今シーズンのコロラドでの降雪状況は、ロッキー山脈の山中では8月初旬に初雪を見て以来、既に何回かの降雪が有ってスキー場については標高の高いところに在るものから順次オープンしています。また、毎日の地元新聞のスポーツ欄には例年の様に各スキー場の状況を知らせる「Colorado Ski Country USA」の広告を兼ねた欄が設けられています。
11月15日(土)の同欄によりますと、表示されているスキー場は全部で26箇所が示されており、その内、標高の高いところに在る下記の6カ所が既にオープンしているとしています。
スキー場名 | 標高 | 積雪量 | 所有リフト数 | 稼働リフト数 |
Arapahoe Basin | 3978m | 18インチ | 7基 | 3基 |
Breckenridge | 3962m | 18インチ | 30 | 5 |
Copper Mountain | 3753m | 18インチ | 22 | 4 |
Keystone | 3725m | 18インチ | 20 | 3 |
Loveland | 3965m | 19インチ | 9 | 3 |
Wolf Creek | – | 18インチ | 7 | 3 |
何れも人口降雪機によるゲレンデの積雪補強を行ってのオープンです。 今後残りの各スキー場も順次オープンして、11月21日からは、最も広くポピュラーなVailを始め3カ所、11月26日からのオープン予定が9カ所と言う事で、いよいよコロラドのスキーシーズンの到来となります。
一方、ロッキー山脈の東側山麓に位置しているデンバー地区ではどうしたことか今シーズンは11月も半ばだと言うのに未だに降雪が無く、既に天気予報での降雪の予報も2度程ハズレてしまって好天気となってしまっています。 「どうしてデンバー地区には降らないのだ!」と言う事でそろそろ今シーズンは異常気象かと思い出した頃になって、11月14日(金)の未明から降雪となり、翌日の午前中には止んでしまいましたが、僅かながら1インチ程の積雪が有りました。
- やっとデンバー地区に降った初雪の様子
- 11月14日の未明から僅かながら降った雪の様子です。 我が家の裏庭の様子ですが、芝生の上は一面白くなりましたが、前日の好天気で道路の方は地面が暖まっていたせいか降るそばから溶けてしまって蒸発してしまい交通に支障はまったくありませんでした。
地球温暖化による異常気象か?と人々が気になりだした頃の降雪と言う事で、地元新聞では特別欄に過去の降雪状況に関する記録の紹介を行っています。
それによりますと、デンバー地区の公式な降雪の判定は、現在のデンバー国際空港が完成する迄、デンバー空港として活躍したStapleton空港の跡地に在る測候所での計測によって少なくとも1/10インチ以上の積雪が観測された時に降雪有りと見なすと言う事になっているのだとしています。
そして、過去の記録としては、
- デンバー地区で過去最も早かった初雪は1961年9月3日
- デンバー地区で過去最も遅かった初雪は1934年11月21日
- デンバー地区での過去の平均初雪日は10月19日
ということになっており、ここ10年のデンバー地区での初雪日の記録は次の様になっているとしています。
- 1998年 11月 1日
- 1999年 9月28日
- 2000年 9月23日
- 2001年 10月 5日
- 2002年 10月24日
- 2003年 11月 5日
- 2004年 11月 1日
- 2005年 10月 9日
- 2006年 10月18日
- 2007年 10月22日
と言う事で、確かに今回の初雪は久し振りに遅い降雪でしたが、もっと遅かった事もあるので心配ないよ!! と言いたそうな記事となっています。
一方、今年の夏には北京オリンピックが開催されたばかりですが、今度の冬期オリンピックは2010年にカナダの西海岸のバンクーバーの町が主催都市となって開催が予定されており、更にその4年後の2014年にはロシアのコーカサス山脈の麓町のSochiの町が主催都市となって開催される事になっています。 デンバーは過去1976年に冬期オリンピックの開催都市として名乗りを挙げる計画でしたが、当時のElection Day時の住民投票の結果「No」の票が多数を占めて否決されています。
当時の住民の多くが「静かなコロラドの環境をオリンピック開催によって壊されたくない。」と言うのが主張点だったのですが、現在ではそれ以来年月が多く経過していますし、今年は一大イベントであった民主党全国大会も問題無く開催する事が出来た、と言う事で住民の感情も変わって来ている、と言う事で、今回 「Metro Denver Chamber of Commerce(デンバー地区商工会議所)」の主導で2018年に冬期オリンピックを主催する候補地として国際オリンピック委員会へ登録しようと言う計画が持ち上がっており、デンバー市を中心に大デレゲーシヨンが編成されて先の8月にはバンクーバー市での準備状況の視察団が派遣されています。
通常ですと開催都市の確定はその開催7年前のオリンピック委員会の場で確定される事になっていますので、2018年にデンバーで開催されるには2011年に確定される事から、デンバー市ではそれまでに充分計画を練って申請を行い誘致活動を展開する事となります。 アメリカでの冬季オリンピックは2002年にコロラドの隣のユタ州ソルトレークで開催されたばかりですのでどうなりますか?
