txt:石川幸宏 構成:編集部
ARRI
話題のALEXA Miniに人気が集中。カラダの大きいアメリカ人でも184×125mmというボックスサイズのこのカメラには大いに惹かれているようだ。4K収録が可能で小型の筐体にワイヤレスリモートコントロールが装備され、ドローンやクレーン撮影時でも便利。またAMIRAで採用されているマルチビューファインダーMVF-1も装着可能。センサーのアスペクト比も4:3なので、今ハリウッドでも主流となりつつあるアナモフィックレンズを装着したシネマスコープサイズの撮影も問題ない。
ALEXAが4K対応していないことで、ハリウッドでは最も待望の機材と言えるALEXA Mini
いま流行のCFast2.0カードによりカメラ内でProRes、そしてARRI RAWでの収録と0.75~200fpsという変わったフレームレートも特徴的だ。codexはこのALEXA Mini用に4台まで同時に収録可能なマルチカメラレコーダーを提供。8つの6G-SDI入力で、例えば2台を120fps、2台を60fpsなど合計360fpsまでの同時収録が可能だという。実機による連結展示はまだなかったが、今後のさらなる拡張展開が楽しみだ。
Canon
CINEMA EOS SYSTEMの幕開けを飾ったEOS C300。実質上のシリーズ代表機でもあるEOS C300は、世界中の映画系カメラマンの仕事につかえる個人所有カメラとしても人気があり、アメリカでもかなりの台数が売れたという。
EOS C500に装着された話題の50-1000mmのサーボユニット付きレンズも好評
聞いた話によればいまから2年ほど前、ハリウッドで某スポーツ有名メーカーのCM撮影で20名以上のカメラマンが集められた。その参加条件として全員持ち込みによるカメラ機材での撮影ということだったそうだが、その時の持ち込みカメラの9割がなんとEOS C300だったと聞く。それだけアメリカでも人気の高い機種であり、日本でもレンタル会社がこの3年間「稼がせてくれたカメラ」だと聞く。
EOS C300 Mark IIとXC10のセミナーにも多くの来場者が詰めかけた。モニタリングの画面をそのまま投影する解説は非常に分かりやすい
あれから4年、ようやくその後継機としてEOS C300 Mark IIが発表され、XF-AVCやCanon Log 2などの新機能も含めてその注目度は非常に高そうだ。
キヤノンは屋外でのテント展示以外にも連日スタジオ内のミニシアターなどでEOS C300 Mark IIと新製品のXC10に関するセミナーや撮影監督を招いたパネルディスカッションを開催した。特に機能解説セミナーでは、実機とモデルを配し、最新のAF機能を交えて実際の画像を上映しながら解説して見せる等、てんこ盛りの新機能を具体的分かりやすく解説する内容に非常に好感が持てた。
Blackmagic Design
常に人が絶えないBlackmagic Designのブース
初日には空輸の都合で届いていなかったURSA Miniが二日目に登場。NABなどの大きなブースではなく、3コマほどの小さなブース展示だが、やはりここもずっと人気でごった返していた。
二日目に登場したURSA Miniには絶えず人だかりが…
特に人気なのは、Micro Cinema CameraよりもURSA Miniの方で、しかも新しく登場したBlackmagic Viewfinderに多くの関心が寄せられていた。1920×1080/フルHDで有機ELを採用、またディオプター調整機能、内蔵デジタルフォーカスチャートを内蔵している。
ようやく出たと期待値も高かった、有機EL・フルHD仕様のBlackmagic Viewfinder
さらにオプションでありながら、ビューファー自体の寿命を延ばすために、URSA Mini起動時しかオンにならないようなセンサーも内蔵しているという。また左右のどちらの利き目でも対応できて低価格だということで、ハリウッドでも人気が高まりそうだ。
Panasonic
VARICAM 35と拡張モジュールAU-VEXT1Gを組み合わせた延長形式のVARICAM 35を展示
Panasonicは、Stage31の屋内でVARICAMを中心に展示。リリースからここ半年で世界各地で撮られた最新のデモ映像とともに、実機展示についてはヘッド部とレコーダー部に分かれるセパレートオプションの展示と、NABで正式に発表されたcodexのV-RAWレコーダーに関する展示がなされていた。昨年発表時の初期のモックアップより些か流線型のスタイリッシュなデザインになった。こちらはcodexの専用キャプチャードライブにより、4K-120fpsまでのRAWデータ収録が可能。4K需要が多くなって来たハリウッドでも、新しいVARICAM 35はNetflixやAmazonなどの4Kコンテンツ必須の制作に次第に受け入れられているようだ。話題のAG-DVX200のモックアップも展示。
AG-DVX200も一応モックアップ展示。やはり実機とデモ映像が切望されていた(6/9、10国内開催のPanasonic内覧会ではデモ映像公開)
これとは別にLumixのブースが独立して設けられ、ここではこの4月の新たなファームアップ(ver.2.2)により、4K撮影時に新たに追加されたアスペクト比4:3モード(3328×2496ドット)による、シネスコサイズ撮影のデモが行われていた。4/3インチセンサーではトップクラスのセンサースコアを出しているDMC-GH4で、4:3画角のセンサー設定の機能と安価なアナモフィックレンズを使用して、最もお手軽にシネスコ撮影でできるユニットとして注目を集めた。新しいファームでは、電子シャッター撮影時に1/16,000秒のシャッタースピードをマニュアル選択可能で1秒~1/16,000秒の範囲で設定できる機能も追加されている。
別のブースで個別展示になっていたDMC-GH4のアナモフィック仕様の展示には多くの関心が寄せられた
Drone関連
Stage14のセンターに陣取ったDJI社はInspire 1などのデモフライトを披露
とにかく今回のCineGear会場では過去最大のドローン展示規模だったが、残念ながらアメリカの方が法規制が一段と厳しくなっていて、昨年までは屋外でもほぼ自由にバンバン飛ばしていたものが無くなった。
DJIのPhantom 3、そして新機種のInspire 1のカメラ専用に作られた、2~3ストップのNDレンズフィルター
今年はこのパラマウントスタジオ内でも規制が厳しくなったため、テストフライトデモもStage14のDJIのブース内の飛行エリアか、Stage27に設けられた特設飛行エリアで規定時間にデモフライトというカタチに限定された。しかしその人気と加熱ぶりは日本以上で、本流の映画機材とは異なるものの、新たな特機の流れとして映画関係者からも少なからず関心を集めていた。
Technologies and Techniques for Remote Aerial Imagingのセッション風景。セミナー形式のイベントの中でも最も人気があった模様。会場は熱気に包まれ、立ち見で受講する人々も多くみられた
特に開催二日目の6日午後にミニシアター会場で行われた、ソニー提供のドローン関連セミナー「Technologies and Techniques for Remote Aerial Imaging」というセッションでは、最新のドローン、ジンバルの開発者、メーカー関係者などを集めた技術解説とQ&Aという内容だったが、会場内は立ち見(通路に座り見)を含めて大入り満員の盛況ぶりだった。
ドローン情報に関する詳細は、姉妹媒体である“DRONE(drone.jp)” の方でも掲載しているのでそちらをご覧頂きたい。
DSLR Proのブースに展示されていた、TAYZU ROBOTICS社のウォータープルーフ仕様の水空両用ドローン「QUADORA」。三軸の防水仕様ジンバルを搭載
txt:石川幸宏 構成:編集部