背景

eスポーツの配信に適したスイッチャーを求めて

「マルチプレイヤーバトルアリーナ」や「FPS」といった多数のプレイヤーがオンラインで参戦するeスポーツ大会の配信を手掛ける株式会社プレイブレーン。ゲーム画面や各プレイヤーのカメラ映像、実況・解説映像など、多くの映像ソースを扱う大規模なライブ配信を行っている。

それらの映像制作には、IPスイッチャーやPCベースのソフトウェアスイッチャーを活用してきたが、安定性や操作面には大きな課題があった。また、複数のレイヤーを重ねた映像演出を行うためには多くの手間と機材が必要になり、これらを解決するシステムへの更新を検討していた。

株式会社プレイブレーン テクニカルリード 益満 輝明氏(写真左)、アシスタントディレクター 田村 和也氏(写真右)
※所属は納入時のものです。

導入理由

クオリティの高い多重レイヤー構成を簡単操作で実現

システム選定を担当した株式会社プレイブレーン 益満氏は語る。

益満氏:

多数のプレイヤーが参加するeスポーツの特性上、少なくとも10レイヤー以上重ねられることが必須であり、多くの映像素材を扱っても問題なく運用できるシステムを探していました。
KAIROSはレイヤーを重ねたM/Eをいくつも用意する必要がなく、GPUの処理範囲内ならば無制限に、そして簡単にマルチレイヤー構成が可能です。クオリティの高い映像効果を省力化しながら作成できる、まさに理想の演出が可能な唯一無二のスイッチャーだと思いました。

KAIROS操作卓の様子。コントロールパネル正面に2面のマルチビュー、左手にはKairos Creator用PCを配置
マルチビューは大きさ・位置・画角・出力などを自由に配置し、役割に合わせて使い分けられる

導入後の効果

従来できなかった高度な映像演出が可能に

オペレーションを担当する田村氏は語る。

田村氏:

従来のシステムでは4つまでしかトランジションを実行できなかったのですが、KAIROS導入後は制限を気にして節約するようなことが一切なくなりました。おかげで20レイヤー以上必要になる大規模な大会でも自由度の高い映像演出が行え、クライアントからの演出要望に対しても簡単に対応できています。特にマクロ機能は便利で、記憶させた一連の演出をワンボタンで実行することができ、独自のソースコードをつくって記憶させればより複雑な効果も簡単に出せます。
また、異なるシーンレイアウトを保存し、レイヤーのオン/オフが簡単に行えるスナップショット機能も便利に活用しています。私はこれまでハードウェア・ソフトウェアともに様々なスイッチャーを触ってきましたが、KAIROSはパターンなどの制約がなく非常に自由度が高いシステムだと感じています。

直感的に複雑な映像効果を制作できると評価されている「Kairos Creator」
長時間配信でも疲れにくいよう、よく使うマクロや素材を手前のボタンにアサイン

国内・海外の同時配信も1台のKAIROSで実現

田村氏:

海外同時配信の時は日本語配信に加え、英語用の映像を同時制作してオーストラリアの配信会社に送るのですが、日英で少し内容が異なるため従来は2台のスイッチャーが必要でした。
しかしKAIROSなら2コンテンツの同時制作が簡単に行えます。しかも受け取った海外メンバーから「映像のクオリティが格段に上がった。どんな機材をどういう構成で組んだのか?」と聞かれたので「KAIROS 1台だけでやっているんだよ」と答えたらとても驚いていました。

益満氏:

これまでは、クオリティを追求すればするほど機能面の制約に縛られ、追加機材や人員が必要になっていましたが、KAIROSのおかげで従来5~6名で行っていた配信がクオリティを上げながら3名でできるようになりました。

コントロールルームの様子。奥にKAIROSのオペレーター、中央に音声ミキサー担当、手前にはディレクターが座る合計3名での配信体制を実現した
実況・解説はクロマキースタジオで撮影し、KAIROSのクロマキー機能で簡単・高精度に合成

システム概要

    テキスト
システム概要図
※画像をクリックして拡大

納入機器

  • メインフレーム Kairos Core 100 AT-KC100T×1台
  • コントロールパネル Kairos Control AT-KC10C1G×1台
  • GUIソフトウェア Kairos Creator AT-SFC10G×1台

今後の展望

会場で行われる大会でもKAIROSを活用してみたい

益満氏:

導入後、オペレーターに操作講習を行いましたが、KAIROSは他のスイッチャーよりも一定レベルに到達するまでの時間が短く、半日もあればかなり高度なところまで習得することができました。
eスポーツはプレイヤーがバトル会場に集結する決勝戦がありますが、オペレーターが非常にKAIROSを気に入っているので会場へ持ち出せないか検討しています。
今後も、高いクオリティを実現するKAIROSの強みを活かしつつ、マクロ機能や日々アップデートされる機能を活用して、従来できなかった様々な演出に挑戦していきたいですね。

さらなる魅力的なコンテンツを発信していきたい

田村氏:

KAIROSは導入後も次々とファームウェアのバージョンアップをしており、できることがどんどん増えていっていると感じています。Webコントローラーなど外部機器からのオペレーションができるREST APIにも対応しているので、ワークフローのさらなる進化も期待できますね。
また、直近のアップデートではフィルム調のエフェクトがかけられる機能が追加されましたが、こういった機能をフル活用して、映像視点から生まれる新たなアイデアで、表現の幅を広げていきたいと思います。

まとめ

ライブ配信の現場では、視聴者の期待に応えるため、演出の自由度や配信の質がますます求められている。従来は機材や人員を増やさなければ実現できなかった高度な演出も、KAIROSなら少人数で直感的に操作でき、多重レイヤーでも安定したパフォーマンスを発揮できる。その結果、配信の質を高めながら運用負担を軽減することが可能となった。

今後も、KAIROSが映像制作の新たな可能性を切り開き、ライブ配信の未来を牽引していくことに期待したい。

株式会社プレイブレーン

eスポーツの魅力をたくさんの人へ伝える

ゲームカルチャーをより多くの人々と共有したいという想いから2016年に設立された株式会社プレイブレーン。eスポーツの大会運営・配信から、ゲーム関連商品のマーケティング、ビジネスコンサルティング、イベント運営など、eスポーツの魅力を発信する様々な事業を展開している。

所在地:東京都品川区上大崎2-13-17 目黒東急ビル7F
URL:https://playbrain.com/ja

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