いよいよ開催直前のCES2015

世界最大の国際家電見本市、2015 International CES(Consumer Electronics Show)が米国現地時間1月6日から9日の4日間、米国ラスベガスで開催される。1月4日(米国現地時間)より展示会前のプレス向けカンファレンスや招待制イベントが2日に渡り行われている。会場は、大幅に増床され、今年から3つのエリアに分かれた。TechEast[LVCC(ラスベガスコンベンションセンター)周辺]とTechWest[Sands Expo、Venetian、Wynn、Encore周辺]、そしてC Space at ARIA。そしてプレス日は、MandalayBayコンベンションセンターがフル稼働。ラスベガス・ストリップ地区はの施設は、ほぼCES一色に。まだ何も始まってはいないが、例年に増して、期間中、ホテルが高騰(今年はairbnbで宿を確保する人も多い)、飛行機等予約の取れない具合を見ると、過去最高の盛り上がりを見せるのではないのか?と予想している。

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混雑の緩和の為に空港をはじめラスベガスの街中でバッジピックアップ可能だ

開催日を前に各社多くのプレスカンファレンスが行われる。CESでは、デジタル家電や、オーディオ機器だけではなく、自動車分野、ヘルスケアに加え、今や世の中の生活を支えるインフラとなったインターネットやスマートフォンに関連する様々なソリューションが複合した世界最大の展示会へと様変わりしている。

曖昧になる領域と様変わりする出展者 〜CES Unveiledで感じた新たな動き

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“CES Unveiled”の様子。身動きが取れない… ©CEA.

毎年開催前に思うのが「全体のテーマは何なのか?」ということだ。事前情報や“CES Unveiled”などの事前イベントから毎回感じるのはいつもながら“混沌”とした状況だ。期間中足を運ぶ事で、おぼろげながら初めてテーマが見えてくる。ここ数年と言葉を同じとするがシームレスをテーマとして再度挙げておきたい。それは、プロ用、コンシューマー用などプロダクトのカテゴリーや領域が曖昧になっている事を実感せずにはいられないからだ。曖昧な線引きこそ何かが生まれる証拠でもある。

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名物のCES Unveiled氷柱。上からリカーが注がれカクテルが完成する…

開催に先立ち1月4日(米国現地時間)よりクローズドなプレスイベント“CES Unveiled”が行われた(詳細はレポートにて)。参加はプレス限定だが、一般の人もいるのかと思うほど参加するプレス数が多い!16時スタートでほぼ1時間かけて入場。“CES Unveiled”は、展示会で注目されるサービスや製品を会期前に選びUnveiled(ベールをはがしていく)される、今年のトレンドが分かるサマリーのような濃縮還元イベントだ。

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今回から入場バッジにはNFCタグを採用、ペーパーレスをはじめ効率化が図られている

社会インフラとして浸透し、我々の生活にはデジタルが欠かせない事が実感できる。その流れがありとあらゆる物がインターネットと繋がるようになるようだ(「IoT」Internet of Things)。CES Unveiledの会場では、いずれもスマートフォン連携したIoT機器がもっとも数の多いジャンルとなった。最近のスタートアップブームやメイカーズを受け、もちろん新しい技術にも事欠かないが、突破欲のある小粒でもピリリと辛い山椒のような出展者が多くなっていると感じる。

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DJIは「Inspire1」に搭載されたカメラとジンバル機能部分だけを商品化し「Inspire1 Camera Mount」を発表。カメラは4K対応

今回の“CES Unveiled”では、映像関連が少なく、ほぼヘルス、ホームそしてIoTで占められていたのが印象的だ。自動車を作る体力は無くてもセンサーの取り付け電化させるだけで、いくつもの分野のプロダクトが生まれ変わる瞬間は、数多くのスタートアップ企業にはチャンスである。

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Cerevo社がXON SNOW-1を発表。LiveWedgeとは全く違う方向だがIoT分野への挑戦となる

HDMIミキサー”LiveWedge”を出しているCerevo社がその良い例だろう。メーカーズの潮流とIoT分野に果敢に挑戦し、各種センサーを搭載した自分の滑りを分析できるスノーボード・バインディングXON SNOW-1を発表。まさに小さなスタートアップが数多く出展しているのだろうと予想され、PRONEWSがカバーするプロ映像機器だけにとらわれる事なく、様々な機器やサービスを展示会場で見る事ができる。

会場を湧かす物とはなんだろうか?〜キーワードで見るトレンド

例年の通り、CESは各分野での既存のプロダクトやサービスだけではなく、未発表のプロダクトやサービスが数多く投入されるため、全てをここで語る事は出来ない。やはりCESに足を運ばないと分からないことばかりなのである。会場にはまた起業間もない若い世代が一旗上げるべく多く参加している。“Eureka Park”や、“StartupDebut”など、アーリーステージからCES本会場へステータスを上げて行くメーカーも多い。

聞いた事が無いメーカーが、家電領域に参戦し、市場を塗り替えて行くその勢いは、IoTによってさらに加速されそうだ。様々な部分で線引きする事は無意味になっている。清濁合わせ飲む部分もありそれが非常にダイナミックで面白いと言う事だ。

このような潮流の中で今年のキーワードを探ってみると、昨年Googleグラスをはじめとしたウェアラブルについての再定義が行われるだろう。またOculusでバーチャルリアリティーが再燃したが、さらに今年は進化したソリューションが出てくる物と思われる。ヴァーチャルリアリティーとリアルもシームレスになるのだろうか?

そしてテレビはどうだろうか?昨年は、SmartTVと4KTVが会場を賑わせた。SmartTVで言えば、そのOSが何になるのかで注目されている。また4KTVが市場に並び始めて久しいが、次に何が来るのか?昨年は4Kや曲面ディスプレイがトレンドであったが、今年は色再現に注目が浴びそうだ。その先鋒がQuantum Dot TV(量子ドットテレビ)だ。量子ドットテレビは、ディスプレイのバックライトとカラーフィルターの間に量子ドットの層を追加すること実現され、精密さ、色彩の幅が広がる技術だ。

■全ての物が繋がるIoT
■Drone市場の拡大と商品の多様化
■Oculusヴァーチャルリアリティー
■新しいTVの行方Quantum Dot TV

業務用と民生用の線引きが非常に曖昧になっており、この混沌さが実は明日へのビジネスチャンスとも言える。そこに何かが生まれるはずなのだ。PRONEWSでもその現場に立ち会うべくCESの会場に降り立っている。展示会の始まる6日から現場で見られる面白い物を逐次取り上げていきたいと思う。今年は、少し変わった領域もとらえるように視野に入れている。いよいよ明日から展示会が始まる。CES 2015からニュースを随時お届けする。

■特集:CES2015 Index

恒例となった“プレスカンファレンス”ライブ配信

今年も1月5日午前10時(日本時間では1月6日午前3時)のPanasonicを皮切りに各社が会場からプレスカンファレンスをライブ配信する。

Sony CES Press Conference 2015
Panasonic Live @ CES

[CES2015] Vol.01

txt: Tom INOKAWA