CES2014のテレビは言うまでもなく4Kが中心だ。4Kテレビはポラロイドの50インチ999ドルのように、低価格化が加速し、まさに普及フェーズに入ったといえるだろう。ポラロイドの4Kテレビは現時点での価格を考えれば十分な画質であると言える。その他の各社ともに新製品やラインナップの充実を図っている。
ポラロイドの999ドルの4Kディスプレイは50インチ
シャープのクアトロンプラスはフルHDパネルで4K相当の高画質
ソニーの新型ブラビア
東芝の4Kラインナップ
パナソニックの4K
こうした4Kテレビの中で、今年のCESではサムスンやLG、そして東芝が提唱する「湾曲4K」テレビのような新しい試みがある。昨年から韓国勢のサムスン、LGが湾曲テレビを提唱してきたのだが、今年はその勢いが加速してきている。
サムスンの湾曲4Kテレビは16:9の78、65、55インチの3タイプに加えて、フラッグシップとなるのが21:9で105インチLCDのモデルだ。解像度は5,120X2,160で、4Kではなく「5K」である。自動で映像深度を調整する「Auto Depth Enhancer」という機能が内蔵され、より奥行感のある映像を得られるという。
サムスンの105インチ湾曲LCD4Kテレビ
サムスンの湾曲4Kテレビの展示風景
LGの湾曲4Kテレビも21:9で105インチLCDの。解像度は5,120X2,160でサムスンと同じである。また77インチのOLEDを搭載したモデルも展示されている。
LGの105インチ湾曲LCDテレビ
LGの77インチ湾曲OLEDテレビ
東芝の湾曲4Kテレビは65インチ。コンセプトモデルということで商品化は未定。東芝は湾曲していないフラットな105インチ5Kテレビを参考出展している。
東芝の65インチ湾曲LCD 4Kテレビ
東芝の105インチ5K LCDテレビ
同じ湾曲でも、異なる利用の仕方を提案しているのがパナソニックだ。XXインチのOLEDを5面つなげて配置し、デジタルサイネージ的に利用するものだ。従来であればこうした曲面ではプロジェクターを利用するか、フラットパネルで擬似的に曲面を構成するしかなかったが、完全な曲面構成は非常に目を引くものだ。
パナソニックの凹凸それぞれの56インチOLEDを組み合わせた美しい曲面
なお昨年のIFAではフルHDの湾曲テレビを参考出展していたソニーからは今回展示はなかった。
こうした湾曲テレビがひとつのトレンドとしてどの程度市場に受け入れられていくかはまだ未知数だ。筆者の個人的な感想では、55インチ以上でかつ4K解像度であれば、正面から見た場合に左右が若干手前にあるので、特に前後方向の動きがより流れるような感じでリアルになるのは確かだ。またLGはスマートフォン「G Flex」にも6インチのOLEDを搭載しているが、湾曲のもう一つのメリットとして、大画面、小画面どちらの場合も映り込みが目立たないことはもっとアピールされてもいいのではないかと感じた。
LGの湾曲OLED搭載のスマートフォン「G Flex」
また日本の場合はテレビを壁掛けで使う比率は相当低いと考えられる。壁掛けの場合は湾曲していると左右が飛び出すので、見た目にも安全面でも疑問がある。だが壁掛け設置が極めて少ない日本では、テレビ台の上に設置する分にはこうした問題もないと思われる。先入観で判断することなく、実際にご覧になることをお勧めしたい。
ディスプレイ以外の注目としては、LGがwebOSを採用したことだ。スマートテレビでは機能を上げることによってその操作速度が低下するという問題がある。それを解決するために、元々は携帯電話用の「軽いOS」としてwebOSに着目したわけだ。コンセプトは「Make TV Simple Again」である。例えばYouTubeを見ている時に地上波に切り替えたり、マルチタスクで動かしたりする場合でも、切り替えがサクサクとスムーズに行われる。
webOS採用のコンセプト
webOSを採用したLGのスマートテレビ
サービス面ではソニーが注目すべき発表をキーノートで行った。「クラウドベースドTVサービス」だ。これはPlayStation 4をハブとして、テレビ、スマホ、タブレットに対して、放送番組をリアルタイム、オンデマンド、さらにはクラウドDVR機能まで提供しようというものだ。北米では年内に開始予定だが、日本では全く未定とのことである。キーノートの前に行われた開会のスピーチでは、CEA(全米家電協会)のシャピオ会長が、クラウドTVサービスを提供して米国のテレビ局と訴訟になっている「Aereo」をイノベーティブな企業として好意的に紹介したのも印象的だ。
クラウドベースTVサービスの発表
CEAのシャピオ会長
Aereoを好意的に紹介
txt:江口靖二 構成:編集部