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高感度画質と高い品質の動画性能を搭載したハイブリッドミラーレス
2020年9月3日、パナソニックは小型軽量ボディに高い基本性能を持ち、静止画と動画両面において高い性能を有しているハイブリッドフルサイズミラーレスカメラ「LUMIX S5」を2020年9月25日に発売する。希望小売価格はオープン。市場想定価格とラインナップは以下の通り。
- LUMIX S5ボディ:税別240,000円前後
- LUMIX S5ボディ+LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6レンズキット:税別280,000円前後
※360°「回転」「拡大」「縮小」が可能で本体細部確認できます。
注目すべきポイントは3つあり、1つ目が小型ボディに凝縮された高い基本性能。2つ目が上位モデルと同等の高画質表現力。3つ目が映像表現の幅が広がる多彩な動画性能になる。
センサー | 24MP、ローパスフィルターレス |
デュアルネイティブISO | ○ |
ISO感度 | 100-51200(50-204800) |
手ブレ補正 | Dual I.S2 5軸 6.5段/BIS:5軸 5.0段 |
HLGフォト | ○ |
ハイレゾモード | 96M(JPEG/RAW、カメラ内RAW現像) |
ライブビューコンポジット | ○ |
アスペクト比 | 3:2、4:3、16:9、1:1、65:24、2:1 |
まず1つ目の基本性能については、24.2MPのフルサイズCMOSセンサーとデュアルネイティブISOテクノロジー技術の搭載だ。S1と同じ24MPのフルサイズセンサー搭載で、S1シリーズと同じ最新の画像処理エンジンを搭載。静止画動画の高画質表現力を実現している。
また、今回のセンサーにはデュアルネイティブISOテクノロジーを搭載し、ノイズを抑制した高感度画質を実現。通常、1画素に1つの回路の場合、感度が上がればノイズも必然的に増えていく。
一方、デュアルネイティブISOの場合、1つの画素に低ISO回路と高ISO回路と2系統有している。ゲインアンプの前段でベース感度を切り替えることによって、高感度ノイズの低減を可能にしている。
オートフォーカスは、認識技術を駆使した高速高精度AFを実現。被写体までの距離を瞬時に算出できる「空間認識AF」に加えて、ディープラーニング技術を活用した顔、瞳、人体に加えて今回は頭部認識にも対応する「リアルタイム認識AF」を搭載している。
24.2MPフルサイズセンサーを搭載
手ブレ補正については、ボディ内手ブレ補正機構で5軸5.0段分、レンズとの掛け合わせにより「Dual I.S.2」で5軸最大6.5段分の性能を実現している。手持ちで気軽にブレを気にせずに撮影できるようになっている。
ファインダーは約236万ドット有機EL(OLED)LVFで、フレームレートは120FPSと60FPSをメニュー内での切り替えが可能となっている。また表示タイムラグは0.005秒の高速な最短を実現。背面モニターは、184万ドットのフリーアングル式を採用。高輝度広色域のモニターになっているので、屋外明るい屋外での視認性を十分確保しているという。
236万ドットのOLEDファインダーを搭載
184万ドットのフリーアングルモニターを搭載
ボディは防塵防滴対応。メモリーカードスロットは、SDカードのダブルスロットで、スロット1はUHS IIカード対応。順次記録やバックアップ記録、「振り分け記録」といった安心して撮影できる機能を搭載。電池寿命はCIPAで470枚、Wi-Fi 5GHzやBluetoothにも対応している。
SDカードダブルスロットを搭載
2つ目のポイントは、静止画の高画質表現力で、S1と同等のISO100から51200までの高感度を実現。拡張では204800まで対応する。また表現力を高める機能として、S1シリーズ同等の最大96MBの高解像写真が撮れるハイレゾモード対応や、Sシリーズで初めてとなるライブビューコンポジット機能、HLGフォトや多彩なフォトスタイルのアスペクト比に対応している。
マイク/ヘッドホン端子を搭載
