いよいよ現場に導入された DJI Ronin 4D

雑誌、Web、広告などで幅広く活動中のカメラマン森山将人。広告・雑誌ではポートレイトを中心に活動中だが、最近はアーティストのPV撮影などのビデオグラファーとしても活躍中だ。俳優の光石研が東京の古着屋を訪れるロードムービー的なストーリーで人気を博しているYouTubeドラマ「東京古着日和」では撮影を担当しており、2022年秋公開予定の映画 「大阪古着日和」では、DJIのRonin 4Dを投入して撮影を行っているという。スチル撮影と動画撮影で活躍中の森山氏にRonin 4Dの感想を聞いてみた。

森山将人

1980年生まれ、新潟県出身。スタジオ勤務を経て、フォトグラファーとして独立。小誌をはじめ音楽や映画などのカルチャー誌、広告などで幅広く活躍中。最近はムービーにも力を入れ、アーティストのMVも手がける。

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映画 「大阪古着日和」の撮影にRonin 4D投入

――フォトグラファー森山さんがまずDJI Ronin4Dを選んだ理由をお教えください

森山氏:

とにかく機材が好きです。僕自身はフォトグラファーなので機材は基本的に所有していて、仕事に応じて機材を使い分けます。 映像の仕事も行うようになってシネマカメラも新しいものがあれば実際に手に入れてガンガン仕事で使用していくスタイルです。今回のDJI Ronin 4Dもその一つになりますね。

――今でもフォトグラファーがメインなのですか?

森山氏:

写真の業界は25歳からで、今年で16年目になります。スチルと映像の割合は3:7ぐらいで、映像の率は広がっています。主にミュージックビデオ、Web広告などの動画撮影が増えてきています。

フォトグラファー森山将人インタビュー説明写真

――今回、Ronin 4Dを使ったのはどのようなプロジェクトですか?

森山氏:

YouTubeドラマシリーズ「東京古着日和」のスピンオフの映画プロジェクト「大阪古着日和」の撮影に使用しました。「さらば青春の光」というコンビで活動中の森田哲矢さんが主演です。先日大阪で5日間の撮影を行い、2022年秋公開を目指しています。
「大阪古着日和」は、ソニーFX9をメインカメラとして撮影予定でしたが、谷山武士監督に「Ronin 4D」という面白いカメラがありますよと伝えました。監督もカメラが好きで、「面白いね」と言ってくれまして、晴れて導入となりました。
とはいえ、テストもできなく、ぶっつけ本番になってしまうのを避けるために、システムファイブで店頭デモを体験しました。そこでこれはいけると手応えを感じて、正式に導入に至りました。

フォトグラファー森山将人インタビュー説明写真

――森山さんが所属するトライバルとは、どのような会社でしょうか?

森山氏:

クリエーターのマネージメントを行っていまして、カメラマンは11人、レタッチャーは2人所属しています。企画制作、写真・映像・3DCGをトータルプロデュースするプロダクションでもあります。

小規模なワンオペレート撮影に向いたカメラシステム

――Ronin 4Dの第一印象はいかがでしたか?

森山氏:

デモ時に、直感的に操作できたことは驚きでしたね。実際に歩行しながら撮影も試みたのですが、揺れが抑えられて滑らかな映像を撮影ができたのにはちょっと感動しました。メインモニターにはLiDARウェーブフォームや露出波形が表示されて、それを確認しながら調整が可能なのもよかったです。
その後の撮影現場でも感じたことですが、ブラックマジックデザインのシネマカメラのようにシンプルなユーザーインターフェイスの操作性がいいと思いました。シネマカメラによってはホワイトバランスの変更に手間のかかるものもありましたが、Ronin 4Dは一目瞭然で、アシスタントでもだいたい分かると思います。
大掛かりなステディカムが必要なくなったのも大きいと思います。もちろんステディカムを否定しているわけではないですよ。ベストなど周辺機器が大掛かりでなくてもスムーズな映像が撮影可能になったのは大きいと思います。
あとは、カメラ、モニター、コントローラーのすべてが一体型になることで、短時間のセットアップが可能でした。今まででしたら、Roninをソニーα7に乗せて、ワイヤレスシステムのBOLTやSHOGUN、フォーカスフォローをセットアップしていました。この準備にかかる時間短縮は大きいです。一体型によって30分以上の準備時間が短縮できるのではないかと思います。

フォトグラファー森山将人インタビュー説明写真

――Ronin 4Dはワンオペレーションの仕事に対応できると思いますか?

森山氏:

可能だと思います。大阪古着日和の撮影では、横に激しく走ることもありましたが、Ronin 4Dのオートトラッキング機能が助けてくれました。被写体を画角に入れておけばオートフォーカスを継続しながら構図も調整もしてくれるのは相当楽でした。カメラマンは、ジンバル特有の走り方を気にしなくてもいいので、快適に撮影ができましたね。
あとは、Ronin 4Dが一式のみの場合、フォーカス合わせ担当にグリップを渡してしまうと、本体をどう持てば、しっくりくるかは定まらなかったですね。もう一式グリップを導入すればいい話ですが…。

――DJIへのリクエストがあるとしたら何でしょうか?

森山氏:

実は、Z軸スイッチ(4Dボタン)を押すのを忘れることがありました。カットがかかって確認してみると映像が揺れていて、後からZ軸スイッチを押していないことに気がつくことがたびたびあり、これは結構忘れてしまう人は多いと思います。
あとは、今はInspire2などで使用するバッテリーしかラインナップされていません。もう少し大容量のモデルをラインナップしてほしいですよね。Vマウントバッテリーに対応して、モニターのバッテリーも共用できればいいと思いました。充電器を減らせるだけでもまったく違うと思います。

――古着日和はRonin 4Dでの撮影が定番になりそうですか?

森山氏:

定番になることは間違いありません。恐らく、私の現場では毎回導入していくと思います。
今後は、アパレルのブランドショーの撮影で使う予定です。アパレル業界は新型コロナウイルスの影響で人を集めてショーができないため、ブランドムービーと呼ばれるランウェイを撮影して公開することが増えています。そのランウェイの撮影にRonin 4Dを使おうと考えています。

フォトグラファー森山将人インタビュー説明写真

――いろいろなシネマカメラを乗り継いでこられた中で、森山さんの中ではRonin 4Dはヒットですか?

森山氏:

当りです。ただし、Ronin 4Dをシネマカメラに代わって三脚据え置きのカメラとして使えるのか?まだそこに悩んでいます。メインのシネマカメラがありつつ、サブとしてRonin 4Dを使うのか?2台のRonin 4Dを用意して1台を三脚固定、1台をフリーワークとして使うのか?まだ見えていません。Ronin 4Dを三脚固定のカメラとして使うことに浸透するのであれば、2台購入しようと思います。メインとサブカメと両方で使えればとても楽です。
でもそうなると、望遠レンズへの対応も期待したいところです。現在は最長100mmぐらいですが、それ以上への対応ができるようになれば幅が広がると思います。

東京古着日和

森山氏が、撮影監督を努めた東京古着日和