待ち望んだKi Proがいよいよ日本でもリリース直前となった。 先日でもお伝えしたイベントで実際に使用した作例が見ることができる。はやる気持ちを抑えAJAプロダクトマネージャーJon Thorn氏にお話を伺った。Pacific PortalsEricのHamilton氏にもご尽力をいただいだ。

-どのような経緯でKi Proは開発されたのでしょうか。

Ki Pro開発秘話とは?

Jon Thorn氏(以下JT):2007年のNABでIo HDを発表した直後から開発が始まりました。Ki Proを開発するに当たり、Io HDへ寄せられたレコーディング機能や小型・軽量化などといった要望を参考にし、撮影から編集までをシームレスに行えることをコンセプトにしています。

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2つのExpress Card/34のフラッシュメモリーカードスロットが装備されている。転送レートの関係でUSBタイプのExpress Cardは使用できない。現在ソニーのSxSへの対応も検討中

今までは、撮影と編集のフォーマットは異なっていました。多くの小型ビデオカメラはHDVやAVCHDなどといった圧縮フォーマットを採用しており、編集時には編集に適したフォーマットに変換しながら取り込むか、ファイルを変換しているのが現状です。また、これらのフォーマットは4:2:0/8ビットで記録されており、最近ではネイティブで編集できるようになって来ましたが、編集に適したフォーマットとはいえません。

Appleが開発したProRes 422は、Final Cut Proのために開発された編集用のコーデックですが、4:2:2/10ビットで非常にクォリティが高く、Io HDで収録時のフォーマットとして採用していますが、Ki ProでもApple ProRes 422を採用することで、撮影からFinal Cutによる編集まで、フォーマット変換や取込などをしなくてもシームレスに作業を行うことができます。

これにより、カメラの撮像部分からダイレクトにHDMIに出力しているような機種であれば、そのカメラの記録系を使用するよりもはるかに高画質でしかも、編集時にもそのクォリティを保ったまま、シームレスに作業を行うことができるのです。

また、Ki Proの記録媒体はリムーバブルストレージモジュールまたはExpress Card/34のフラッシュメモリーカードを使用することができるようになっており、編集用のMacへこれら記録媒体を接続するだけで、すぐに編集作業を行うことができます。

-2種類の記録媒体に対応しているということですが、同時に記録したり記録するメディアを指定したりすることはできるのでしょうか。

JT:現在平行して記録するようにはなっていません。記録するメディアの順序は指定することができますので、たとえばフラッシュメモリーカードへ記録していていっぱいになったら、ストレージモジュールへとか、任意に設定することができます。

Ki Proが目指す新しい世界とは?

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リムーバブルストレージモジュールにはHDDタイプとSSDタイプが用意されているほか、単体でPCと接続してストレージメディアとして使用することが可能

-リムーバブルストレージモジュールはAJA独自のものなのでしょうか。

JT:モジュールパックはAJA独自のものですが、内蔵されているディスクやSSDは汎用のSATAインターフェースのものを採用しています。ただ、転送レートの問題などがありますので、AJAできちんと動作を確認したものをパッケージしています。フラッシュメモリーカードのほうは、一般に市販されているものがご利用いただけますが、やはり転送レートなどAJAでチェックし、推奨メモリーカードとして公開する予定です。

-コントロール系として、EthernetやWi-Fiによるワイヤレスコントロールが可能となっているほか、RS-422やIEEE1394、LANC、AJA Lens Tapにも対応しているということですが、AJA Lens Tapというのはどのようなものなのでしょうか。

JT:まず、お断りしておかなくてはならないのは、先般アナウンスしたように、現時点でのバージョン(Ver1.1)では、EthernetやWi-Fiでのマシンコントロールのみで、そのほかは次期バージョンのVer2.0以降での対応となります。

AJA Lens Tapというのは、カメラとレンズを接続しているケーブルを分岐して、レンズのトリガーボタンの信号でKi Proの録画をスタートさせるというものです。

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オプションとして用意されているExo-Skeletonをカメラをマウントしたところ

-レンズのRECボタンからの信号で録画をスタートさせるということはカメラの電源が入っていなくてもKi Proの録画が始まってしまうということになりませんか。

JT:レンズ側の仕様の問題等も有りますが、そういったことも含めて現在検討中です。LANCなどもそうですが、1社1機種のカメラだけではありませんし、ズームリモコンなどを接続している場合はどうか、など様々な検討課題があるのです。

-電源はキャノン4ピンが本体サイドに装備されていますが、ここに直接Vマウントなどのバッテリーを装着できるようなアダプターは用意されるのでしょうか。

JT:三脚とカメラの間に本体をマウントするためのパーツExo-SkeletonやKi Pro Rod Accessory Kitといったオプションを用意していますが、バッテリーを装着できるようなアダプターをAJAでは用意していません。ただ、先般のNABでKi Proを公開してから、様々なところからこうしたアダプターの製作を行うという話がありましたので、近いうちにそうした周辺機器メーカーから発表があるかもしれませんね。

-HDMI入力が可能ということですが、ニコンやキヤノンのスチルカメラなどで撮影することは想定されているのでしょうか。

JT:個人的にも非常に期待しているのですが、ファインダー内の情報表示も一緒に出力されていたり、フルハイビジョンの出力がされないものもあります。もっともこうしたことは、ビデオカメラでも同様で、機種によっては本来の映像以外の情報が画面内に表示されてしまい、ビデオカメラとしてきちんと機能しません。今後、デジタル一眼レフカメラのメーカーからデジタルビデオカメラとして使えるような機種が発売されるといいですね。

本日はどうもありがとうございました。

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http://cweb.canon.jp/prodv/workflow2009/index.html

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