PRONEWS AWARD 2021 VOL.06大賞メイン写真

PRONEWS AWARD 2021大賞は…!?

大晦日である。今年最後は、恒例のPRONEWS AWARD 2021大賞発表となる。

まずは2021年の映像業界を振り返ってみよう。2021年は変化の年だったと思う。これまでとは異なる製品やソリューションが目立った印象だった。

その1つが、レンズ、カメラ、回転台を一体化したリモートカメラだ。Inter BEEでは、キヤノン、パナソニック、JVCケンウッド、アバー・インフォメーションなど現地での展示の多さが目についた。実際にライブ配信の現場カメラで、ミラーレス、カムコーダーに続く選択肢のひとつになっている。

2つ目は、メタバース(仮想世界)だ。映像業界にもその潮流は押し寄せている。2021年はPRONEWSでもバーチャルプロダクションを包括的に取り上げてきたが、いよいよ大きな動きとして目逃せない。例えば、電通クリエーティブX・東北新社・ヒビノの共同プロジェクト「メタバース プロダクション」発足や松竹が代官山メタバーススタジオ開設など、バーチャルプロダクションの手法を使って仮想空間とリアル世界の融合の試みが各社で始まった。近い将来、完全にメタバースの中で撮影からライティングまでが行われることも当たり前になるのかもしれない。

そして3つ目が、8Kにおける撮影と編集がいよいよ現実的な領域に移行したことも挙げられる。シネマカメラでは、REDの「RED V-RAPTOR 8K VV」、ミラーレスではソニー「α1」やニコン「Z 9」が発売され、2022年にはソニー「VENICE 2 8K」やDJIの「DJI Ronin 4D 8K」の発売も控えている。

また、アップル新型M1 MAX搭載Macの登場は、8K映像制作が本格的にスタートを大きく後押ししている。もちろん映像制作納品物は、未だフルHDが多いことも事実ではある。2022年は、8Kの技術が活かされる年になるだろう。

今年のPRONEWS AWARD 2021大賞は、そんな変化の年を映し出す、製品を選出した。PRONEWS AWARD大賞に向け、編集部の2021年の答えがこれだ。

PRONEWS AWARD 2021 大賞

DJI Ronin 4D

PRONEWS AWARD 2021 VOL.06グランプリ説明写真

DJIといえばドローンでお馴染みのメーカーだが、満を持してシネマカメラを投入してきた。これまで同社が培ってきた技術を惜しみなく実装した渾身の一台となる。空撮で活用されてきた「シネマティックイメージング技術」、ジンバルで定評のある技術にさらにZ軸の安定性を付加した「4軸安定化機構」、 LiDAR技術を「LiDARフォーカス」、ドローンでの映像伝送技術を盛り込んだ「統合型映像伝送システム」をオールインワンにした映像制作ソリューションを実現した。シネマカメラ業界でお馴染みのARRIやソニー、REDとはまったく違う、「型破り」という表現が似合う機能もその目立つ筐体も特異なシネマカメラが登場した。そのDJI Ronin4DにPRONEWS AWARD大賞を贈りたい。

受賞にあたり、DJI JAPAN株式会社よりコメントをいただいた。

この度は、輝かしい「大賞」を頂戴し、誠に光栄に存じます。DJIは、全世界のクリエイターの皆さまが入手しやすく直感的に操作できるデバイスを用い、多くの映像制作者にシネマティックな映像制作の機会を与えたいという想いがあります。今後、より多くのクリエイターの皆さまが、この製品を使って作品を制作し、私たちを驚かせ刺激してくれることを期待しています。

シネマカメラの開発はDJIにとって大きな挑戦で、Z軸、8K/75fps動画、LiDAR、Trackingの開発では苦難の連続でした。Ronin 4Dの開発には5年の歳月がかかっており、世界中の撮影監督の方とやり取りしながら、商品の形状やシステム設計の見直しを繰り返して現在の形になっています。技術課題解決に捕らわれることなく、映像表現に集中できる環境を提供することで、もっと自由に映像制作を楽しんでいただきたいと考えています。

昨年11月に開催のInterBEE展ではデモ体験ブースまで、予想をはるかに超える多くの方にお越しいただき、業界関係者ならびクリエイターの皆さまの注目の高さを伺い知ることができました。実際操作してみると、改めてRonin 4Dの素晴らしさをご体感できると思います。機会がありましたら、是非一度ハンズオンをご体験ください。

2022年の展望

2021年は、様々なことがありつつも多くの製品やサービスがリリースされた1年となった。「DJI Ronin4D」のように時代が後押した特異なカメラの登場は、まさに2021年を象徴しているといえる。既存のカメラメーカーではできないアプローチで生まれたことは注目すべき点だ。

前述の通り、これまでとはコンセプトが異なるカメラや「メタバース」、「8K時代の幕開け」など次への展望はいくつか思いつくが、果たして2022年はどういう年になるのか?思いを馳せつつ、1年の幕を下ろしたいと思う。


Vol.05 [PRONEWS AWARD 2021] Vol.00▶︎