2月16日(月)はPresidents’Dayでアメリカでは国民の祝日となっています。 また、初代大統領のジョージ・ワシントンの誕生日が2月22日(土)で第16代大統領のアブラハム・リンカーンの誕生日が2月12日(木)となっていますが、暫く以前よりこの2つの祝日が繋がっているので休日が2月に多すぎると言う事からこの2つの祝日を一つにまとめてプレジデントデイとして国民の祝日としました。

ところで、2月17日(火)には、第44代のBarack Obama新大統領がその専用機Air Force Oneで私の住んでいるAuroraの町外れにある在るBuckley Air Force 基地へ午前11時30分に到着して、そのままデンバーの町中に在るCity Parkの中にあるデンバー博物館(Denver Museum of Nature & Science)へ直行しました。

Auroraの町外れに在るBuckley空軍基地の遠景
私の住んでいるAurora市の東外れに在るBuckley空軍基地をその西側から眺めた様子です。 目立つのはレーダーの回転アンテナを納めた白い球形ドームが数多く設置されている様子で、基地の各建物やF-15戦闘機や大型ジェット輸送機などが離発着出来る滑走路は外からは見えませんが、コロラドの空域の監視と防護の任務を負っています。

今回のオバマ新大統領とバイデン副大統領のデンバー訪問の目的は総額7870億ドルというビッグ予算を伴ういわゆるStimulus(景気刺激)法案が最近連邦議会を通過したのを受けてデンバー博物館で署名を行ってこの法案を成立させ景気好転への実行に移す事にしています。この法案は新オバマ政権としては最初の強力な政策法案であり、これによって現在の経済不況を一掃しようと言う事になっています。

何でコロラドなのか? どうしてデンバーへ来て署名するのか? 何でデンバー博物館なのか? といった疑問が有り、いろいろと新聞やTVのニュースで推測がなされていますが、基本的には昨年8月にデンバーで行われた民主党全国大会で大統領候補に指名されて、その大会の大成功がオバマ新大統領の実現につながった、と言う事でそのお礼をすると言う意味が深いのではないか、と思われています。

また、現在コロラドではBill Ritter知事のリーダーシップでRenewable Energyの強力推進を計っている所ですが、その研究開発面ではデンバーの西のGoldenの町に在るNational Renewable Energy Laboratories(国立無公害エネルギー研究所)を始めColorado School of Mine大学やコロラド州立大学、コロラド大学などでの事業化に向けての太陽光発電や風力発電などの活発な研究活動とともに、昨年にはデンマークの風力発電装置の主力企業Vestas社が大型風車の羽を製造する工場をデンバーから北のWindsorの町へ設けてその製造が既に始まっていることや、同じVestas社がコロラドの南のPuebuloの町へ風力発電の発電機を含むタワーの製造工場を建設する予定となっています。また、ドイツのシーメンス社がその風力発電の羽の設計効率を測定するラボをゴールデンに設けると発表しています。

また、コロラドの各都市へ電力とガスを供給しているXcel Energy社では早くからコロラドでの風力発電の拡大に力を入れて来ましたが、最近では太陽光発電にも力を入れ始めており、まだ同社の全供給電力量からすると僅かですが、今後積極拡大策を推進するとしています。

そして、デンバーとボールダーの中間のLouisvilleに在るStorageTek社の跡地を石油メジャーの一社ConocoPhilips社がその所有者であるSun Microsystems社から買い取って、各種Renewable Energyの研究開発拠点とする事になっているなど、 現在の所コロラドが無公害エネルギーの開発事業化面では全米でもトップを走っている状況となっています。

そんな中に有って、今回デンバー博物館がObama新大統領の法案署名の会場となったのは、この博物館ではその屋根の部分を全面的に利用してソーラーパネルが沢山設置されていて太陽光発電による電力で賄っているからとされています。

この発電設備の設置はコロラドのベンチャー企業であるNamaste Solar社によって行われたものですが、今回のデンバー博物館に集まった地元の名士達へのStimulus法案がこうした太陽光発電事業に如何に重要か、と言う事を述べる演説を同社のCEOであるBlake Jonesさんが行った後オバマ大統領の紹介役を果たしています。 また、この署名式に先立ってこのBlake Jonesさんの案内でObama大統領とBiden副大統領を博物館の屋上へ案内してソーラーパネルの設置状況を見てもらって現況の解説を二人に行っています。

