txt:西村 真里子 構成:編集部

数字で見るInternatinal CES 2015 と開催初日

世界最大級の家電ショーCES2015初日(現地時間1月6日)初日現地レポートをお届けする。

今年はラスベガスコンベンションセンターと周辺ホテルを巻き込んで、いままでで最大級の3,600団体が展示をし、昨年の来場者数約15万人を上回る勢いである。実際に初日の蓋を開けてみたら来場者数が多い事を感じてしまう。Vol.00でも触れたが、IoT(Internet of Things:あらゆる製品がネットにつながる世界を指す、もののインターネット化とも言う)キーワードが浸透したのも昨年CES2014がキッカケだったが、単なる家電ショーではなく、次世代デバイスを発掘する場所としても注目を浴びているCES(筆者は三度目)。IoTが生活レベルに近づいてきているのを展示ブースを見て回って実感を今回はお伝えしたい。

まずは数字を見てみよう。新しいデバイス、製品の出現は市場活性化にも繋がっている。2015年、アメリカ家庭用電化製品の売上げは$232.2 billion(日本円で約27.6兆円)で、前年比3%増との明るい見込みがCES2015会場にて報告された。

注目の新IoT製品群としては「ウェアラブル(スマートウォッチ、メガネ、フィットネス)」「ドローン」「3Dプリンター」「スマートサーモスタット(温度自動調節器)」、売上げ向上の直接要因としては「スマートフォン/タブレット」「コネクテッドカー」と同時に「4K」「LCDフラットパネル」が挙げられている。

昨年のCES2014でもコネクテッドカーや4K、LCDフラットパネルは注目の製品として各メーカーが紹介していたが、そのほとんどがコンセプトフェーズかな?との印象が強かったのが実情。比較して今年は実用レベルに達した製品を各メーカーが打ち出してきている印象を大きく受けた。筆者は、いよいよ生活の中にIoT、高精細ディスプレイが浸透し始めるぞ、と期待に胸を膨らませている。

今回CES2015初日現地レポートでは、LG、東芝、シャープ、Panasonicおよびアウディを中心に、

  • ディスプレイ進化:4K/8K、量子テレビ、ウェアラブル(スマートグラス)、フレームレステレビ、プロジェクター(プロジェクションマッピング)
  • IoT進化:コネクテッドカー(Audi Tablets)、スマートホーム、アンドロイド

についてCES 3年目の筆者が「これはいい!」と惚れた製品、テクノロジーを紹介しよう(スタートアップ系展示については後日公開予定!)。

東芝 | ウェアラブルTOSHIBA GLASS&アンドロイド登場

今年の東芝ブースは実験的な製品が多く展示されていたが、その中でも行列ができていたのが東芝のスマートメガネ「TOSHIBA GLASS」。投影機構が視界を邪魔しない、小型軽量だから長時間でもストレスがなく「人々の活動を阻害しないウェアラブル」として打ち出されているTOSHIBA GLASSを初体験。

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いままでGoogle Glassを3世代ほど試している筆者からすると、TOSHIBA GLASSは情報量がシンプルな分、使ってストレスを感じないもの。同時に物足りなさも感じたのは事実だが、手元作業に集中しなければならない工場作業者向けにアラートを出すなどの用途はあり。

もう一点、東芝の展示で目をひいたのは人型ロボット「地平(ちひら)アイこ」の展示。

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アンドロイドの研究で有名な大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒氏らとの共同開発の「アイこ」さんが手振り身振りしながらプレゼンテーションする姿に「Awesome(すごいね)」と多くの人が感心。

よりリアルな表情としぐさを追求することにより「心温まるコミュニケーション(Heart Warming Communication)」をとれるアンドロイドを目指すとのこと。近い将来ロボットが人間と共存していくことを前提に、より人に優しく本物の人間のような仕草の「アイこ」が必要になると東芝は考えているという。今後の動向も気になるところ。

Panasonic | コネクテッドホーム、8Kサイネージソリューション

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CES2014のSONYのLife Space UXコンセプトブースも印象深かったが、今年CES2015ではPanasonicも家庭内IoT、コネクテッドホームに注力。8K高精細監視カメラ、世界初のHDR動画記録機能を搭載した4Kカムコーダー「WX970」と「WX870」他、SAPと組んだリアルタイムスポーツ分析システム(サッカー観戦時に試合分析がリアルタイムにわかる!)など盛りだくさん。中でも筆者が気になったのはPanasonicのスマートキッチン戦略。

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冷蔵庫内のカメラが食材を分析して本日のレシピを紹介してくれるのはもちろんのこと、調理にあわせて鍋やフライパンが自動的に回転し素材を混ぜてくれる。もう茹ですぎや焦付きを気にする必要が無くなるという!Panasonicの展示解説者が4年後の未来はこうなっている!と興奮して伝えてくれた事を信じ、その未来を楽しみにしたいと思う。

8Kサイネージソリューションエリアに展示されていたウェディングドレスのプロジェクションマッピングも感動。白いドレスにプロジェクションするだけでお色直しする必要なく、ドレスが華やかに変更。高精細なプロジェクターだからこその染め上がりで実際に試してみる事請け合い。未来のウェディングも変わるかもしれ無いと確信。映像の応用的な使い方に未来を感じるソリューション。


シャープ | ディスプレイの進化は生活を豊かにするLCD、フレームレスディスプレイ

OLEDはCES2014でもたくさん目にしてきたが、シャープの円柱に貼られたOLEDを見た際に、ディスプレイが湾曲する価値を初めて体感。

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また、テレビメーカーと話しをする際に、”フレームをなくしてより没入感を提供したい”というお話しを聞くが、実際にフレームレスディスプレイを拝見し、大きな没入感を覚え感動。枠に収まらない映像を見ていると、より臨場感がまず事は言うまでもない。お店のサイネージなどもフレームレスにすることで、ブランドを傷つけずに映像で商品紹介できるようになるはず。

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LG | 4K飛び越え8Kへ?!より高精細で情報量豊富なディスプレイへの進化

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4Kの特徴は可読性が高まることがあげられるが、8Kではさらに可読性が増すことをLGが紹介。4K/8Kこそサイネージに活用すると良いのではないか?という意見も聞かれるが、可読性高いとより詳細情報をコマーシャルできるようになる事は事実。東京オリンピックの際には8Kサイネージが東京の街中に溢れることを期待した展示であった。

家庭や街中だけではなく移動手段もインターネット化:コネクテッドカー

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CES2014、メルセデスがGoogle Glass連動デモを紹介しており、車を運転するのにGoogle Glassを利用して危険ではないのか?などと実用化からは程遠いソリューション感はあったものの、今年のCESにおける自動車メーカーは本気で車内をネット化する意気込みを感じた。ヒュンダイはApple CarPlay、Android Autoを活用するBlueLinkを展示し、アウディはAudi Tabletsを発表し、車内ネットワーク内でデバイスをコネクトし、より快適かつ安全なドライブソリューションを発表。

初日の総括

CES 3年目の筆者ですが、今年が一番ホットだと感じている。テクノロジーを活用した実生活レベルで利用できるソリューションが大手メーカーから提供されているから。次回の現地レポートもお楽しみに!


txt:西村 真里子 構成:編集部


Vol.01 [CES2015] Vol.03

WRITER PROFILE

西村真里子

西村真里子

株式会社HEART CATCH代表取締役。“分野を越境するプロデューサー”として自社、スタートアップ、企業、官公庁プロジェクトを生み出している。