株式会社アスク メディア&エンタープライズ事業部(以下:アスク・エムイー)は、AI自動追尾機能搭載と低価格を特徴としたAVITOKブランドのリモートカメラの取り扱いを開始した。そこで、AVITOK製品の魅力やこれまでのアスク・エムイー取り扱いリモートカメラとの違い、BirdDog社の新製品の魅力など、神成株式会社の泉悠斗氏がアスク・エムイー製品担当の山本操氏に話を聞いてみた。
約17万円前後の自動追尾機能搭載リモートカメラをラインナップする「AVITOK」
- (写真右)V429B4-NDI(フルHDモデル) 市場実勢価格:税込166,870円
- (写真左)V449E2-NDI(4Kモデル) 市場実勢価格:税込298,980円
- (写真手前中央)C170(PTZカメラ用コントローラー) 市場実勢価格:税込114,730円
――AVITOKはどのような会社でしょうか?簡単に紹介いただけますか?
山本氏:
AVITOKは、中国の深センに本社を構えるビデオ会議ソリューションメーカーです。主にPTZカメラやコントローラーを開発しています。世界各地に拠点があり、世界中で販売活動も行っているグローバルカンパニーです。2023年1月より、アスク・エムイーでも日本国内での取り扱いを開始しました。
――アスク・エムイーはこれまでどのようなリモートカメラブランドを取り扱ってきましたか?
山本氏:
アスク・エムイーは、NewTek社(2023年9月よりVizrtブランドに統合)のTriCasterを取り扱っている関係で、NewTekのPTZカメラを取り扱っています。他にも、オーストラリアに本社のあるBirdDog社、アメリカのPTZOpticsとHuddleCamHD、台湾のアバー・インフォメーション社などの製品を取り扱っています。
――これだけの主要ブランドの取り扱いがある中で、AVITOKの取り扱いを決めた理由は何でしょうか?
山本氏:
アスク・エムイーは主に放送局やProAV業界をはじめとする映像制作関連のお客様向けのソリューションを提供しています。市場にはすでに数多くPTZカメラが存在していますが、弊社は長らくNDIに携わってきた経験を活かし、NDI対応のカメラを取り扱いラインナップに加えることで差別化を図っています。
実際のところ、高性能なカメラを求めるよりも、コストパフォーマンスを重視するお客様が予想以上に多いことがわかりました。AVITOKはNDI対応に加え、自動追尾機能を搭載し、コストパフォーマンスに関しても他のリモートカメラと比較してかなり優れています。そのため、弊社のラインナップの中でも、積極的にアピールをしていこうと考えています。
――これまでの10万円から20万円台の他社製リモートカメラは動きに遅れがある製品が多い印象でしたが、AVITOKにはそのような動きの問題を感じませんでした。このあたりに何か秘密があるのでしょうか?
山本氏:
滑らかで静かなパン・チルトの動きについては、多くのクリエイターの方から高い評価をいただいています。これは、高精度なドライブモーターを採用している効果が発揮されているのではないかと思います。
もともとAVITOKは、Webカメラや監視カメラを開発しているメーカーで、そこからProAV向けの製品を手掛けるようになりました。現在は、ビデオ会議システム用ソリューションも展開しています。
――USB対応もポイントだと思いました。民生機のWebカメラ市場では、各社からUSB接続とAI自動追尾機能の搭載が増え続けています。AVITOKもプロ向けと同時に、一般利用で求められる市場にもアピールできるのではないかと思いました。
山本氏:
アスク・エムイーでは、主にNDIやHDMI、SDIを使用するお客様を想定していますが、泉さんがおっしゃるようにV429B4-NDI(フルHDモデル)はUSB接続対応のカメラとしても幅広いお客様にご提案が可能です。取り扱いを開始した頃は、ProAVやスタジオ向けに紹介していたのですが、一般企業や教育機関を含む様々な分野のお客様からも好意的な反応をいただいています。
――AVITOKは市場実勢価格約30万円前後でありながら、あらかじめ設定したゾーンに追尾対象者が入ってきた場合に自動でゾーンを切り替えるモード(ゾーン トラッキングモード)と、追尾対象者を追い続けるモード(リアルタイム トラッキングモード)を搭載しています。これまでの低価格なPTZカメラの自動追尾は、どちらか片方しか搭載していないことがほとんどでした。しかし、今日はゾーンモードで使いたい、明日はトラッキングモードで追って欲しいというニーズが出てくるのは間違いないです。AVITOKでは、どちらのモードも使えるのでお客様のご要望に沿った製品だと思っています。
山本氏:
先日、ある学校を訪問して、大ホールと教室にカメラを設置して、自動追尾機能を使った検証を行いました。リアルタイム (プレゼンター) トラッキングモードとゾーン トラッキングモードの両方を見た先生方は感動されて、低価格ながらも確かな自動追尾機能を持った製品として高く評価されていました。
現時点で操作画面は英語のみとなっていますが、英語でも分かりやすい直感的なデザインを採用しています。販売を開始したばかりですが、今後はお客様のフィードバックやご意見をいただきながら、メーカーと連携して、よりお客様のニーズに応える製品を提供できればと思っています。
さらに、国内のPTZカメラメーカーは、多くがPTZコントローラーをオプションとしてラインナップしていますが、海外ブランドではコントローラーを提供していないメーカーも多いです。コントローラーがないと、ウェブブラウザの操作画面でカメラを操作しなければならず、使いづらいというご意見をいただくことがありました。しかし、AVITOKは純正コントローラーと組み合わせることにより、多くのお客様から好評をいただいております。AVITOKに関しては、カメラの性能だけではなくて、コントローラーとの連携性も含めてご提案をしたいと考えています。