従来から大統領が各地へ出かける時は副大統領はホワイトハウスで待機しているという習慣となっていますが、今回、Biden副大統領は午前11時25分に政府専用機のボーイング757型機でBuckley空軍基地へ到着し、Obama大統領がその5分後に大統領専用機で到着する、といった事で2人揃った所で別途輸送機で運ばれて来たGMのキャデラックを原型とした新型リムジーン車2台にそれぞれ別々に乗ってデンバー博物館へ向かう、といった処置をとっています。

GMのこの自動車はVIP用として特別設計された車両で特に防弾機能が備えられていて、テロ攻撃などに備えている特別車ですが、ワシントンからはるばるこの行事の為にデンバーへ運ばれて来たとは驚きです。

ところで、オバマ新大統領は今回の大統領選挙のキャンペーン期間から今回迄合計で10回コロラドを訪れておりその内訳は;

 
オバマ新大統領が訪れたコロラドの都市とその回数
Denver 3回
Pueblo 2回
Ft.Collins 1回
Golden 1回
Grand Junction 1回
Thornton 1回
Westminster 1回

となっていて、これほど頻繁に大統領候補がコロラドを訪れるのはいまだかつてない事となっています。

コロラドでは今回の新大統領の訪問で大騒ぎで、地元の各TV局では中継でBuckley基地への到着からデンバー博物館への移動の様子や博物館での署名式の様子、そしてオバマ大統領及びバイデン副大統領のそれぞれ挨拶と演説の模様、更には博物館から再びBuckley基地へ戻る様子、そして次の訪問地アリゾナ州のPhoenixへ向けて飛行機が飛び立つ迄と実況中継で放送しました。

今回の景気浮揚策のこのStimulus法が効果を発揮して改善に向かう事を誰もが期待していますが、今後この7870億ドルという膨大な予算の執行がどのように行われるか注目です。

バレンタインズデイの様子様々

2月14日(土)はValentine’s Dayです。 日本でもかなりポピュラーな日となっていますが、日本のチョコレート製造メーカーの策略が功を奏したのか、女性から男性へチョコレートを贈る日といった感覚でこの日が過ごされている方が多いのではないかと思います。

コロラドのこの日の地元新聞では、「Boston’s Pizza」ピザ店ではピザをハート形に造ってお客にオファーしている事が大きな写真とともに掲載されています。 同店では既に15年ほど以前よりバレンタインズデーの特別メニューとして毎年このハート形のピザを販売していますが、特に若いカップルのお客には大人気で同店のビッグヒットとなっているとしています。

ここのところ経済低迷が続いているアメリカですが、小売業団体のNational Retail Foundation の調査によるとバレンタインズデーの贈り物にアメリカ人が使う金額は一人当たり平均額でここのところ毎年金額を伸ばして来ていましたが、 今年は不景気を反映してか昨年が122.98ドルの記録に対して、今年は102.50ドルと大きく下回っているとしています。

贈り物の品目別では;

1位 カード 56%の人がカードにメッセージを記入して贈る。
2位 一緒に外出して夕食を食べる。 43%
3位 キャンデイ/チョコレート 42%
4位 花束 33%
5位 宝飾品 14%
6位 衣料品 8%
7位 商品券 8%
8位 その他 7%

等と言った内容になっているとしています。

また、贈り物をあげる対象者としては;

1位 恋人や奥さん
2位 奥さん以外の家族
3位 友達
4位 子供のクラスメートや先生
5位 職場の同僚
6位 飼っている犬や猫

等と言った順番となっているとしています。

昨年のクリスマス商戦では全般的に売り上げの不調であったのに対して、バレンタインズデーで景気の不調の影響で消費者の使う金額が下がるのはやむを得ませんが、調査結果では特に全般的に下がってはいるものの「外で食事を一緒に摂る」といった人々の比率は昨年に比べて大きく伸びているとしています。

コロラドのワイン用葡萄が好収穫

アメリカのワインと言うとサンフランシスコの北に位置するNapa ValleyやSonoma といった地域の名前がすぐに出て来るように、そのワイン造りに適したブドウの収穫により高品質のワインの産出で古くより知られていますが、最近ではこれらの地域での大水害や不順な天候等の影響の他に、地球の温暖化の影響でブドウを栽培する地域が徐々に北へ移動して行く様になっているとされています。

