txt:小寺信良 構成:編集部

お正月はCESから始まる

年明け2日から米国である。毎年1月に行なわれるCES取材のためである。現地時間の本日5日は、明日からの会期を前に、各社のプレスイベントが行なわれた。元々CESはコンシューマ家電のショーだが、最近は業務ユーザーもコンシューマ機を上手に使うことで機材費を下げ、利益率を上げることが当たり前となっている。またここからプロ機のトレンドを予測することもできるわけだから、コンシューマの情報も知っておいて損はないだろう。今回はプレスカンファレンスで発表された製品の中から、4Kカムコーダをいくつかご紹介したい。

Sony | 4KハンドヘルドFDR-AX33と4KアクションカムFDR-X1000V

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プレスカンファレンス冒頭であいさつする平井一夫CEO

ソニーのコンシューマ機は、これまで4KではFDR-AX1、FDR-AX100、α7Sの3モデルがあった。4KハンドヘルドとしてはFDR-AX100が業界一番乗りであったものの、それ以前のHDカムコーダで好評だった空間光学手ぶれ補正、いわゆる“ギョロ目君”は採用されなかった。

一方今回発表された4KハンドヘルドFDR-AX33は、4Kながら空間手ぶれ補正を採用、さらに体積で約30%、質量で20%の小型軽量化を実現した。レンズはZEISSバリオ・ゾナーで、29.8~298mm(35mm換算)/F1.8~3.4の光学10倍ズームを搭載。センサーは1/2.3型1890万画素のExmor Rで、超解像ズーム併用で15倍となる。絞りは6枚羽根の虹彩絞り。

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4Kハンドヘルド「FDR-AX33」

実際に持って見ると、全長が短い事もあって全体的にコロッと太ましい感じで、スマートな印象には欠ける。ただ作りのテイストはいつものソニーで、大きく奇をてらったところはないが、使いやすくまとまっている。なにしろ軽量なので拍子抜けするが、空間光学手ぶれ補正と組み合わせて、ハンディ撮影では重宝しそうだ。

ただし記録は3840×2160/30pもしくは24pとなり、60pはサポートしない。記録フォーマットはXAVC S100Mbpsと60Mbpsとの2段階。

もう一つ登場したのが、4K撮影が可能なアクションカムFDR-X1000Vだ。これまで4K撮影可能なアクションカムは、GoPro Hero3/Hero4 Black EditionとPanasonic A500が先行していたが、ようやくソニーも参戦となった。

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4Kアクションカム「FDR-X1000V」

サイズは旧来モデルより若干サイズが大きく

(※訂正:調査後、サイズは同じではなく大きい事を確認)

、RECボタンの位置が昨年発売されたAZ1同様上に移動したため、以前の防水ケースが使えない。また底部の集合端子もなくなったため、アクションカムをハンディカム化するLCDユニットも使えなくなった。アクションカムシリーズもここで世代代わりすることになりそうだ。

Panasonic | 4KカムコーダHC-WX970とVX870

一方パナソニックも、ハンドヘルドタイプの4Kカムコーダ2モデルを発表した。HC-WX970とVX870は、970が液晶部にサブカメラが付いているが、そのほかのスペックは同等の姉妹機だ。

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プレスカンファレンスでチラ見せのHC-WX970(写真右)とVX870(写真左)

レンズはライカ・ディコマーで、30.8~626mm(35mm換算)/F1.8~3.6の光学20倍ズーム。超解像ズームでは25倍。センサーは1/2.3インチの裏面照射CMOSで、1891万画素。記録方式はMP4で、3840×2160/30p、ビットレートは最高72Mbpsとなっている。

パナソニックのほうはまだ実機を触る機会がなく、明日以降の会期中でもう少し細かいスペックが確認できると思う。

いずれにしても、コンシューマではまだ4Kカメラは30p止まりというのが現状のようだ。記録フォーマットもMPEG-4ベースで、テレビや通信で用いられるHEVCへの移行は、編集や再生時の負荷を考えるとまだ当分先になるだろう。

4Kハンドヘルドの使いどころを探る

プロユースを考えると、1インチ未満の小型センサーカメラの使いどころはどうしても放送やその周辺が中心になるかと思うが、60pではないところで使いどころが難しくなるのは事実だ。だがIT系の新しいソリューションでは30pぐらいが丁度扱いやすいところではある。

使いどころがうまくはまれば、何かモノが作れるカメラ達ではないだろうか。


txt:小寺信良 構成:編集部


Vol.00 [CES2015] Vol.02