IBC 2023が9月15日から18日にかけてオランダ・アムステルダムで開催された。会場は3年ぶりにリアル開催であった昨年を上回る来場者でどこも熱気に包まれていた。現地レポートの第一弾として、カメラ・レンズ編をお届けする。
ソニー:少数クルーでも高品位な映像表現を実現する「BURANO」
ソニーは小型・軽量な新たなCineAltaカメラ「BURANO(ブラーノ)」を発売し、実機の展示を行った。BURANOはソロ撮影や小規模クルーによる撮影など、小型軽量化と高い機動性の両方を実現させている。例えば本体重量はVENICE 2(8K)の4.3kgに対してBURANOは33%軽い2.9kgである。
主な特徴
- 8.6K フルフレームセンサー、最大解像度は8632×4856
- S-Gamut3/S-Gamut.Cineを搭載し、VENICE 2と同様にBT.2020、DCI-P3を超える色域をカバー
- ソニー独自の「電子式可変NDフィルター」を内蔵し、撮影中に操作スイッチ面のNDダイヤルですばやく調整でき、フィルター交換の必要がない
- PLマウントカメラとして世界で初めてPLマウントレンズ装着時のボディ内蔵光学式手ブレ補正機構に対応
- Eマウントレンズでタッチフォーカス対応のAFシステム
Eマウントレンズと組み合わせることで、ジンバルを用いた撮影などにおいてカメラ任せのAFが可能。便利なタッチ操作にも対応
実機を使った感想としては、「このサイズとこの重さでこの画が出せるのか」と感じるものだった。PLレンズでの光学手ぶれ補正やEマウントでのオートフォーカスなどによって、映像表現力が飛躍的に広がるだろうと感じた。例えは正確ではないと思うが、GoProが映像業界に与えたインパクト以上のものをBURANOに感じた。発売は2024年春の予定。
Blackmagic Design:6Kセンサー、Lマウント、CFexpress対応「Blackmagic Cinema Camera 6K」
ブラックマジックデザインは「Blackmagic Cinema Camera 6K」を展示。6Kフルフレームセンサー、Lマウント、CFexpressメディアに対応する。ネイティブ解像度6048×4032の大型フルフレームセンサーを搭載し、浅い被写界深度で撮影したりアナモフィックレンズをクロップなしで使用してシネマライクなルックを撮影可能としている。
主な特徴
- 解像度6048×4032
- 13ストップのダイナミックレンジと25600までのデュアルネイティブISOに対応
- Lマウント搭載。フランジ距離は20mmなので様々なレンズマウント用のアダプターを装着可能
- CFexpressメディアに対応しBlackmagic RAWとH.264プロキシを同時に収録可能。またUSB-Cで外部ディスクにも収録
- 高輝度5インチ大型HDRタッチスクリーン
富士フイルム:GFXシリーズの新製品「GFX100 II」と放送用レンズの新製品「FUJINON HZK24-300mm」
富士フイルムはミラーレスカメラGFXシリーズの新製品「GFX100 II」と放送用レンズの新製品「FUJINON HZK24-300mm」を展示した。
GFX100 IIは、現行比最大2倍の信号読み出し速度を可能とした、新開発の1億2百万画素高速センサー「GFX 102MP CMOS II HS」と、高速画像処理エンジン「X-Processor 5」を搭載し、「GFXシリーズ」最高の高速連写・AF・動画性能を実現したフラッグシップモデル。
新センサーの搭載により動画性能も大きく進化しており、「GFXシリーズ」として初めて8K/30Pの撮影に対応。また、4K/60Pの映像を4:2:2 10bitで内部記録も可能。さらに、複数のフォーマットで動画撮影が可能な「動画フォーマット」モードを新搭載。マウントアダプターを装着することで、3種のレンズ(「Premista」「35mmフォーマットレンズ」「アナモフィックレンズ(35mmフォーマット)」)を装着した際に最適なフォーマットでの撮影を可能としている。
主な特徴
- 新開発センサー「GFX 102MP CMOS II HS」(有効画素約1億200万)
- 最新画像処理エンジン「X Processor5」
- 「Xシリーズ」と同じ被写体検出AFを搭載
- CFexpress Type BカードとSDカードのデュアルスロット
- 最高約8.0コマ/秒
- 新フィルムシミュレーション「REALA ACE」を追加
FUJINONは放送用ズームレンズ「FUJINON HZK24-300mm」(愛称:Duvo Portable)の試作品を展示した。放送業界においても、映画で使われる大型センサーを搭載したカメラによる撮影が増加している。その場合に、大型センサー対応のシネマカメラ用レンズは放送用レンズと比べてズーム倍率が限られるのでテレビ的な用途には使い勝手が良くない。そこでシネマライクな映像表現と放送用レンズの操作性を両立した放送用ズームレンズ「Duvoシリーズ」を開発し、同シリーズの第一弾とし「FUJINON HZK25-1000mm」を2023年3月に発売。FUJINON HZK24-300mmの発売は2024年春を予定している。
主な特徴
- 撮影現場で頻繁に使用される焦点距離24-300mmをカバーする12.5倍ズーム
- 全長270.5mm・重さ2.95kgの小型・軽量を両立
池上通信機:4KアップグレーダブルHDポータブルカメラ「UHK-X600」
池上通信機は、4KアップグレーダブルHDポータブルカメラシステム「UHK-X600」を展示した。4K/HDポータブルカメラシステムのUHK-X700の4Kアップグレーダブル機である。将来の4K化に対応するための有償ライセンスオプションとして、
- 4Kフォーマット(2160p 59.94/50)
- HFRフォーマット(2x、3x&4x HD)
- 4K HDR/HD SDRサイマルキャスト
- 24pフォーマット
がそれぞれ用意されており、必要に応じて選択追加することが可能である。UHK-X700の発売以降、現場からの要望に応じてアップグレーダブル対応を行えるようにしたという。アップグレード方法はソフトウェア対応またはハードウェア対応になる。
主な特徴
- 新開発グローバルシャッタ対応CMOSセンサ搭載による自然な撮影が可能
- HFR(ハイフレームレート)機能(オプション)
- OVC (Optical Vignetting Correction)
ズームレンズで発生する F ドロップ及び周辺の光量低下を自動で補正 - リモートバックフォーカス調整機能
- 16軸色補正
- HDRと広色域による映像表現力
キヤノン:CN-E45-135mmを活用したバーチャルプロダクションスタジオ
キヤノンはFlex Zoomシリーズの「CN-E45-135mm T2.4 LF/FP」を使用してインカメラVFXによるバーチャルプロダクションのデモを行った。
主な特徴
Cooke /i Technology・eXtended data通信対応[PL]
EOS-Lens通信対応[EF]