独自開発のNDIチップでフルNDIをサポートする「BirdDog」
- (写真左)BirdDog Eyes P200 市場実勢価格:税込408,100円
- (写真中央)BirdDog Eyes P240 市場実勢価格:税込532,400円
- (写真右)BirdDog Eyes P400 市場実勢価格:税込827,200円
- (写真手前中央)BirdDog Keyboard controller 市場実勢価格:税込323,400円
――BirdDogは幅広いラインナップを展開していますが、簡単に紹介をお願いします。
山本氏:
BirdDogのPTZカメラは、大きくHD対応モデルと4K対応モデルに分けられます。今回ご紹介する製品以外にも、幅広いラインナップを取り揃えています。また、BOXタイプのNDI対応カメラ「PF120」も取り扱っており、こちらは20倍光学ズームと16倍のデジタルズームを組み合わせたバーチャルPTZ機能への対応を特徴としています
――BirdDogといえばフルNDI出力のネイティブサポートを特徴としていますが、その違いを教えてください。
山本氏:
BirdDogは、NewTekからNDIのライセンスを取得して製品開発を行っています。初めはコンバーター製品を中心に展開していましたが、その後PTZカメラの製品開発もスタートし、現在のような製品ラインナップにいたっています。
AVITOKはNDI|HXを採用しているのに対し、BirdDogは高品質で低遅延のフルNDIに対応しているのが特徴です。NDI|HXはインターネットを経由してリモートで映像をスタジオに転送する用途に適していますが、圧縮信号のため再生時の映像がわずかに劣化すると言われています。一方で、フルNDIは劣化が少ない低圧縮で高品質が特徴です。用途に応じて使い分けることが可能になると考えています。
――NAB 2023でリモートカメラ新製品「X120」が発表されましたが、大幅に進化していますね。
山本氏:
NAB 2023で発表された「X120」は、NDI|HXへの対応とソニー製のCMOSセンサーの搭載を特徴としています。カメラコントロールソフト「Cam Control」が無料で公開されており、自動追尾機能もアドオンの形で今後、無料で提供されると発表されました。これは大変興味深いカメラだと感じています。
X120には、P240などのカメラと同様に、カメラ上部に「モヒカンタリー」と呼ばれるタリーランプが付いています。どちらかというと、放送局やProAVを主なターゲットとしている商品で、まだ開発中ですが、将来的にはFreeDのプロトコルにも対応する予定です。バーチャルプロダクションで必要とされる機能だと思うので、FreeDに対応するモデルとしては価格帯が魅力的な商品になると期待しています。
さらに、正面には有機ELディスプレイを取り入れ、ディスプレイで解像度やIPアドレスの情報を確認できるようになりました。これにより、都度、ツールを使用して確認する必要がなくなりました。
――AVITOKとBirdDogですが、どのような現場におすすめですか?
山本氏:
AVITOKはコストパフォーマンスに優れている点が特徴で、リモートカメラを試してみたいというお客様にもおすすめです。また、すでに高性能なリモートカメラをお持ちで、追加でコストを抑えたリモートカメラを導入したいというお客様に最適だと考えています。
一方、BirdDogは高い画質とタリー機能を備えていることから、画質にこだわる方やマルチカメラでの撮影をするお客様に適していると考えています。また、ネイティブのフルNDIを必要とするお客様に対しては、私たちとしてもBirdDogを推奨していきたいと思っています。
――今回紹介した製品は、どこかで体験することはできますか?
山本氏:
製品のデモに関しては、アスク・エムイーが取り扱うメーカーの製品を揃えたショールーム「エースタ」をご用意しています。こちらにお越しいただければ、製品に直接触れ、使い勝手や機能を確かめていただくことが可能です。販売代理店やアスク・エムイーの営業窓口、ウェブサイトのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡いただければと思います。
またアスク・エムイーは、11月15日から17日まで幕張メッセで開催されるInter BEE 2023に出展いたします。ブース (No. 3209)では各種PTZカメラを展示予定ですので、ぜひお越しいただければと思います。
ASK M&E’S SHOWROOM「エースタ」
――購入前に実機を借りて試すことも可能ですか?
山本氏:
アスク・エムイーが取り扱うPTZカメラは、ほぼ全て評価用の貸し出し検証機をご用意しております。問い合わせいただければ、お貸し出し可能です。
――私も、手の届きやすい価格帯のAVITOKはリモートカメラを初めて購入するという人におすすめの1台、BirdDogはNDIとその先のNDI|HXの両方に対応しており、どんなシーンでも使える機材になっていると思いました。
今日はとても有意義なお話を伺いました。ありがとうございました。
■Inter BEE出展情報
- ブース名:AJA / Vizrt / アスク・エムイー AV over IP / MIM
- 小間番号:3209
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