開放F2を広角端で達成。準広角35mmから望遠150mmをカバーするポートレートズームレンズ「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD(Model A058)」

CP+2022オンラインや、リアル展示会場で展示予定だった製品についてタムロンの担当者に話を伺った。

――CP+2022の目玉製品(プロダクト/サービス/ソリューション)を教えてください
「35-150mm F/2-2.8 Di III VXD(Model A058)ソニーEマウント用」です。

――主な特徴や、アピールポイントを教えてください
主な特徴は以下の4つです。

(1)Eマウントレンズとして世界初のF2-2.8(※フルサイズミラーレス用ソニーEマウントズームレンズにおいて。2021年8月現在、タムロン調べ)
(2)高画質、高解像、ズーム全域(ズーム比4.3倍)において高い光学性能を実現

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(3)高速・高精度AFを実現する、リニアモーターフォーカス機構VXD(Voice-coil eXtreme-torque Drive)搭載
(4)新レンズデザインの採用。レンズを構成する各パーツを細部まで見直すことで、操作性とともに質感も向上(28-75mm F2.8 G2(Model A063)共通)
ズームリング・フォーカスリングは内部に金属部品を加え、より滑らかな操作性を実現。メリハリのあるレンズボディで手にフィットするグリップ感を実現。傷や指紋の目立ちにくい新塗装の採用

――どのような現場やシーンでの使用を推奨・想定していますか?
35mmで周囲の景色を含めた全身の人物撮影から、150mmでは表情や視線を重視したバストアップの撮影まで、中望遠の85mmを中心にポートレート撮影に最適です。特にリズム感が大切なポートレート撮影においては、レンズ交換なくシームレスな撮影できることが利点で、モデルの一瞬の表情も逃さない作品作りが可能です。

――製品の開発コンセプトを教えてください
フルサイズミラーレス一眼カメラ対応ソニーEマウント用ズームレンズとして初めて開放F2を広角端で達成した、準広角35mmから望遠150mmまでカバーする高解像なポートレートズームレンズです。被写体となる人物の全身やバストアップ、表情のアップなどの撮影をレンズ交換することなく一本でカバーでき、ズーム全域で被写体を際立たせるクリアな描写とやわらかなボケ味を実現しています。さらにレンズデザインを刷新することでグリップ性や操作性を大幅に向上させています。

――企画・開発の際に苦労した・こだわったポイントなどを教えてください
光学性能でいうと、当初の商品企画ではF値は2.8通しでしたが、F2.8では表現できないボケ味、より暗い環境下での撮影を可能とすること、F2始まりでも現在のサイズに納められる目途が立ったことから、35-150mm F2-2.8というスペックで製品化することになりました。
F2始まりのポートレートズームレンズであることから、ボケ味については時間をかけて検討を重ねました。特に非球面レンズが起因となる輪帯ボケ(ボケ像の中にグルグルとした模様が現れる現象)を防ぐため、非球面レンズの数を極力少なくしています。非球面レンズを減らすことでレンズの枚数が増えますが、機構部品を減らすことで現在の製品サイズに収めました。
また高い光学性能を保持するためには、機構設計でも苦労しました。今までの機種よりも1つのレンズ枠にかかるレンズの総重量が大きく、強度確保とレンズの保持構造の設計には多くの工夫を凝らしています。さらに、F2.8より明るい、ズーム全域でクラス最大となるズーム比4.3倍で単焦点のような高い光学性能を実現するために、単にレンズ枚数や移動するレンズ群を増やすのではなく、製品での性能を担保し、「製造誤差」の影響を極力少ない設計をしています。

レンズ構成図(15群21枚)

また、操作感も向上しています。ズームの操作性に大きな影響があるのが、一番大きくて重い第一群のズーム移動量をどう設定するかというところです。今回のレンズ構成は、この第一群の移動量を小さくすることができる構成を採用しており、ズームトルクの平滑化に寄与することができました。同時に、全体的な剛性感とスムーズな操作感を実現するため、使用する金属部材は必要最低限とし、重量感をミニマムに抑えています。