4Kの放送も開始されすでにChannel 4Kというサイトから必要機材や番組表などが一般に公開されている。テレビやビデオカメラ、レコーダーなどの民生機器の充実も進み、来年の2016年にはBS放送でも4K試験放送開始される予定だ。すでに業務用の4Kカメラも各社から発売されているが、本格的な放送となるとスタジオカメラや高速度カメラ、レンズなどカメラ周りの周辺機器も必要になってくる。NABやIBCでもいくつかのメーカーからカメラをはじめとして周辺機器の発表もされているが、4K本放送直前となるInterBEEでは更に充実することに期待したい。

その先の8Kに関しては来年の2016年からBSを使っての試験放送が始まり2018年から実用放送が開始される予定となっていることから、今までNHK技研と共同で試作していたメーカーも今年辺りから本腰をあげて開発に取り組むと思われる。

もう一つ見逃せないのはSMPTE 2022規格の策定により、Video over IPによる非圧縮伝送の枠組みができたことにより、スタジオカメラのシステムが様変わりすることである。すでにソニーやグラスバレーはスタジオカメラシステムなどに導入した製品を投入しており、従来の同軸ケーブルが変わるとともにシステムそのものも大きく変わるだろう。

4K/8Kとなるとレンズのクオリティも従来のHDでは力不足となり、B4マウントの対応レンズが必要になってくる。テレビドラマやCM制作用としてはすでに多くのレンズが各社から出ている。また、ミュージックビデオでは演出上2:1以上のアスペクト比で撮影することもあり、こうした用途用のアナモフィックレンズの新製品にも期待が持てるだろう。

RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)

1 Red Digital Cinema

(ブース#6201)

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毎年新たな話題を提供してくれる同社は6K RED DRAGONセンサーを搭載したWEAPONを先のNABで披露している。カーボンファイバー製とマグネシウム合金製の2種類のボディタイプが用意され、カーボンファイバー製は軽量化し、ドローンへの搭載が考慮されているという。6Kをどう扱うかも含めてチェックしておきたい。同社のカメラはデジタルシネマとしてスタートしたがテレビドラマやミュージックビデオなどでも活躍しており、スチールのカメラとして雑誌の表紙撮影などでも使われている。ユーザーの要望を取り入れながら日々進化を遂げるREDに注目したい。

2 Blackmagic Design

(ブース#6502)

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今年のNABでURSA 4.6KやURSA mini 4K、Micro Studio 4Kなど、一気に4Kカメラのラインナップを増やして順次市場にでているが、まだ市場に出ていないカメラや、国内で発売されていないカメラもあり、まずはこうしたカメラの再確認をしておきたい。同社ではNABを製品発表の中心にしてはいるものの、IBCなど他の国際的なイベントで発表になる製品もあり、そうした意味で新製品の発表があるかもしれない!

3 キヤノン / キヤノンマーケティングジャパン

(ブース#6123)

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4K対応のカメラとしてはすでにXC10があるがその上はデジタルシネマカメラCinema EOSシリーズとなってしまう。その間の小型ビデオカメラの登場に期待したい。デジタルシネマ系のCinema EOSシリーズやHDカメラのXFシリーズ、XC10はNEW Xシリーズとなっており、4Kカメラのシリーズとして新製品が発表されてもいい時期だ。また、4K放送が始まると対応したB4マウントレンズが必要とされ、すでに箱型レンズUHD-DIGISUPER 90/86のほかCJ12e×4.3Bが出ているが、NABで参考出展されていた8K対応レンズも気になるところだ。

4 ソニー / ソニービジネスソリューション

(ブース#4414)

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ソニーはすでに多くの4K対応カメラを市場に投入しているが、2015年11月発売予定のXDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS5や、マルチフォーマットポータブルカメラHDC-4300が新製品として出展される。HDC-4300はB4マウントのレンズが装着可能で、ベースバンドプロセッサーユニットBPU-4000とカメラコントロールユニットHDCU-2000/HDCU-2500、さらには大型レンズアダプターHDLA-1500シリーズなどと組み合わせることで中継やスタジオカメラとしての運用が可能で、HDとのスイッチャブルとなっていることから、キー局を中心に普及が見込まれる。8Kに関してはデジタルシネマカメラF65と、スーパーレゾリューション・デモザイキングプロセッサーPWS-300SR1により最大8K×4K解像度の画像データとして超解像現像し、任意のアスペクトにて切り出して画像出力というソリューションが用意されているが、単体のカメラにも期待したい。

