ポストプロダクション部門のノミネート発表
ポストプロダクション部門は、撮影後の仕上げ作業で使用されるツールや周辺機器を取り上げる。ツールは昨年同様、Creative Cloud、EDIUS X Pro、Media Composer、DaVinci Resolve、Final Cut Pro Xをノミネートした。どのツールも定期的にアップデートを公開しており、今年はアップルM1対応が話題になった。
2021年は、コンピューター新製品の話題も気になる年だった。昨年発売されたアップルM1搭載Macはワークステーション級のパフォーマンスで話題を呼んだ。今年は、M1 ProやM1 Max搭載MacBook Proでさらなる処理能力向上を実現しており、ポスプロ業界でも大注目を浴びた。
ポストプロダクション部門のノミネート製品は以下の通りだ。
■Adobe Creative Cloud
希望小売価格:Creative Cloudコンプリートプラン:税込6,248 円/月、Premiere Pro単体プラン税込2,728円/月
アドビのビデオ製品は、今年も話題のアップデートを次々と公開した。Premiere Proは、2021年7月に公開したバージョン15.4でM1チップにネイティブ対応を公開。M1 ProやM1 Maxシステムでは、4Kや8K ProResフォーマットのパフォーマンスが最大5倍になるという。Adobe SenseiのAI技術を活用した音声テキスト変換や簡単に正確なカラーマッチングを実現するインテリジェントカラー補正など、今年も注目の新機能搭載が多かった。
■Grass Valley EDIUS X Pro
希望小売価格:EDIUS X Pro通常版:税込65,780円
EDIUSは、Windows対応の日本国内開発の映像編集ソフトウェアであることはお馴染みだ。最新バージョンは2020年9月25日に発売した「EDIUS X Pro」で、定期的にアップデートを公開中だ。Log/RAW素材を活かした4K HDRのカラーグレーディングやXAVC、XF-AVCなど数多くの業務用フォーマットに対応している。放送現場で培われた堅牢性やカスタマイズ性など、プロフェッショナルビデオ編集に特化したソフトウェアとしている。Version 10.30では、Windows 11、H.265、RAW、ハードウェアアクセラレーションなど、多くの新機能と最新テクノロジーのサポートが含まれている。
■Avid Media Composer
Media Composerは、放送局やポストプロダクションで高い導入率を誇る編集ツールだ。定期的な新機能の追加や機能改善によって進化を続けており、2021年は6回のアップデートを公開した。特に2021.12のアップデートでは、待望のアップルのM1チップ対応やWindows 11、macOS Montereyのサポートが話題だ。
■Blackmagic Design DaVinci Resolve
希望小売価格:DaVinci Resolve:無料、DaVinci Resolve Studio:35,980円
今年はM1チップ対応のアップデートが大変な話題になった。2021年8月に公開した17.3ではM1チップ搭載モデルで最大3倍の高速化を実現し、2021年10月公開の17.4ではM1 Pro/M1 Maxチップ搭載モデルで最大5倍高速化を可能としている。8Kプロジェクトの再生、編集、グレーディングがさらにスピードアップし、8Kフッテージを最大12ストリームまで扱えるという。DaVinci Resolveはカラーグレーディングの定番ツールでありながら、これだけの機能を無料で使用可能なことは驚異的であり、ユーザーにとっては嬉しいことだ。
■Apple Final Cut Pro X
希望小売価格:税込36,800円
MacBook Pro(2021)のM1 ProやM1 Maxチップのパワーとパフォーマンスを最大限に活かせるバージョン10.6の公開が話題になった。バージョン10.6+MacBook Pro(2021)で、8K ProResの7ストリーム再生や新しいLiquid Retina XDRディスプレイで8K HDRビデオのカラーグレーディングがノートブック上で可能になる。さすがはアップル純正編集ツールで、M1 ProやM1 Maxへの対応はどのツールよりも早かった。
■SHARP 8M-B32C1
発売:2021年6月下旬 希望小売価格:オープン