一方、標高の高いコロラドでも以前よりワイン用のブドウの栽培が州を東西に横切っている国道70号線沿いのロッキー山脈の西山麓の町Glenwood Springsや Grand Junctionの周辺、そしてデンバーより北西のロッキー山脈の東山麓の町Boulder周辺などで盛んに行われています。

今迄、ワインの品評会などではカリフォルニアワインに今一歩及ばないという状態が続いていましたが、ブドウ栽培農家やワイン醸造業者の長年の努力の積み重ねで年々ワインの品質が向上して来ています。

その他にワイン用のブドウの品質を決める要素としてブドウの収穫期迄の天候が大きく作用するとされており、コロラドでは昨年の秋のその温暖な気候が続いたことから、ブドウの熟成に時間がかかったので、その収穫が今迄に無く良質な収穫となっており、それを使用した今年のワインの高い品質の物が醸造出来るとしています。

ブドウ栽培農家の研究努力の積み上げもありますが、進行している地球温暖化の影響がコロラドの環境にワイン用ブドウ栽培に良い方向に向かっているとされています。 コロラドと言えばCoorsやBudweiserでお馴染みのビールの生産量ではアメリカでトップの州ですが、高品質なワインも醸造される様になって来ていますので、今度皆さんがコロラドへ来られたらワインも是非試してみて下さい。

2008年のデンバー空港の乗客数が新記録

昨年1月より過去最高記録の扱い乗客数を毎月更新して来たデンバー国際空港ですが、2月16日(水)に2008年の通算記録がデンバー空港当局より発表されて、その数総数で5120万人となり、1995年2月に開港して以来過去最高の乗客数を扱ったとしています。

月別に見てみますと以前最高であった2007年に比べて11月だけがその月別記録を僅か下回ったものの各月毎に記録を更新し、特に12月では4,073,246人と大幅に記録を破って年間通算で2007年より2.8%の上昇で新記録を示しています。

  • ジェット燃料の高騰
  • 経済不況の進行
  • 利用客数の低迷

と言った悪環境の中にあって健闘していると言えます。

全米の商用空港の中では第5位の記録ですが、この記録は3年前よりデンバーをハブ空港として進出している格安航空運賃で競争しているSouthwest航空の寄与が大きく、昨年は同航空会社では60便の新フライトの増加を行っています。

デンバー空港をハブ空港として活動している航空会社としては、United航空、Frontier航空、そしてSouthwest航空の3社ですが、現在会社更生法(Chapter 11)の適用下で業績改善に努めているFrontier航空の不振を新規のSouthwest航空がカバ−した形となっています。

この年間5000万人という当初計画された乗客数を越す規模となって来た事は現有の空港設備では一杯の所迄来ており、次のフェイズの設備増強計画を強いられる事となり特に;

  • 滑走路の新設 (現在6本の滑走路を使用している。)
  • 25カ所のゲートの新設
  • 自動車の駐車場の拡張
  • セキュリテイチェックポイントの拡張充実
  • 乗客手荷物の搬送設備の増強
  • 空港内各コンコースのレストランやお土産店などの拡張
  • デンバーのダウンタウンと空港ビルの間を結ぶ高速鉄道の建設
  • 空港ビルに隣接の大型ホテルの建設
  • などといった課題が残されています。

    一方、現在進行している経済不況の影響により今年6月では前年に比べて7.5%の乗客数の減少が予想されており、これは年間で200万人の低下となります。また、2010年には更に200万人の減少が生ずると予測されていて、2008年のレベルに回復するには2014年迄かかるとされています。

    この様な環境下での新規設備強化投資は其の投下金額も莫大となる事から、その投資タイミングやリスクの読みが非常に重要となり今後の空港当局、そしてデンバー市当局の腕の見せ所となると言えます。

    自転車でロッキー山脈を縦走

    毎年恒例となったコロラドの自転車ファンには大変人気のある。1週間かけて険しいロッキー山中のコースを走破する自転車ツアー「Ride the Rockies」の参加者の募集がその主催スポンサーの1社のDenver Post新聞社の2月1日(日)の紙面に早くも載りました。

    このツアーは運営者側で毎年異なるコースを設定して,1週間かけてテントで夜を過ごしながら自転車で走破するもので、競争ではありませんが、なにせ標高の高い箇所を走る事になりますので耐久力を非常に必要とする事で知られています。毎年その参加人員を2000名に制限して行われ、2月20日に参加者の募集締め切って抽選により2000名が選出されます。

