2024年アクセサリー業界百花繚乱

2024年のアクセサリー業界で最も注目を集めたのは、ワイヤレス映像伝送システムだ。この業界でもっとも定番の映像転送システムといえばTeradekのBoltシリーズだが、他社メーカーも近年、Boltシリーズに続くような進化を遂げ始めている。Hollyland、Accsoon、DJIは長距離伝送の実現や低遅延による高画質映像の安定した伝送システムを発売してきており、利便性が飛躍的に向上中だ。一例として、SHIMBOLのHDMIワイヤレス伝送システム「TP Mini」は、最大1080/60Pに対応しながら14,799円(税込)という手頃な価格を実現し、多くのユーザーから注目を集めている。

さらに、カメラの安定性を高める一脚や三脚も、革新的な機能を搭載した製品が続々と登場している。ワンタッチで素早く展開できるモデルが特に人気を集めており、SmallRig、YC Onion、iFootageといったブランドが高い評価を得ている。

以下アクセサリー部門のファイナリストを紹介する。

DJI RS 4/DJI RS 4 Pro

発売日:2024年4月9日
希望小売価格:
・DJI RS 4 税込66,000円
・DJI RS 4コンボ 税込79,200円
・DJI RS 4 Pro 税込99,000円
・DJI RS 4 Proコンボ 税込123,200円

現在、映像業界で高い評価を得ているジンバルが、リニューアルして登場した。

ジンバルは製品自体が成熟しつつあるジャンルであり、飛躍的な進化が見えにくくなっているのが現状だ。確かに今回のRS 4シリーズは、RS 3シリーズから目立つ大きな変化はないものの、さらなる高みを目指した意欲的なモデルと言える。

DJI RS 4 ProとDJI RS 3 Proの耐荷重はどちらも4.5kgで変わらないが、RS 4 Proは追加アクセサリーなしで縦向き撮影に対応。次世代の自動軸ロックが搭載され、撮影、移動、収納の効率が大幅に向上している。OLEDタッチ画面には新たにオートロック機能が加わり、不慮の接触を防ぐとともにバッテリー消費を抑える設計となった。さらに、モータートルクが20%向上したことで、よりスムーズで精確なコントロールが可能になっている。

DJI SDR Transmission

発売日:2024年7月17日
希望小売価格:
·DJI SDR Transmissionコンボ:93,280円
·DJI SDR Transmissionトランスミッター:52,580円
·DJI SDR Transmissionレシーバー:52,580円

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DJI SDR Transmissionは、2023年に発売された「DJI Transmission」と比較すると、価格が大幅に抑えられている。それでいて、小型・軽量で性能も優れており、多くの現場で見かけることが増えた人気のトランスミッターだ。

遅延はわずか35ミリ秒で、1080p/60fpsのライブ映像視聴が可能。最大20Mbpsのビットレートを実現し、高画質な映像伝送を提供する。35ミリ秒という低遅延も大きな特長だ。伝送範囲は最大3km(日本国内では2km)と非常に優れている。

送信機はSDIまたはHDMI経由でモニターに接続でき、ビデオ入力と3.5mmステレオジャックを搭載。映像伝送レシーバーもSDIまたはHDMI経由でビデオモニターへの接続が可能だ。

Accsoon CineView Master 4K

発売日:2024年9月
希望小売価格:税込126,000円

ZHIYUN、プロフェッショナル映画制作ライト「MOLUS G200」「FIVERAY V60」発売

このビデオ伝送システムAccsoon CineView Master 4Kは、4K60fpsに対応し、4K映像を高品質で伝送できる。4Kモニターへ映像を送りたい場合、最有力候補となる製品だ。1080モードでは遅延25ms未満、4Kモードでは35ms未満の低遅延伝送が可能。さらに、この価格帯で4K映像の伝送を実現できるシステムは非常に限られている。伝送範囲は最大2.5km。iPhoneとのワイヤレス接続やケーブル接続にも対応しており、ケーブル接続時にはスタンドアロン型モニターに匹敵する高いクオリティを実現する。

構成はTXユニットとRXユニットの2つで、どちらも同じサイズ・重量となっている。HDMIとSDIの入力・出力を備え、電源はソニーNP-FシリーズバッテリーまたはDC入力経由で供給可能だ。さらに、Accsoonアプリを使用すれば、スマートフォンやタブレットへの直接送信にも対応。Vロックマウントアダプターも搭載されており、利便性を高めている。

TILTA Khronos

発売日:2024年4月10日
希望小売価格:
・Khronos iPhone 15 Pro Max Ultimate Kit 税込104,280円
・Khronos iPhone 15 Pro Max Basic Kit 税込51,260円
・Khronos iPhone 15 Pro Max Lightweight Kit 税込¥36,740円

ライト部門発表 Vol.04

TILTA Khronosは、iPhoneをプロフェッショナルな撮影機材へと変身させる優れたケージシステムだ。Khronosシステムの核となるiPhone用ケージは、iPhoneを保護するだけでなく、バッテリーやLEDライトなど各種アクセサリーへの電源供給とシームレスな接続を実現する。特別なアタッチメントを使用すれば、ハンドルやLEDライトなど、さまざまなアクセサリーの取り付けも可能だ。

Blackmagic Camera Appなどのアプリと組み合わせることで、Khronosケージに搭載されたコントロールダイヤルでフォーカスやズームを手動で調整できるのも特徴だ。

