「Super Joey」を発表するdishのチャーリー会長

CMスキップ路線を拡大させるアメリカのdishの新サービス

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操作画面。AutoHop機能の有無など視聴形式を個別に設定できる

アメリカの衛星放送プラットフォーム会社であるdishが、新サービスである「Super Joey」を発表した。これは同社の衛星放送受信機能付きのDVRである「Hopper with Sling」にチューナーをさらに2台追加したもので、同時に8チャンネルを録画することが可能。dishはアメリカの携帯電話会社スプリントの買収を巡ってソフトバンクと競った会社だ。

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AutoHop機能も提供するSuper Joey

Hopper with Slingはプライムタイムの4大ネットワーク全番組を録画しておき、放送後8日間いつでも視聴が可能になる「PrimeTime Anytime」機能を搭載している。さらに「AutoHop」を有効にすると、PrimeTime Anytime機能で録画した番組は、翌日の午前1時以降から自動CMスキップ再生が可能となる。早送りやCMスキップボタンを押すのではなく、そもそもCMが再生されない。

Wireless Joey

当然ながら米国でも4大ネットワークから訴訟が起こされて係争中であるが、CMスキップが有効になるまでに時間差を設けるなどして対抗している。またHopper with Slingはスマートフォンやタブレットにも対応しており、昨年のCESの最高賞を受賞した製品でもある。

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LGのスマートテレビがVirtual Joeyに対応

今回のCESで同時に発表された「Wireless Joey」は、WiFiを経由してワイヤレスで家中どこでも視聴できるようにするもの。インターネット接続の有無は関係なく、セットアップが簡単な家庭内の無線映像伝送装置だ。5GHzの802.11acに対応し、伝送速度は1.3Gbpsだ。また「Virtual Joey」はここのテレビにボックスを接続することなく、1台のボックスからLGなどのテレビのアプリや、PlayStation3と4を通じての視聴が可能になるものだ。

SONYのPlayStation3と4にも対応

また視聴可能端末としてアマゾンの「kindle fire」が追加されることもアナウンスされた。同時録画チャンネル数を増加させ、家中のどのテレビでも、出先も含めたどのデバイスでももっとテレビを見られるというのがdishの提案である。

kindle Fireにも対応すると発表

CMスキップなどは日本ではなかなか考えられない話であるかもしれないが、先日ソニーかキーノートで発表したクラウドベースドTVサービスなどと合わせて、アメリカのテレビはこうして確実に変わっていこうとしている。

テレビ局や動画配信サービスにも対応可能な高速ファイル伝送システム

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FTPソフトライクな「Sliver Bullet for File Transfer」の起動画面

こうした「いつでもどこでももっとテレビ」という要求にも応える技術の展示が、ラスベガスのホテルでプライベート展示された。日本のSkeedが提供する高速ファイル伝送ソフトウエアである「Sliver Bullet」である。「Sliver Bullet」はインターネット上で大容量のファイルを伝送させる場合に発生する遅延やスピードの低下に対して、安定した高速伝送を確保するものだ。通常のファイル転送はプロトコルとしてTCPを使うことが多いが、これは確実な転送を確保するために様々な「確認」を行いながら転送するので時間がかかることが多い。これに対して同社の「Sliver Bullet」は、プロトコルにUDPをベースとした独自の技術を採用しているので、高速伝送が可能になるというものだ。

FFFTPを使った一般的なフェイル転送の状況

一般的にはUDPはデータを送りっぱなしで「確認」を取ることをしないので、データの欠落が生じたり、逆に帯域を使いすぎて他の電装に悪影響を及ぼすことがある。同社はこれを解決するために、独自のプロトコルと帯域制御技術を用いており、特許取得済みだそうだ。

Sliver Bullet for File Transferでの転送状況

実際のデモでは、100MBのファイルをアイルランドからラスベガスのホテルのWiFi経由で転送した場合、通常のFTPソフトで4分半程度かかったものが、Sliver Bulletを使うと1分20秒ほどで転送された。一般的には回線遅延が多いなど、条件が悪いほど改善させるのだという。

Sliver BulletはFTPソフトのようなソフトウエアやWEBベースのサービス、あるいはSDKとして提供されるので、既存のハードウエアやシステムアプリへの組み込みが可能。利用シーンとしてはインターネット、モバイル、衛星などあらゆる回線上での利用が可能で、放送局の局間や海外支局からの伝送、プロダクションやポスプロとのやりとりなどに利用されているという。今後は放送局のニーズが高い報道取材現場から撮影したファイルを高速伝送したり、カメラに内蔵されたWiFiや、スマートフォンなどからダイレクトに高速ファイル伝送できるようなサービスも検討していくという。

今後映像の世界では4K化やファイルベース化によってますます巨大なファイルのやりとりが行われていく。回線側の増強も進むであろうが、こうした高速ファイル伝送技術の利用ニーズは高いものと思われる。

txt:江口靖二 構成:編集部


Vol.06 [CES2014] Vol.08