小寺信良のCES2014初日レポート
現地時間の1月7日より、世界最大級のコンシューマエレクトロニクスの祭典、CES2014が米国ラスベガスでスタートした。PRONEWS的にはいつもNABがターゲットとなるが、あそこは完全にプロ向けの機材。一方映像制作がIT化して以降は、コンシューマ機材もプロの現場に多く入ってくるようになった。その意味では、映像のプロと言えどもある程度コンシューマの動向も知っておく必要があると思うのだ。今回はそんな視点で、“コンシューマ屋さんがプロに売りたい機材”がないか探してみた。
定型外アスペクトがプロにはいける!
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リアル4Kモニター「31UM95」
大手メーカーがひしめき合うセントラルパーク。正面から一番近い入り口でドーンとでっかい3D映像を上映しているのが、LGである。まあ正直今さら3Dかよ、という気もしないではない。ただここが作っているPCディスプレイは、日本にも入ってくる可能性は大である。
PCディスプレイコーナーの中心に置かれていたのが、31インチのグラフィック用モニター「31UM95」である。4096×2160のIPSパネルで、色域はAdobe RGBの99%をカバーする。入力はDisplayPortとHDMIで、Thunderbolt2にも対応する。すでにモノ自体は昨年発表されていたが、現物はCESで初めて見ることができた。
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背面は中央部に厚みがあるデザイン
映像編集においてPCモニターで4Kが必要かと言われると、そこはワークフロー次第だろうが、CG系の人はレンダリング結果を等倍で確認する必要があるだろうから、いちいちなんらかのインターフェースを通じてテレビモニターに出力するよりは、確実にモニタリングできるのではないだろうか。
また隣には、世界初という34インチのウルトラワイドQHDモニター「34UM95」が展示されていた。これは21:9というアスペクト比で、解像度が3440×1440となっている。こちらもAdobe RGBを99%カバーし、Thunderbolt2に対応。このサイズ以外にも、21:9で29インチ、25インチといったサイズもラインナップされていた。
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21:9という変則サイズが使いやすい「34UM95」
多くのアプリケーションが表示されていたが、ノンリニア編集には通常よりも横長のディスプレイのほうが使いやすそうだ。現状でもBINウィンドウ用に別モニターを繋げている人も多いと思うが、アプリはこれ1つで完結し、片方に4Kモニターを繋ぐ、という使い方が理想かもしれない。
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34インチでビデオ編集作業中
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29インチモデルは縦表示で展示
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25インチはビジネス用途として訴求
Panasonicの4Kカメラ
プレスカンファレンスでもチラ見せしていたが、パナソニックブースでは4Kのウェアラブルカメラを展示していた。サイズはほぼ現行商品のウェアラブルカメラと同じで、実際に映像も出力されていた。最終フレームレートがいくつになるかはまだ非公開情報だが、展示機では30p出力だった。スポーツ用途だとするなら60pは欲しいところだが、最終仕様は2月のCP+で発表される模様。
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ウェアラブルカメラ4Kは実動モデルを展示
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本体側も既存モデルと変わらない
一方モックアップであったが、LUMIXの4K撮影モデルも展示されていた。これはマイクロフォーサーズで4Kが撮れる、いわゆるGHシリーズとして開発を進めていることをアピールするもので、最終形状はこのままではないという。今年上半期までには商品化されるようだ。
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4KのGHシリーズも開発中
またそれと同時に展示されていたのが、書き込み速度240MbpsというUHS Speed Class 3のSDカード。当然そのスピードなら4K/60pの記録がターゲットになる。ということは、4K GHシリーズも60p記録を期待していいの、かな?
また同じくパナソニックで見つけたモノとして、骨伝導イヤホンの「RP-HGS10」は何かに使えそうな気がする。これは耳穴に入れず、耳穴の前にある骨っぽい部分に当てることで音が聞こえるアクチュエータだ。耳穴からはライブ音、骨伝導からは別の音がモニタリングできる。色はグリーンとピンクがある。
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ファッショナブルな骨伝導イヤホン「RP-HGS10」
ライブ音があんまりうるさいと骨伝導側が聞こえないが、うまいバランスの環境では役に立つだろう。逆に外の音がうるさ過ぎる場合は、耳穴のほうは耳栓で塞いでしまって骨伝導だけでモニターするといった使い方もできる。あるいは耳穴のほうはイヤホンでモニターし、別系統の音を骨伝導で同時に聴くということもできるだろう。いろんなアイデアを試してみたくなる製品である。
まだ会期初日で、他にも回ってないブースが沢山ある。また面白そうなモノを見つけたらご紹介しよう。
txt:小寺信良 構成:編集部
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