8M-B32C1は、卓上などの限られたスペースにも設置しやすい32V型8K液晶パネルを搭載したカラーマネジメントディスプレイだ。写真や画像の細部までを確認しながら、効率的にレタッチ・編集作業が行えるとしている。また、HLG方式とPQ方式、2つのHDR映像に対応し、TV番組や映画、ネット配信動画など、幅広いジャンルの動画コンテンツの制作に活用可能。ピーク時1,000cd/m2、全白時800cd/m2の高輝度と、100万:1の高コントラスト比、Rec.2020規格の85%をカバーする広色域表示により、広範囲の輝度と色情報を持つHDRコンテンツを、豊かな階調表現と鮮やかな色彩で再現できるとしている。
■SONY PVM-X3200
発売日:2021年2021年10月 希望小売価格:税込2,090,000円
PVM-X3200は、4K HDR対応ピクチャーモニターだ。編集室などの標準モニターとしてお馴染みのBVM-HX310と同じ色域や全白時1,000cd/m2の高輝度を実現しており、映像制作ワークフローにおける一貫した色再現を可能としている。予算の都合上すべての場所にBVM-HX310(マスターモニター)の導入が困難な現場や、サブモニターや編集用モニター、VFX、CGテロップなどのHLG信号やPQ信号を確認するモニターとして最適としている。
■Apple MacBook Pro(2021)
発売:2021年2021年10月26日 希望小売価格:税込419,800円(16インチ、Apple M1 Max搭載モデルの最小構成価格)
MacBook Pro(2021)は、高性能コア8基、高効率コア2基の合計10コア構成を特徴とするM1 ProやM1 Maxを搭載したコンピューターだ。M1 Proは、M1より最大70パーセント高速なCPUパフォーマンスや最大2倍高速なGPUパフォーマンスを実現する。M1 Proは、M1の帯域幅の3倍近い最大200GB/sのメモリ帯域幅を実現し、最大32GBの高速ユニファイドメモリにも対応。M1 Maxは、カスタマイズで64GBユニファイドメモリ搭載の選択も特徴だ。
以下がポストプロダクション部門のノミネート製品となる。
■PRONEWS AWARD 2021ポストプロダクション部門 ファイナリスト
- Adobe Creative Cloud
- Grass Valley EDIUS X Pro
- Avid Media Composer
- Blackmagic Design DaVinci Resolve
- Apple Final Cut Pro X
- SHARP 8M-B32C1
- SONY PVM-X3200
- Apple MacBook Pro(2021)
はたして何が受賞するのか…?いよいよ発表!
PRONEWS AWARD 2021 ポストプロダクション部門 ゴールド賞
Blackmagic Design DaVinci Resolve
受賞にあたり、Blackmagic Designよりコメントをいただいた。
非常に光栄に思います。すべての人を満足させることはできない、とはよく言われることですが、DaVinci Resolveはその不可能に挑戦していると言えると思います。頻繁なアップデート、多種多様なツール、映像から音声まで垣根なくカバーしたページ、これらはどれも一人でも多くの方々にご満足いただきたいという思いから生まれています。
DaVinci Resolveのここまでの成長はユーザーの方々からのフィードバックがなければ実現していません。これまでフィードバックを寄せていただいた多くの方々に感謝申し上げたいと思います。
これまでも毎年DaVinci Resolveのユーザーは増え続けていましたが、今年はさらに増加の速度が増し、ユーザー数が一気に増えた印象があります。そしてユーザーが増えただけではなく、ユーザーの方のDaVinci Resolveへの理解もさらに深まっていると思います。これは嬉しいことです。
敷居が低いのにどこまでも奥深い編集ソフトとして、DaVinci Resolveは今後もなおいっそう成長を続けていくことと予想されます。これからもDaVinci Resolveを引き続きご愛用いただけますと幸いです。
PRONEWS AWARD 2021 ポストプロダクション部門 シルバー賞
Apple MacBook Pro(2021)
受賞にあたり、Apple Japanよりコメントをいただいた。
この度は「PRONEWS AWARD 2021」にお選びくださいまして誠にありがとうございます。映像業界と共に進化して来た弊社に脚光を当てていただき、深く感謝申し上げます。
映像業界に関わる皆さんに、ぜひ一度そのすぐれたパワーを体感いただけましたら幸いです。