サーキットシテイー店が会社更生法の適用申請
その営業規模でBest Buy店に次いで全米第2位の全米チェーンAV家電店であるCircuit City店が今週連邦破産管理裁判所にChapter11(会社更生法)の適用申請を行ないました。 かねてよりこの最初の店を開店して以来59年の歴史をもつCircuit City店の業績不調が伝えられていましたが、いよいよ来る物がやって来たという感じです。
同店は現在全米及びカナダに1472軒の店舗を有して販売活動を展開していますが、2006年の第3四半期以降赤字業績が継続しており、昨年の第4四半期に僅かながら黒字計上をしましたが、それ以降再び赤字の大幅拡大の決算を重ねて来ています。
業績黒字転換を目指して今年の春に全米の各店から総計3400名の高給のフロアーセールスマンを解雇して安い給与のセールスマンに入れ替えると言う対応をとりましたが、これが業績を更に悪化を招くと言うこととなり、顧客の信頼を失うと言う結果となりました。
先週同店では、全米の700店以上のチェーンストアーのうち業績の悪い155店の閉鎖を今年12月31日付けで実施する事を発表しましたが、これにより同店の全従業員の約17%に当たる7300名に影響が出るとしています。
年間で最も掻き入れ時のThanksgiving Day(11月27日)から始まる年末商戦を前にギブアップしてしまった感じがしますが、アメリカ経済の不調から消費者の購買力が低下して来ている事と、競合相手のBest Buy店への顧客の移動などが主な同店の業績を悪化させている要因とされていますが、同店では今迄にBest Buy店の影響を軽視して来すぎたと言う事が業界筋では言われています。
Circuit Cityの現在の主要な債権者は主として同店への商品を供給しているメーカーで、Hewlett-Packard, Samsung,ソニー, Zenith, 東芝等となっています。 コロラド州内には全部で18店が営業していましたが、その内の3店が既に閉店しており、コロラドスプリングス店、デンバーの北隣の町Northglenn店、デンバーの南東の町Parker店がその対象となりました。
- サーキットシテイ/Aurora店
- 以前にこのレポートで紹介した事が有りますが、我が家の近くに在るCircuit Cityのオローラ店です。 今回の閉店に追い込まれたコロラドの3店からは幸い生き残りましたが、なかなか厳しい商戦展開と言う事になっています。 同じオローラ店でも競合相手のBest Buy店の方が場所的に良い地の利にあって集客力が強い様に感じます。 店の前は広大な駐車場となっていますが、いっぱいとなったのを見た事が有りません。
Circuit City店では既に本社の在るバージニア州Richmondの破産裁判所に財産保全の目的で担保付きの負債の13億ドルの保留申請を行って暫定的に認められており、更に先に閉店している150軒の店舗の建物リース代金の年間約4000万ドル分の破棄に付いても認められています。
今後、Circuit City店は破産裁判所のもとで会社更生法に基づいた会社再建を目指す事となりますが、全米の消費者の購買意欲が衰えている時なので大変な困難を伴うものと予想されます。
先に同様に会社更生法の適用で再建を計ったコロラドのUltimate Electronics傘下のAV店Sound Trackはその後レンタルビデオのチェーンストアHollywood Video店のオーナーのMark Wattles氏が買収して自ら再建に乗り出しChapter 11からの脱出を果たして元気が出てきています。
そのMark Wattles氏は現在Circuit City店の株式21%を所有しており、同店の3番目の大株主となっていますが、今回の同店の会社更生法の適用を受けて再び自ら同店の再建に乗り出すのだろうか? という事が大変興味が持たれます。
ガソリン価格が更にダウン
- 我が家から最も近くに在るガソリンスタンド
- 我が家から最も近くに在るガソリンスタンド
以前にこのレポートで紹介した事が有る我が家から最も近距離に在るConoco Phillipsのガソリンスタンドの今週の様子です。 レギュラーガソリンが1ガロン当たり1.879ドルで販売しています。 Mississippi AvenueとPeoria Streetという2本の混み合う通りの交差点に在ってオローラの中でも日常平均的な価格での販売を行っているスタンドです。 この時には安いスタンドでは1.65ドルで販売されていました。
