txt:小寺信良 構成:編集部
プレスカンファレンスで冒頭挨拶する平井一夫CEO

プロ映像業界とコンシューマーの線引きが曖昧になった2016

毎年1月に米国ラスベガスにて行われるCES。本来はコンシューマーのショーであるが、プロ映像業界においても機材の線引きが曖昧になってきていることもあり、PRONEWS的にも見逃せないイベントの一つとなっている。

現地時間1月5日の本日は、明日からのコンベンション開催を前にメーカー各社がプレスカンファレンスを行っている。多くはプレゼンテーションのみだが、ソニーは毎年実際の展示ブース内でカンファレンスを行うため、プレス関係者には一般来場者よりも1日早く、実機を触ることができる。

これまでCESの主催団体はCEA(Consumer Electronics Association)であったが、この度CTA(Consumer Technology Association)に改名することになった。ソニーのカンファレンスでも具体的な新製品を訴求せず、テクノロジーとそれによって開かれるビジョンを紹介する格好となった。

プロユーザーに関係するところと言えばカムコーダーだが、新製品は2モデル。4Kカムコーダーの「FDR-AX53」と、HDモデルの「HDR-CX675」だ。日本での注目度からすれば、空間光学手振れ補正と搭載したAX53が気になるところである。

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機能一新の4Kカムコーダー、FDR-AX53

これまでソニーの4Kハンディカムは、最高峰として2年前に発売されたAX100があり、続いて昨年発売されたAXP35/AX30があった。今回のAX53は、このゾーンの後継機となる。日本ではプロジェクター付きがAXP、プロジェクターなしがAXと2モデルあるが、米国向けにはあまりニーズがないのか、プロジェクターなしモデルのみ展示された。

前モデルと比較すると、レンズと光学センサーが新設計となっている。レンズは光学26.8mmスタートの光学20倍ズーム、センサーは動画用に新開発した1/2.5型16:9 Exmor R CMOSセンサーだ。特に動画用として新たに16:9のセンサーを起こすあたり、さすが他社にも供給するセンサーメーカーとしての面目躍如であろう。

手振れ補正も空間光学ユニットと電子手振れ補正を組み合わせた「インテリジェントアクティブモード」を搭載、走りながら撮影してもほとんどブレを感じさせないほどの強力は補正力を誇る。

地味な点だが嬉しいところとして、従来XAVC Sフォーマット記録ではSDXCカードしか使えなかったが、今回からはSDHCのカードも使えるようになった。もちろん速度的にはClass10/UHS Speed Class 3である必要はあるが、廉価なSDHCが使えるのはメリットが大きい。

ただし日本だけでなく米国においても次第にカムコーダーの需要は減少しており、多くのユーザーの注目はα7シリーズやRXシリーズといったデジカメ系に集まっている。もちろん、今すぐニーズがゼロになることはありえないが、このままニッチ市場となってしまうのか、製品ラインアップの薄さが気になるところである。

txt:小寺信良 構成:編集部


Vol.00 [CES2016] Vol.02