別会場だからこそ堪能できる機材の世界

昨日の朝は暴風雨の影響で交通機関の乱れがあり、会場まで来るのが大変だったが今日は朝から快晴で気温もそれほど低くなく非常に気持ちの良い天候となった。以前はメイン会場にあったプロ向け動画エリアだが、昨年から会議センターに会場が移動になり、開催期間も短縮となり3月1、2日までの2日間となっている。

静かな場所で落ちついて見られるという利点はあるものの、メイン会場とは反対側に位置し、両方を見る来場者にとっては残念である。本日が最終日となるので、見逃しのないように回ってみよう。なお、出展メーカーはソニーやパナソニック、キヤノンなど主なカメラメーカーのほか三脚やバッテリーなどの周辺機器メーカーなどがそろっており、撮影関係の機材が中心になっている。

プロ向け動画エリア

■ソニー

ソニーはXDCAMメモリーカムコーダーPXW-Z90やNXCAMカムコーダーHXR-NX80のほか、デジタルスチルカメラDSC-RX0が主な新製品となっている。DSC-RX0は場違いな気もするがAVCHDコーデックでフルHD60p収録が可能なほかXAVC S HDコーデックで最大240fpsのハイフレームレートの収録ができるので、バラエティー番組などで仕込みカメラとして充分活用できるだろう。PXW-Z90とHXR-NX80はいわゆるハンドヘルド型のカメラで外観もよく似ているがPXW-Z90のほうはXAVC Long記録に対応しているほか、3G-SDI出力コネクターが装備されているところが大きな違いとなっている。

PXW-Z90とHXR-NX80はセンサーやレンズは同じで搭載されている記録コーデックやSDI出力コネクターのあるなしが大きな違いとなっている。業務用のカメラと組み合わせて使用する場合や局などではコーデックを共通するような場合はPXW-Z90ということになるだろう。

XDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS7M2。昨年PXW-FS7に独自開発した電子式可変NDフィルターを搭載してマイナーチェンジしたモデルで、レンズを回転せずに着脱できる新開発のレバーロックタイプEマウントを採用している。4K60pに対応した制作用のカメラとして100万円台というのは、比較的導入しやすい価格帯といえる。

XDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS5。2015年発売のちょっと古い機種で、本体のみでは4K60P収録に対応していないが、外部レコーダーを使用することで4K60P収録にも対応している。今月いっぱいキャッシュバックキャンペーンを行っているので、今が買い時かもしれない。

DSC-RX0は防水仕様で59.0×40.5×29.8mm110gという小型な形状ながら1型のセンサーを搭載している。落下などの耐衝撃性能も搭載しており、バイクやスキー、ヘルメットなどに装着して迫力のあるシーンを収録できる。

ソニーGレンズや各社のレンズが用意されており、レンズの違いによる使い勝手などをこの場で検証できるようになっていた。


■パナソニック

パナソニックはハンドヘルドやショルダー、三脚搭載での撮影の3つのシチュエーションを想定した3台のAU-EVA1を出展しており、AU-EVA1を中心に様々な撮影シーンでの使い勝手を検証できるようにしていた。ただ、交換レンズなどの用意がなく、その点はちょっと物足りない気がした。パナソニックは国内で開催されるアフターNABなど比較的小さな展示会では、その時に主力の製品に絞った出展を行っており、今回はCP+というカメラがメインの展示会ということもあり、AU-EVA1一択という道を選んだようだ。

AU-EVA1の最も基本的な構成。最新のファームアップデートVer2.0によりRAWデータ出力対応やイントラフレームコーデックへの対応、リモートオペレーションなどを実現。

ショルダーリグにAU-EVA1とメモリーカードポータブルレコーダAG-UMR20がセットされており、カメラでメインの映像を収録しつつレコーダーでサブの映像を収録。レコーダーにもモニターが装備されているので、アシスタントなどがカメラマンサイドで映像を確認することもできる。


■キヤノン

ハンドヘルドから制作用のカメラまで豊富なラインナップをもつキヤノンは、フラッグシップモデルといえるEOS C700を筆頭に昨年発売されたEOS C200BおよびXF405のほか、新製品のモニターDP-V2411などを出展していた。また、シネレンズCN-E18-80mm T4.4 LやCN7x17KASとEOSシネカメラと組み合わせた制作用の収録システムとしてまとめていたものやカメラスタビライザーに搭載したものなど、様々な撮影シーンでキヤノンのカメラやレンズを中心にシステムを組むことができることをアピールしていた。

昨年PLマウントモデルが発売されたEOS C700。装着されていたCN7x17KASはサーボユニットを装着することでENGカメラ用にレンズのように使用することができる。EOS C700は肩乗せ式のENGカメラにスタイルが近いので、こうしたレンズと組み合わせることで、ENGスタイルでデジタルシネマ撮影に対応できるという。なお、EFレンズモデルではオートフォーカスを利用でき、高精度なピント合わせが可能。

