ATOMOS、ATOMOS Cloud StudioやFrame.ioとの連携デモを展示。遠隔ワークフローの高効率化へ[NAB2022 Booth]

ATOMOSはNAB Show 2022で「ATOMOS CONNECT」と「SHOGUN CONNECT」を発表した。そのほかの注目ソリューション「ATOMOS Cloud Studio」「Frame.ioとの連携」と併せて、詳しくうかがった。

ATOMOS CONNECT&SHOGUN CONNECT

ATOMOS CONNECT

ATOMOS CONNECTは、NINJA VとNINJA V+用のアクセサリーで12G-SDIを搭載。SDI入力、HDMI入出力に対応し、SDIやHDMIを持つあらゆるカメラと接続が可能。ATOMOS AirGluと呼ばれる長距離ワイヤレスシンクを内蔵しており、すべてのデバイスと既存のTimecode Systems製品との間で長距離ワイヤレスシンクが可能。ATOMOS AirGluはBluetoothプロトコルも搭載しており、Bluetooth対応のTimecode Systems Atmos Syncなら、最大6台のデバイスを接続できるという。

RFを使った長距離無線通信により、ATOMOS製品は互いに通信することができる。また、ギガ・イーサネット・ポートによる有線接続や、無線LAN 6本のアンテナで無線LAN接続を実現。携帯電話のデータに接続したい場合は、Wi-Fi 6を使用し、携帯電話のホットスポットにペアリングするだけで、4G、5GのLTEデータを取得できるのも特長だ。

デバイスをATOMOS Cloud Studioに接続することで、クラウドからこのデバイスをリモートで管理、制御できるようになる。また、Frame.ioと接続することで、2つのコーデック、例えば高解像度のファイルとプロキシファイルを同時に記録することが可能。

タイムコードとメタデータ、ファイル名を一致させた2つのファイルを同時に呼び出すことや、SSDからメディアを取り出したり、Frame.ioまで上がったファイルをデバイスから取り出したい場合でも再リンクできるという。プロキシファイルと高品質ファイルの間は人手を介することなく、完全に自動化されるプロセスとなっている。

デバイスを、Facebook LiveやTwitchなどのRTMPやRTMPSサービスなどのストリーミング・プラットフォームに接続して、カメラとクラウドのワークフローだけでなく、ストリーミングも可能となる。

クラウドプロダクション、ライブプロダクションのシナリオに接続し、通常高価な中継車に搭載されているような機能、例えばマルチカメラの切り替え、オーディオミキサー、トークバックミキサー、DVE、Vtリプレイなどがすべてクラウド上に再現され、これらの製品は単にクラウド上のビデオソースとなる。

NINJA VとNINJA V+用の「ATOMOS CONNECT」の価格は399ドル、6月に出荷予定。

SHOGUN CONNECT

SHOGUN CONNECTは、ATOMOS CONNECTのワイヤレス技術をすべて搭載した、完全統合型の新製品。Wi-Fi6、ATOMOS AirGluワイヤレスシンクタイムコードテクノロジー、ギガイーサネット、SDI入出力、HDMI入出力が搭載され、HDMI-SDI、SDI-HDMI間のクロスコンバートも可能。

コンバーターを内蔵し、複数の電源オプション、外部電源入力、NPバッテリー入力を備えている。USB-C接続とUSB-33接続も可能。将来的には外部メディアをサポートし、LTEや5G、4Gのドングルをサポート予定。

また、コーデックのデュアルレコード機能により、カメラからクラウドへのキャプチャ、クラウドからのファイル共有が可能。SHINOBI 7で好評だった7インチHDRパネルを搭載し、輝度は2000nitsと非常に明るい。SHOGUN CONNECTの価格1,299ドル、6月に出荷予定。

