身の体験も含めて、Curiosity(好奇心)やWOW(驚き)が想像力の原動力になると語った。
人々にはこうしたEmotional Valueが必要で、それを日本語で「感動(Kando=Emotional Involvement)」と延べ、これがソニーの製品づくりに最も需要であると強調した。
過去の失敗事例をあえて紹介
1979年のウォークマン、1982年のコンパクトディスク、1994年のプレイステーションなどは、いずれもこうした背景から生まれたものであったことを振り返りながら、「しかし我々は失敗もしてきた。そしてそれが挑戦の原動力になっている」として、「ベータマックス」や「dash」などの過去の失敗をあえて紹介。
ベータマックスの広告
さらに、1975年のベータマックスの広告コピーである「WATCH WHATEVER WHENEVER」を引き合いに出し、「これは40年前の我々の思いであり、この思いをいま実現させていく」と失敗を恐れない、機能や利便性よりは「感動」を提供できる製品作りに取り組んでいく決意を示した。
ベータマックスの失敗がベータの成功を生んだ
壁が窓になるというコンセプト「Life Space UX」
超短焦点の4Kプロジェクター
製品としては「Life Space UX」という、生活空間における新しい映像製品のコンセプト製品を披露した。これはサイドボード家具のようなラックに入った超短焦点の4Kプロジェクターと、天井から吊り下げる照明のような形状で、テーブルの上に映像を投射するもの。前者はラックを壁に沿わせた状態で最大147インチの大画面で4K映像を投射できる。レーザー光源で2000ルーメン。プレゼンテーションではテレビを見るというよりはビーチの映像や街角の映像などを投射することで、あたかもその場所にいるような感動を提供したいとのこと。平井氏自身も社長室で銀座の街角の4K映像を実際に体験して、いままでにはない「感動」を得た体験を披露した。
照明のようなタッチ可能なプロジェクター
後者は天吊りのプロジェクターで、タッチ操作が可能。ダイニングテーブルのような日常の生活用品に、ニュースや家族からの写真を表示させるというコンセプト。ディスプレイでも可能なことだが、水をこぼしても問題無く、日常生活に新しい映像利用を提供するものだ。テーブル面の色や形状に左右されないために、目に見えない補助光を照射して動作精度を上げている。
PS4でクラウドベースTVサービス
PlayStation Now
また、ソニー・コンピュータエンタテインメント社長兼グループCEOのアンドリュー・ハウス氏も登壇し、PlayStation 4が昨年12月28日の時点で、販売累計420万台を突破した事を発表した。さらに、PlayStationの過去のゲームソフトなどをクラウド経由で提供する新サービス「PlayStation Now」を発表。PlayStation 4、PlayStation 3、PlayStation Vita、テレビ、タブレット、スマートフォンで過去のPlayStationゲームなどを楽しめるもの。
Cloud-based TV Serviceを発表する平井氏
注目すべきは「Cloud-based TV Service」を発表。これはテレビ番組をPlayStation 4をハブとして、PlayStation Vita、スマートフォン、タブレット、テレビで視聴できるもので、ライブ放送、オンデマンド、クラウドDVR機能も提供するもの。アメリカでは年内開始、日本では未定とのこと。
txt:江口靖二 構成:編集部