3つ目の動画性能は、4K60Pの内部記録かつ10bit記録にも対応。4K60Pでは4:2:0、10bit、4K30Pで4:2:2、10bitのダイレクト記録が可能。さらにHDMI経由での10bit出力に対応。4K60Pの場合は、4:2:2、10bit出しが可能になっている。Log撮影については、S1H同等の14+ストップという広いダイナミックレンジや広色域、V-Gamutにも対応。
撮って出しですぐにシネマライクな絵作りが可能なシネライクD2/シネライクV2というフォトスタイル、さらに表現力を高める機能としては、スローモーションやクイックモーション、アナモフィック動画撮影への対応を特徴としている。
S5はボディ単体のほかに、LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6キットレンズセットを発売する。S5のボディとLUMIX S 20-60mmの組合せで重量約1kgの小型軽量システムを特徴とする。また、LUMIX S 20-60mmは、広角端が20mmで最短撮影距離が15cmまで寄ることが可能。また最大撮影倍率0.43倍を特徴としている。
LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6が360g、S5が714gと合計1064gの小型軽量システム
■S5とS1Hのサイズの比較
S5とS1Hを並べてサイズを比較してみた。S5は、動画性能を充実させながら、小型化を実現させているのがよくわかる。
S5はS1Hと共通の赤のレックボタンを搭載
左はS5でボディのみの重量は約630g。右はS1Hでボディのみの重量は約1,052g
4K60Pをしっかり撮れる動画機能
動画機能の詳細を紹介しよう。S5の動画機能の特徴は、4K60Pをしっかり撮れるところだ。また記録時間制限については、4K60Pと4K 10bit記録で30分間記録可能。
4K30P、8bitや4K 10bit記録、フルHDでは時間制限なしで撮影可能。60Pの10bit記録にも対応やアナモフィックモードに対応。スロー&クイックモーション対応がS5の特徴。主要な機能はしっかりと入れ込んだモデルになっている。
商品名 | S1H | S5 | S1 |
システム周波数 | 59.94Hz/50.00Hz/ 24.00Hz |
NTSC/PAL | – |
コーデック | MOV/MP4/AVCHD | MOV/MP4 | MOV(要アップグレードキーDMW-SFU2)/MP4/AVCHD |
6Kビデオ | 対応 | – | – |
4Kビデオ(C4K) | 59.94P/50.00P/ 29.97P/25.00P/24.00P/23.98P |
– | – |
4Kビデオ(4K) | 59.94P/50.00P/ 29.97P/25.00P/24.00P/23.98P |
59.94P/50.00P/29.97P/25.00P/23.98P | 59.94P/29.97P/23.98P |
動画記録制限時間 | 無制限 | 4K 59.94P/50.00P、4K10bit記録:30分 4K 8bit記録/FHD:時間無制限なし(温度制限) スロー&クイック:30分 |
4K 59.94P:29分59秒 4K 29.97P/23.98P/FHD:時間無制限なし(温度制限) ハイバースト動画:15分 |
10bit記録(C4K) | 59.94P/50.00P/29.97P/25.00P/24.00P/23.98P | − | − |
10bit記録(4K) | 59.94P/50.00P/29.97P/25.00P/24.00P/23.98P | 59.94P/50.00P/29.97P/25.00P/23.98P | 29.97P/23.98P(要アップグレードキーDMW-SFU2) |
10bit記録(FHD) | 59.94P/50.00P/29.97P/25.00P/24.00P/23.98P | 59.94P/50.00P/29.97P/25.00P/23.98P | 59.94P/29.97P(要アップグレードキーDMW-SFU2) |
10bit記録 (HDMIアウトプット) |
○ | ○ | ○(要アップグレードキーDMW-SFU2) |
ALL-Intra | ○ | – | − |
アナモフィック(4:3)4K | 50.00P/48.00P/29.97P/25.00P/24.00P/23.98P | 50.00P/29.97P/25.00P/23.98P | − |