ATOMOSは、ATOMOS CONNECTとSHOGUN CONNECT、ATOMOS Cloud Studio、Mavisライブプロダクションなどを含む合計8つのNAB2022アワードを受賞した。 この新しいコネクテッド製品群によって、ATOMOS製品が機能面でもまったく別のレベルに到達したことを示すとしている。

ATOMOS Cloud Studio

ATOMOS Cloud Studioは、ATOMOSが提供する新しいクラウド型映像制作サービス。2022年6月から、ATOMOS Capture to CloudとATOMOS Streamの提供を開始。NINJA VとNINJA V+のアクセサリーであるSHOGUN CONNECTとATOMOS CONNECTにも対応するという。対応カメラやデバイスでこれらのツールを活用してメディアの共有やリアルタイムでのコラボレーションを実現できるとしている。

同システムにより、クラウド上で行われているバーチャルプロダクションにアクセスが可能。ブースのデモでは、コントロールサーフェスを動かしているiPadで、外部の中継車にある機器類やシステムを再現していた。

また、同システムでは、サウンドデスクを立ち上げて音量調整も可能。各チャンネルで、デジタルゲインを左右にパンしたり、DCIグループに追加して、Web上からコントロールできる。6つのライブ映像をシステムに取り込むことができ、デモでは、実際に新しいSHOGUN CONNECTを使ってクラウドに直接エンコードする様子を見せてくれた。

デバイスもクラウドに同期接続されており、エンコードしながらAWSに送信し、同じインスタンスに接続されフィードバックを同時に行っているという。複数本のデータを同システムにアップロードし、カットを押すとビデオパッケージの再生が始まり、それが終わるとまたカメラ1に戻るという一連の操作をスムーズにできるとしている。

同システムにはサードパーティーのグラフィックシステムとの統合機能があり、フルスクリーンに切り替えたり、インスタントリプレイをシステムに組み込むことも可能。ジョグホイールを使えば、過去にさかのぼって、ワイプで起きた出来事をインスタントリプレイで再生でき、その後別のアングルから見せ、またライブに戻ることも柔軟に行える。

クラウドを用いた遠隔での作業効率化のため、トークバック機能を搭載。SHOGUN CONNECTに内蔵されているコントロールサーフェスと、スマホ用アプリをダウンロードして、トークバックにアクセス可能だ。コントロールサーフェスを追加やリモートでのコメント入力は、MacBook用アプリで対応する。例えば、スポーツイベントで、会場外からリモートで解説を載せられるようになるとしている。

また、「Mavis Pro Camera」と呼ばれる、システムのライブソースとして使える携帯電話用アプリも別途App Storeで販売。オフラインでのキャプチャも可能とのこと。

ATOMOS CONNECTモジュールと、モジュールとFrame.ioの連携について

ATOMOSのWorkflow Designのワークフローディレクター・Wes氏に、同社NINJA用の新しいATOMOS CONNECTモジュールと、Frame.ioとの連携についてうかがった。

まず、カメラの上にATOMOS CONNECTモジュールに接続されたNINJA Vを設置。カメラからFrame.ioのクラウドに直接プロキシファイルを送信できるようになっている。

使い方は至ってシンプル。セットアップ後、録画を押すだけで、デバイスからクラウドに直接ビデオデータが送信される。停止を押すと、H.265プロキシがクラウドからFrame.ioに送信され、数秒後にはFrame.ioのブラウザに表示。共同作業者はすぐにクリップを確認して、フィードバックやコメントを返し、ファイルを承認できる。

iPhoneアプリ、iPadアプリ、Apple TVアプリ、さらに編集システムとの連携も可能。Final Cut Proを使用する場合は、Final Cut Pro Workflowエクステンション上に同一のクリップが同期されるようになる。対象のクリップをFinal Cut Proにドラッグすると、ファイルがインポートされ、NINJAで録画したプロキシがFinal Cut Proですぐに利用できる。新しいショットを撮り続けている間に、編集システムでクリップの編集を始められるので、制作のスピードが大幅に向上するとしている。