    今年はコロラド州を東から西へロッキー山脈を越えて横切っている国道70号線の途中の町Glenwood Springsの町を起点として再び同町へ戻って来る周回コースが設定され、毎年6月の第3日曜日の父の日にスタートとなっていますが、今年は6月21日の日曜日が父の日となっており、例年より1週間早い6月14日(日)から19日(金)の6日間で延長380マイル(611km)の距離を走破する計画となっています。

    1日目 Glenwood Springs => Hotchkiss
    2日目 Hotchkiss => Gunnison
    3日目 Gunnison => Salida
    4日目 Salida => Leadville
    5日目 Leadville => Glenwood Springs

    というルートとなっています。

    特に

    • 1日目のコースにはMcClure峠(標高8755フィート/2669m)
    • 3日目のコースにはMonarch峠(標高11312フィート/3448m)
    • 5日目のコースにはIndependent峠(標高12095フィート/3687m)

    といった峠越えがあって最終日のインデペンデント峠は富士山の9合目くらいの標高となる事から空気が薄く各メンバーは事前のトレーニングを充分行う事が重要となっています。

    参加費用は335ドルですが、主催者側では、参加者の荷物の運搬、各種の輸送方法、医療体制、自転車の修理対応、落伍者の保護、そして参加者にはジャージーの支給、水ボトルの供給、コースの地図ブックの支給などを行う様になっています。

    また、参加者は主催者が設営するテントに宿泊する事になっており、そのテントの運搬や設営を2000人分各場所へ準備します。この自転車ツアーには毎年その通過する町の自治体では全面的なサポートを行う習わしとなっており、特に宿泊テントの設営場所の確保や設営作業に各自治体の人達が応援します。また、メインスポンサーとしては地元新聞のDenver Post紙、コロラドで最大の銀行Wells Fargo Bank、そして数多くのコロラドの企業や団体が協賛しています。

    今年のスタート/ゴール点となっているGlenwood Springsの町には巨大な温泉プールが在り、温泉療養所の施設もあるので、帰りに温泉に浸かってから帰るという事も可能です。また、地元のワイン醸造でも有名ですので全コース走破の祝杯を挙げる楽しみも出来ると言う事になっています。夏の季節の始まりを告げるコロラドのメインイベントの一つとなっています。

    あとがき

    先のこのレポートでもお伝えしましたが、コロラドの地元新聞「Rocky Mountain News」紙はここ数年経営赤字が継続しており、最近の経済不況の影響でその広告収入が減少して来ている事からその持株会社で広告募集や同紙が行っているいろいろなビジネス運営を行っているDenver Newspaper Agency社が他社への売却の活動を昨年後半より行っており、今年1月16日を期限として買い取り客を捜していましたが、期限が過ぎても適切な売却先が見つからない事から、売却をあきらめてRocky Mountain News紙を閉じる決心をしなくてはならない状況となって現在同紙の労働組合(Union)と調整に入っています。

    デンバーの町の中心地に在るRocky Mountain News新聞の社屋
    デンバーの中心地のコロラド州庁社やデンバー市庁舎の在るCivic Center Parkに面したColfax通りに面しているRocky Mountain News新聞社のビルです。 デンバー地区やコロラド州のニュース取材活動を行うには大変都合が良い地の利にあると言えます。 建物の左最上階の部分に「Rocky Mountain News」のサインが見えます。

    コロラドの地元新聞にはもう1紙あり「Denver Post」ですが、もともとその持ち株会社のDenver Newspaper Agencyが経営不振となっていたRocky Mountain News紙を買い取ってDenver Post紙との融合をとりながら両紙の運営を行って来ました。

    我々読者側からしますと、例えば日曜版については1週間毎に両紙が交互に編集を担当して、1紙分として発行、配送を行って来ており、両紙を購読している人は日曜日には同じ新聞が届くと言う様になっています。

    その他両紙の特長を壊す事無く共通部分は相互乗り入れをして経営改善に努めて来ましたが、やはり経営好転は難しく、最近の経済不況のあおりでDenver Newspaper Agencyに「コロラドには地元新聞は2紙いらない」と言わせる事態となってしまっています。

    創刊以来150年の歴史を持つコロラドで最も歴史の長いRocky Mountain News紙ですが、今後どのような方向で決着するのか我々読者には心配ですが、間もなくその方向が見えて来そうな状況となっています。

WRITER PROFILE

萩原正喜

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。