シネレンズCN-E18-80mm T4.4 LとEOS C200の組み合わせでオートフォーカスによる撮影が可能。ショルダータイプのカメラアダプターにより、三脚使用とショルダーによる撮影を臨機応変に切り替えることができる。

カメラスタビライザーとEOS C200Bによる撮影システムや4K対応のハンドヘルドカメラXF405といった新製品のほか4K対応のマイクロカメラXC15などのラインナップを出展。

4K60PHDR対応のDP-V2411とミキサールームや中継車で広く採用されているフルHDディスプレーと同じ17型のDP-V1710。DP-V2411は小型・軽量設計となっており、室内だけでなくオンセットユースにも対応することが可能。


■西華デジタルイメージ

西華デジタルイメージはRED 8K MONSTRO VVや防塵防滴仕様の大光量LED照明Creamsource Micro、既存のハロゲンバルブの灯体LEDユニットを装着する事で、従来の灯体を最新のLED照明化する事ができるRELAMPなどを出展した。

当初の予定ではRED 8K MONSTRO VVを出展する予定だったようだが、実際に出展していたのはRED Weapon DRAGON 6K

RED Digital Cinemaは10年ほど前にDSMC(Digital Stills and Motion Camera)という考えを公表したことがあった。これは動画は静止画の集合体でありREDはRAW記録を前提とした収録が可能なため、一般のスチルカメラより情報量の多い撮影ができ、1秒間に24や30、60といったフレームレートで記録するので、その中から必要な静止画を取り出せば写真として通用するというものである。当時実際に雑誌の表紙やポスターに使った事例を盛んに公表していた。「DigitalStillMotion」をコンセプトとしていたREDは最もCP+に出展するに値するカメラといえるが、現在ではほとんどのデジタル一眼が動画撮影に対応しており、積極的にアピールする要素ではなくなってしまった。ただ、その後パナソニックなどが4Kフォトとしてこうした考えを引き継いでいるようだ。

既存設備を活かしたままLED化をする事が可能なRELAMP。ハロゲンランプをRELAMPのユニットに交換するだけでLED照明にすることができる。調光やDMXに対応しているほか、ARRIやモールリチャードソン、デスシティなど海外製品のほか、国産の照明器具にも装着可能

防塵防滴仕様の大光量LED照明Creamsource Micro。IP65準拠防塵防滴仕様で大雨や台風などの環境下でも使用可能。80Wの使用電力でHMI照明の200Wに相当する明るさを実現。電源は専用ACアダプターによる電源供給のほか、DC10-32V(最大8A)まで対応しているので、車のバッテリーなどからの電源供給も可能。


■ティアック

スタジオ仕様のレコーダーからカメラと組み合わせで使用できるマルチトラックレコーダーなど様々なレコーダーを出展。最近はDR-10シリーズが立て続けに発売され、今回も新製品が一堂に介している。

カメラ用リニアPCMレコーダー/ミキサーDR-701D。HDMIコネクターを搭載しており映像とクロック同期、録音開始/停止動作の同期が可能。タイムコード入力対応で録音ファイルに時間情報を記録することができる。またカスケード動作によりトラックの拡張にも対応可能。

昨年末にSennheiser社とパートナーシップを締結し、Ambeo VR micなどのアンビソニックス音声収録に対応したDR-701Dの新ファームウェアV2.00が公開され、従来の機能に加え、A format/ B formatでの収録やステレオミックスでのB format信号のモニターが可能となった。

ピンマイクレコーダーDR-10X。キャノンコネクターのマイクに直接取り付けて音声収録が可能なモデル。過大入力を自動的に調整するリミッター機能やALCのほか、録音データの確認ができる再生機能やヘッドホン出力端子を搭載している。

ワイヤレスマイクシステムに取付けるだけでバックアップ録音が可能なレコーダーDR-10CS。ピンマイクで音声収録できるウェアラブル マイクロリニアPCMレコーダーで、SENNHEISERやSHUREなどワイヤレスマイクメーカー各社のシステムにそれぞれ対応する専用モデルが用意されている。

ピンマイクから直接録音することが可能なレコーダーDR-10L。ピンマイクが付属になっており、襟元など口元から近い場所に装着することでクリアで聞きやすい音声の収録が可能。ピンマイクとレコーダー部の接続はスクリューロックで固定する構造で装着時のコネクターの脱落や収録時の人の動きによる脱落を防止できる。

ショットガンマイク一体型カメラ用リニアPCMレコーダーDR-10SG。110gと軽量かつコンパクトな設計となっており、カメラのアクセサリーシューに装着可能。シーンに合わせて使い分けが可能な4つのEQプリセットを搭載しているほか、動画ファイルとの位置合わせを容易にするスレートトーン機能を搭載している。

ラべリア型コンデンサーマイクTM-10LB(黒)、TM-10LW(白)。抜け止め防止のロック機構付きコネクターを装備。DR-10Lに付属のマイクロホン。

プロ向け動画エリア 360°全天球動画

RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)


Vol.01 [CP+2018] Vol.03