先のこのレポートでコロラドでのガソリンの小売価格が急激に下がって来ている事を報告しましたが、11月5日(水)現在でまだ限られたガソリンスタンドだけに留まっているもののレギュラーガソリンのガロン当たりの価格が遂に2ドルを割って1.99ドルで販売されているところが出て来た事を伝えました。 その後のAAAのWebのfuelgaugereport.comによりますと、コロラド州内での平均価格は11月4日(火)がガロン当たり2.896ドルだったのですが、その翌日の平均価格は2.37ドルとなっています。
また、この日の全米での平均価格はガロン当たり2.365ドルで、価格がピークを示した7月17日のガロン当たり4.11ドルから大幅な下がり方となっています。
ちなみにコロラド州の7月17日の価格はガロン当たり4.09ドルでした。
デンバー国際空港の9月の乗客数が新記録
今迄毎月の様に新記録を更新して来たデンバー空港(DIA)の乗客数ですが、9月にはDIAへ乗り入れている各航空会社がその発着便数を削減する予定である事から利用乗客数は減少するものと見られていましたが、今回その9月の乗客数の実績が発表され、400万人を越えて前年同月比で1.7%増加し新記録を更新したとしています。
これで、今年に入ってからの通算9ヶ月で3930万人の乗客を扱っており昨年同時期の3800万人を3.6%越して新記録となっています。 同空港での9月の離発着便数は1.6%程減少したのですが、それでも1月から9月迄の間の総計では2.5%の便数が増加をしています。
夏時間を3週間延長した決算報告
アメリカではかなり以前よりDaylight Saving Time(夏時間)の制度が実施されていますが、2人の連邦議会の議員立法が一昨年行われて11月に成立し、昨年からその開始日を2週間早めて、終了日を1週間遅らせると言う事で都合3週間の延長が昨年に続き今年も実施されました。
この延長の目的は全米でのエネルギー消費の削減にあったのですが、この法律が成立する時に実施後アメリカ政府よりその成果が発表される事になっていましたが、2年目が終了したのにまだそれらしき報告がされているのを見ていません。 本当にどのくらいエネルギー節約に寄与したのか、時々夏時間制度の導入が審議されて来た日本政府としては知りたいところだと思います。
そんな中、やはり夏時間制度を実施しているスエーデンの研究者2名が20年以上の間調査記録を蓄積した結果の判定として、開始時の1時間時計を進めた時に起きる人々の心臓発作の回数が増加し、逆に終了時の1時間時計を遅らせるときの心臓発作の回数は減少する事が顕著であるとの報告を行っています。
心臓病の患者が多いアメリカとしては大変注目される研究結果ですが、人間の睡眠はその健康維持に大変重要で1時間早める時はそれだけ早く就寝する事は難しいので合計睡眠時間が短くなってストレスを与える為だと考えられ、また、1時間遅らせる時はそれだけゆっくり朝眠っておられると言う事でストレスが除かれるためとしています。
その研究報告によると、1987年から2006年の20年間にわたって夏時間の開始日及び終了日からそれぞれ7日間ずつについて、心臓発作の発生状況を調べています。 結果として、開始日の初日の月曜日には心臓発作が6%増加し、次の火曜日は10%の増加、水曜日は6%増加と7日間で平均5%の増加を示し、逆に終了日の7日後には通常と殆ど変わらない数値となりましたが、初日の月曜日には5%の減少となったとしています。
アメリカではアリゾナ州とハワイ州の2州ではこのDaylight Saving Timeの制度を実施していませんが、他の殆どの実施している州とこの2州の人達との比較研究はかなり興味が持たれるものと思います。
あとがき
毎年この時期になるとデンバー地区には渡り鳥のガンの群れが大挙して飛来します。 ひらがなの「く」の文字の様に一つが100羽程の大編隊で次々とやってきます。
そして冬の期間をデンバー地区で過ごして、また春になるとその冬の期間に成長した子供のガンを引き連れてカナダへ戻って行くといった年中行事となっています。 オローラ市には広い草原と大きな池とで構成された公園が何カ所か在って毎年冬の期間はガン達の遊園地と化します。 写真は我が家から近くに在る広大なExposition Park という市民公園の池のほとりの様子ですが、沢山のガン達が長旅の疲れを癒していると言った光景です。
近くに寄っていって写真を撮ろうとしても逃げると言う事が無く、人間には恐怖感を持っていない様です。 ちなみに、もし故意にこれらのガンを殺傷するとその人には1000ドルの罰金刑が科せられると言う市の条例となっていて、犬などを連れて公園を散歩していてその犬がガンを殺傷しても同様となっています。
かなりの高額な罰金刑なので近代の「生類憫れみの令」の感じもしますが、なにしろその数が多いので、公園の草地や舗装道路はガン達の糞で真っ白になり、市当局の清掃担当の人達はその処理に大変です。 しかしながら、こうした自然が保たれているうちは良い環境なのだと言えるかもしれません。