5 富士フイルム

(ブース#4207)

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4K対応のスタジオカメラはいくつかのメーカーから発表されているが、いずれも2/3光学系を採用したいわゆるB4マウントとなっている。4Kのクオリティを充分に発揮するためには4K対応に設計されたレンズが必要とされており、同社では4K対応80倍ズームレンズUA80×9と、ショートズームUA22x8の2本を発表している。デジタルシネマ用のレンズなど新たな市場にいち早く対応しているフジノンには4K対応レンズのラインナップ充実と8K対応のレンズに期待したい。

6 AJA Video Systems / アスク / ディストーム

(ブース#4206)

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4KプロダクションカメラCIONによりカメラメーカーにもなったAJA。4Kカメラメーカーとしては後発ということもあり、カメラの貸出を行ったり、Summer of Savingsプロモーションと称した特別プログラムを設定するなど認知、販売、普及活動を積極的に行っている。CIONはテレビCMやテレビドラマなど従来フィルムで行っていたテレビ向けの収録に対応したカメラといえるが、積極的なプロモーション活動の中で様々なユーザーからの要望を集約した次期機種がそろそろ出現しても良い時期だ。CIONが発表になった年には他社も様々なカメラを発表しており、対抗したカメラが必要とされている。

7 ナックイメージテクノロジー / カールツァイス

(ブース#3405)

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Carl Zeissは映画撮影用レンズからスチール写真用レンズまで長年に渡り定評があり、デジタルシネマでは定番といってもよいだろう。デジタル一眼によるデジタルシネマにもいち早くCompact Primeシリーズにより対応している。テレビ的な撮影スタイルに対応可能なZEISS CZ.2サーボユニットが新製品として発表されており、Carl Zeissも4K/8K時代をにらみテレビ対応を始めたようである。CZ.2サーボユニットはCompact Zoom CZ.2に装着することで、ENGカメラ用レンズのようにグリップでき、シーソー型のズームレバーなども備えている。リモートも汎用性のある12Pが装備され、一般に使われているアクセサリーなどが使用可能となっている。レンズは、36x24mmのイメージサイズをカバーするもので、マウントはPL、EF、F、MFTなどに対応可能だ。2/3光学系のビデオカメラには不向きだが、デジタルシネマ系のカメラをショルダータイプのビデオカメラのように使うのに適している。

8 パナソニック / パナソニックシステムネットワークス

(ブース#3408)

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今までもオリンピックのスポンサーとして数々のAV機器を大会に投入してきたが、2017年から2024年までのオリンピックのワールドワイド公式パートナー契約も結んでおり、当然4K対応のカメラもラインナップとしてラインナップの拡充が図られている。ただ、同社はリーズナブルな価格でそうしたシステムを提供することを目指しているようで、4Kスタジオカメラも単板式のものが内覧会などで披露されている。ハンディタイプのカメラAG-DVX200も同社のデジタル一眼の技術をかなり投入したものとなっており、センサーや画像処理エンジンなども共通したディバイスを採用する方向のようだ。業務用のカメラとしてこうしたリーズナブル路線をどのようにまとめ上げて製品化していくかが注目される。

9 池上通信機

(ブース#2518)

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8Kカメラをいち早くNHKと共同開発しており、9月には8K-SHVシステムカメラSHK-810を搭載した8Kスーパーハイビジョン中継車をNHKに納車している。これはオリンピック等の世界的なスポーツイベントでの運用が可能な仕様で、放送を前提とした8Kでは他社に先駆けてカメラをはじめとした収録システムを構築したことになるだろう。すでに4Kカメラのシステムは他社からのいくつも発表されていることから、同社ではその先の8Kでリードしていくようだ。こうした8K収録機材の詳細やハンディカメラなどスタジオカメラ以外にも期待したい。

10 グラスバレー

(ブース#2311)

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4K対応のLDKシリーズとしてスタジオカメラや高速度カメラなど、今年のNABでは精力的にラインナップを拡充している。収録用のカメラは他メーカーからも多数出ているが、CCUやカメコンを含めたスタジオ仕様のカメラの開発となると限られたメーカーとなり、貴重な存在だ。Belden傘下となり、先に傘下になったMirandaとの融合もうまく進んだ結果といえよう。同社の4Kカメラのシリーズはソフトウェアとハードウェアの組み合わせでグレードアップできる仕様になっており、製品マトリックスの中に8Kが含まれてくるのか否か期待したい。

※掲載しているブース写真は過去に開催されたイベントのものです。


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