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SDIやHDMIに加えて、NDIにも対応するPTZカメラ登場

今回は、2021年8月19日に発売したアバー・インフォメーションのNDI対応の4K自動追尾リモートカメラ「PTC310UN」を紹介しよう。

アバー・インフォメーションは、テレビ会議システムやWebカメラを得意とする台湾に本社を持つ外資系映像機器メーカーだ。昨今のリモートワークやリモートプロダクションのニーズの高まりとともに、同社の名前も聞くことが増えている話題のメーカーだ。

NDI対応の4K自動追尾リモートカメラ「PTC310UN」

■NDI対応AI自動追尾リモートカメラ「PTC310UN」
価格:税込319,000円
問い合わせ先:アバー・インフォメーション

特徴は、SDI、HDMIに加えてNDIで映像を扱うことができるところ。カメラモードを変えることでUSBからパソコンのWebCam(ビデオクラス)として利用してテレカンファレンスで利用することもできるのは便利だ。PTZコントロールも従来のRS-232、RS-422に加えてネットワーク越しにIP版のVISCA(ソニーの通信プロトコル)でできる。

当然電源もACDC12Vのアダプター以外にネットワークから供給されるPoE(パワーオーバーイーサネット)は「PoE+」に対応しているので、LANケーブル1本の運用が実現可能。

Vol.09 AVer PTC310UN NDI PTZカメラの設定zoomとvMix編[NDI world]
リアパネルの左に注目。PoE+に対応している

PoEで電源供給してNDIで映像音声を受け取り、コントロールも含めて1本のLANケーブルでネットワーク越しに利用できるため、設置運用が大変楽になった。そのために多少はネットワークの知識が必要になる。ケーブルを挿しただけでは済まない設定が初回に必要だ。もちろん一度設定が済めば、ケーブルを挿して起動するだけの簡単運用が可能になる。

Vol.09 AVer PTC310UN NDI PTZカメラの設定zoomとvMix編[NDI world]

IPアドレスの設定

PTZカメラは、本体だけでは設定の中身を確認することができない。アバー・インフォメーションはWindows専用のユーティリティアプリケーションでネットワーク(IPの設定が違う状態でも)上にあるカメラを探し出してIPアドレスの設定を行うことができる。もちろんカメラにはセキュリティがかかっているので、IDとパスワードでログインすることが必要だ。

Vol.09 AVer PTC310UN NDI PTZカメラの設定zoomとvMix編[NDI world]

一度IPアドレスが同一ネットワークに設定されるとWebブラウザから細かなカメラ設定やコントロールを行うことができるようになる。この画面だけで通常の運用を行うこともでき、プリセットを記憶させて迅速に呼び出すことができる。カメラの動作スピードも好みの状態に合わせることができる。追跡の設定を行うと、プレゼンターや決められたゾーンでの自動追尾をしてくれる。

Vol.09 AVer PTC310UN NDI PTZカメラの設定zoomとvMix編[NDI world]

もちろん複数のカメラでもIPアドレスが違うのでブラウザのタブで切り替えて1台のパソコンから管理することもできるが、できたらスイッチャーと連動させる方法(後序)をおすすめする。

Zoom Roomsでの運用

ちなみにZoomのソフトウェアベースのルームシステム「Zoom Rooms」などでは、リモートに接続されたPTZをコントロールする機能も提供されているので、試してみると面白いと思う。Zoom RoomsでUVCコントロール付きのPTZカメラを使用している場合は、iPadコントローラーを使用してカメラを別の位置に移動できる。

Vol.09 AVer PTC310UN NDI PTZカメラの設定zoomとvMix編[NDI world]

この機能は、Zoom Roomsバージョンは4.0以降で使用できる。他の参加者または別のZoom Roomsのカメラをリモートで制御可能で、Zoom Rooms Controller4.0以降で使用できる。

他のカメラを遠隔操作するには:

  1. ミーティングを開始または参加
  2. [参加者の管理]アイコンをタップして、ミーティング参加者のリストを表示

カメラを制御する参加者の名前をタップして、[カメラ制御の要求]を選択。遠隔のカメラを動かす場合は、動作の遅延など時間差がある。使い慣れる必要があるだろう。

    
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映像の解像度設定は、扱う制作スタイルに合わせることができる。SDIやHDMI以外に、ネットワークでNDIを利用することができるのが重要なポイントだろう。

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このPTZは被写体の自動追尾を行うことができる。そのエリアや感度などの調整ができる。

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システム設定もこの画面で行える。管理者以外に利用するユーザーの登録も適時行うことが必要だ。

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vMixでの活用

Windowsソフトベースのスイッチャーアプリケーション「vMix」を使うと、キャプチャーデバイスなしでNDI素材のPTZカメラを呼び込むことができる。もちろんキャプチャーデバイスがあれば、SDIやHDMIの素材としてマルチカム運用が可能。

vMixならではの合成素材としても、PTZカメラはPinPなどの中身を変えられる便利な入力ソースになる存在だ。特にカメラマンのいない状態でも、多くの参加者やアングル、カメラワークがクリック一つで実現できる便利さは味わうと癖になることだろう。

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ライブストリーミングソフトウェア「vMix」
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このPTC310UNは、IP Visca互換のコマンドでリモート操作することができた。デバイスごとに多くの方言がある状態だが、単純に共通化できるほど枯れた技術ではないので、今後も様々なコントロール方式が出てきて混乱の時期が続くだろう。それだけにPTZカメラにできることが広がっているのだ。メーカー独自の機能を拡張する以外の基本的な動作部分だけでも共通規格にしてくれるとありがたいと思う。

ネットワークでの制御の便利さとは、複数のデバイスからコントロールが可能になることだ。スイッチャーからは位置情報、アングルなどの制御に専念して、色味や画質などは別のタブレットなどでカラーコントロールできるようにしていく方向になるはずだ。

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複数のPTZカメラを受け取って、マルチカメラでスイッチする環境が簡単に実現する。もちろんアングルをプリセットに記憶して多彩なカメラワークを遠隔で行うことが可能だ。

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vMixから見ると、PTZカメラのプリセットも新規のデバイスのように並んで表記されるため、好みのキーボードに割り当てることでマルチカメラの醍醐味を味わうことができる。カメラによってはプリセット間の移動の動きを使いたくない演出上の理由も出てくるだろうから、最低2台以上のPTZで切り替えて、プレビュー状態で移動してスタンバイするような運用がスムーズだろう。

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おのりん(こと 尾上泰夫)|プロフィール
映像に関わり47年。テレビの報道取材がフィルムからビデオに替わった初期のテレビで、報道、スポーツニュースをカメラマンとして過ごす。その後、制作に興味を持ち旅番組の演出を担当。さらにモータースポーツの中継番組からメーカーのプロモーション映像、大型展示映像などを手がける。インターネットでのIP動画配信でカジュアルな映像機器がもたらす動画の可能性を感じて、より小型でシンプルなシステムを啓蒙してコンテンツホルダー向けのコンサルティングや、発信する組織、個人に向けた動画の学校を主宰している。

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