Deity PR-2

希望小売価格:税込34,320円

アクセサリー部門発表。HMIに匹敵する大光量LEDライト発売[PRONEWS AWARD 2024] Vol.04

Deity初の専用オーディオレコーダーである。この製品は、機能面・価格面の両方で他に匹敵するレコーダーが存在しない。モノラルでは32bit float、ステレオでは24bitの録音に対応し、タイムコードジェネレーター「TC-1」やスマートスレート「TC-SL1」とのワイヤレス同期が可能だ。さらに、最大48台のデバイスと同期できるほか、ラベリアマイクや3.5mm指向性マイクとの併用にも対応する。

単三電池で駆動する手軽さも大きな魅力であり、TC-1を活用したタイムコード管理も可能だ。価格は税込34,320円で、コストパフォーマンスの高さが大きな話題となっている。

ATOMOS Ninja Phone

希望小売価格:税込81,400円

PRONEWSAWARD2024_vol04説明写真

Ninja Phoneは、iPhone 15 ProまたはiPhone 15 Pro Max用に設計されたレコーダー兼モニターだ。HDMI出力をカメラからProResまたはH.265で記録できる。魅力はなんといっても、10ビットで記録できるところとピーク輝度1600nitsのiPhoneのモニターで映像を確認できるところだ。

当初は1080pと720pまでの入力・録画に対応していたが、最近のアップデートにより、4K 24/25/30pおよび4K DCI 24/25/30pの録画・再生に対応。さらに、アドビのFrame.ioのCamera to Cloud認証を取得したことを発表した。Ninja Phone for Androidも近いうちに公開予定ともしている。デュアル録画機能のないカメラのバックアップとしても使用できるなど、非常にユニークなアイデアの製品だ。

平和精機工業 QL40B

発売日:2024年12月
希望小売価格:
・QL40(75mmクイックロック三脚単体):税込95,700円
・HS-150Q(H15とQL40B/グランドスプレッダー):税込198,000円
・HS-150MQ(H15とQL40B/ミッドスプレッダー):税込198,000円
・HS-250Q(H25とQL40B/グランドスプレッダー):税込205,000円
・HS-250MQ(H25とQL40B/ミッドスプレッダー):税込205,000円
・HS-350Q(H35とQL40B/グランドスプレッダー):税込277,200円
・HS-350MQ(H35とQL40B/ミッドスプレッダー):税込277,200円
・HS-450Q(H45とQL40B/グランドスプレッダー):税込326,700円
・HS-450MQ(H45とQL40B/ミッドスプレッダー):税込326,700円
・NX-300Q(NH30とQL40B/グランドスプレッダー):税込218,900円
・NX-300MQ(NH30とQL40B/ミッドスプレッダー):税込218,900円

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Libecから、上段のフリップロックひとつで簡単に高さ調整ができる三脚が登場。軽量アルミ製のロング三脚で、キャリングハンドル込みでも2.6kgと軽量。ビデオヘッド付きのグランドスプレッダー三脚システムとして使用した場合、最大198cmまで高さを調整でき、フリップ式ロックひとつで素早くセッティングが可能。

アクセサリーポートも1/4インチネジ穴と3/8インチネジ穴をそれぞれ3か所ずつ備えており、様々なアクセサリーを取り付け可能なのも嬉しい。

以下がアクセサリー部門のノミネート製品となる。

■PRONEWS AWARD 2024 アクセサリー部門 ファイナリスト

  • DJI RS 4/DJI RS 4 Pro
  • DJI SDR Transmission
  • Accsoon CineView Master 4K
  • TILTA Khronos
  • Deity PR-2
  • ATOMOS Ninja Phone
  • 平和精機工業 QL40B

はたして何が受賞するのか…?いよいよ発表!

PRONEWS AWARD 2024 アクセサリー部門 ゴールド賞

DJI SDR Transmission

アクセサリー部門発表 Vol.04説明画像

ゴールド賞は、DJI SDRだ。低価格のワイヤレス伝送システムのほとんどは最大で数百メートル程度だが、DJI SDRはこの価格で格段に飛ぶ。それでいシンプルで、端末は小さくて145gと軽い。送信機、受信機にはHDMIとSDIに対応しているのは非常に好印象だ。

現場ではiPadでプレビューする機会も増えてきているが、DJI SDRはWi-Fi経由でスマートフォンやタブレットに直接送信することも可能。

他メーカーのワイヤレスシステムと違うところは、リモートカメラコントロールが可能なForce Mobileに対応している点だ。DJI RSシリーズのジンバルと併用することで、かなり離れた離れた場所からジンバルの制御できるに対応できるのも頼もしい。

PRONEWS AWARD 2024 アクセサリー部門 シルバー賞

平和精機工業 QL40B

アクセサリー部門発表。HMIに匹敵する大光量LEDライト発売[PRONEWS AWARD 2024] Vol.04

シルバー賞はQL40Bが受賞した。さすがはlibec、ワンオペレーションの現場に最適な三脚を送り出してきた。HS-150Q(グランドスプレッダー)を使用すれば、最大198.3cmまで伸びる。この高さは非常に魅力的だ。さらに、フリップ式ロックを1つ操作するだけで簡単に高さ調整ができ、一度この便利さを知ると他には戻れなくなるだろう。

ロック操作もスムーズで、一番高くした状態でもレバーが手の届きやすい位置にあるのは大きな利点だ。これほどの機能を備えながら、市場実勢価格は75,000円と非常にお買い得だ。今後、カーボンモデルの登場にも期待が高まる。