HFR | 48.00P/120P(FHD)/10.00P(FHD) | − | − |
Log撮影に関してはV-Log対応で、VARICAMやS1Hと同水準の14+ストップという広いダイナミックレンジを実現。V-Gamutによる広色域の映像が記録が対応となっている。またV-Logの特徴で、同じV-Logを搭載するVARICAMやS1H、S1、マイクロフォーサーズのV-Log Lを搭載するGH5やGH5S、G9などで記録した素材を組み合わせても統一されたガンマ特性とルックで効率よく編集が可能。
内部記録だけでなく、HDMI経由での外部出力にも対応。外部出力は、4K60Pで4:2:2、10bitの出力が可能。ただし、4K60Pの4:2:2、10bit出力は出力のみで、その場合内部記録はなしという仕様となっている。
ATOMOS NINJA VへのHDMI経由での動画RAWデータ出力に対応
動画で表現を広げる機能として、シネマスコープサイズの映像を制作できるアナモフィック撮影に対応。さらに、スローモーションやクイックモーションというユニークな表現にも対応。こちらの機能はAF対応も特徴としている。モードダイヤルには、「S&Q」というポジションを設けて、即スローモーションやクイックモーションの撮影が可能。スローモーションの場合で最大7.5倍、クイックモーションの場合は最低で60倍を可能としている。
それ以外にも、HLG方式での4K HDR動画撮影に対応。豊かな階調を再現する動画撮影を可能としている。
またフォトスタイルに「709ライク」や「シネライクD2」「シネライクV2」を搭載。「シネライクD2」「シネライクV2」はVARICAMの絵作り思想を反映したルックを特徴としている。後編集なく、容易にこのルックを再現できるところが特徴となっている。
インターバル動画撮影にも対応しており、被写体の変化を滑らかな映像での表現を可能。さらに動画の撮影機能だけではなくて、アシストする機能を搭載している。
また、動画中に背面モニターの周辺にフレームを表示することによって、編集でトリミングする時の画角をイメージしながらの撮影が可能となる「フレーム表示機能」も搭載している。
ファームアップでHDMI経由での動画RAWデータ出力に対応
Sシリーズは、2020年内公開予定のファームアップを予定している。S5は、ATOMOS NINJA VのHDMI経由での動画RAWデータ出力に対応。5.9Kの30Pや4K60P、アナモフィック3.5Kの50P動画RAWデータ出力に対応する。
内部記録でシネマ4Kの映像記録対応やアシスト機能もさらに充実を図っていく。フォトスタイルに「L.モノクロームS」と「L.クラシックネオ」の2つを新たに追加する。
S1HやS1、S1Rには、今回S5で取り込んだAF性能向上を展開する。S1Rは、47Mの高画素センサーという特徴を生かして、5K動画記録記録に対応する。
ファームアップによる性能向上
■DC-S5
- ATOMOS NINJA VへのHDMI経由での動画RAWデータ出力に対応-5.9K(5888×3312)29.97P/25P、4K(4128×2176)59.94P/50P、アナモフィック3.5K(3536×2656)/50P
- C4K動画記録対応
- 動画撮影アシスト機能追加-ベクトルスコープ表示、マスターベテステル調整、SS/ゲイン操作(秒/ISO、角度/ISO、秒/dB)
- 新・フォトスタイル対応-L.モノクロームS、L.クラシックネオ
■DC-S1H/S1
- AF性能向上(S5同等)
■DC-S1R
- AF性能向上(S5同等)
- 5K動画記録対応
交換レンズのラインナップを拡充
最後に、交換レンズについても紹介しよう。パナソニックは交換レンズのラインナップの拡充を予定している。望遠レンズの70-300mm F4.5-5.6を開発中のほか、さらに低照度下での撮影やボケを生かした表現を可能とする大口径短所焦点レンズシリーズで24mm、35mm、50mm、85mmの開発も進めている。大口径短所焦点レンズシリーズは、すべて同一サイズ、同一操作性というところを特徴としている期待大のシリーズとなる。
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