コシナブースにおけるZEISS「Otus ML」の展示は、伝説的レンズがミラーレスマウントに対応し登場したという点で、大きな注目を集めている。

2025年2月25日に発表されたOtus MLは、50mm F1.4と、同年後半に発売予定の85mm F1.4の2種類が展示されている。これらの製品は、全てミラーレスマウント用に設計されており、ソニーEマウント、ニコンZマウント、キヤノンRFマウントの3種類が用意されている。電子接点も搭載されており、ボディとの通信も可能だ。

Otusは、ZEISSブランドの中でも特に高性能な製品群であり、高画質と光学性能を最優先に設計されている。従来からOtusシリーズは存在していたが、今回初めてミラーレスに対応したことで、発表と同時にコシナのサーバーがダウンするほどの反響があった。

Otus MLは、機械式のマニュアルフォーカスを採用している。近年の電子式バイワイヤレンズが多い中で、この機械式マニュアルフォーカスは、操作感と精度の両面で優れている。バイワイヤ方式では、操作時の反応が撮影者のフィーリングと合わない場合があるが、メカ連動のマニュアルフォーカスは、より直感的な操作が可能となる。

絞り操作についても、カメラ側での電子制御だけでなく、レンズ本体の絞りリングによる操作が可能である。手動での絞り操作は、視覚的に絞り値の変化を確認できるため、より直感的な操作が可能となる。

Otus MLの価格設定は、大きなニュースの一つである。従来のOtusシリーズは税込約40万円から50万円台であったのに対し、OtusML 1.4/50は税込308,000円と大幅に価格が抑えられた。この価格設定の背景には、製造技術の向上とレンズ設計の改良がある。近年、光学レンズ分野では新技術や新素材が次々と登場しており、Otus MLでも新しいガラス素材を採用することで、コストダウンと性能向上を両立させている。

展示されているOtus MLは、50mm F1.4と85mm F1.4の2種類である。両レンズは、フィルター径(50mm:Φ67mm、85mm:Φ77mm)と全長が異なるが、フォーカスリングの高さは統一されており、ジンバル使用時のレンズ交換が容易に行えるよう設計されている。

絞りリングには、クリック解除機構が搭載されている。マウント側のネジを180°回転させることで、クリック感をON/OFFできる。これにより、静止画撮影と動画撮影の両方に対応し、撮影者の好みに合わせた絞り操作が可能となる。

Otus MLは、フォーカスリングを回転させても全長が変化しない設計となっている。これにより、ジンバルや三脚に取り付けた際のバランスが変化せず、安定した撮影が可能となる。この点は、特に動画撮影において重要な要素となる。

Otus MLは、従来のOtusシリーズと同様に、静止画撮影を主なターゲットとしている。しかし、動画撮影ユーザーも視野に入れた製品設計となっており、幅広い撮影シーンに対応できる汎用性を備えた製品といえるだろう。