Inter BEE 2009まで2週間を切った。各社新商品を送り出してくるわけだが、今回は、SONYから”XDCAM EX”シリーズに新しく「PMW-EX1R」と肩乗せタイプの「PMW-350」がラインナップに加わる。InterBEEを前に一足先にインプレッションをお届けしたい。前編では肩乗せタイプ「PMW-350」を紹介しよう。
初披露される”XDCAM EX”シリーズ「PMW-EX1R」と「PMW-350」
“XDCAM EX”シリーズは、2007年11月に「PMW-EX1」を発売したのを皮切りに、翌年にはレンズ交換可能な「PMW-EX3」と据え置き型レコーダー「PMW-EX30」を、今年から来年にかけて「PMW-EX1」の後継モデル「PMW-EX1R」と肩乗せタイプの「PMW-350」シリーズを順次発売する。また、記録媒体の「”SxS” (エス・バイ・エス)メモリー」がまだ高価なため、”メモリースティック”を媒体として使用できるメモリースティック アダプター「MEAD-MS01」やより安価な価格設定のSxSメモリー”SxS-1″「SBS-32G1」も発売される。
PMW-350の全貌とは?
“XDCAM EX”シリーズ「PMW-EX1R」と「PMW-350」 |
肩乗せタイプ「PMW-350」 |
「PMW-350」は、「PMW-EX1」シリーズと同様”Exmor”をイメージャーとして採用しているが、1/2から2/3とサイズアップ。撮像素子が大きくなることで、1画素あたりの面積が増えたため、感度やSN比の性能向上が見込まれるが、スペック上、感度F12、SN比59dBとなっている。これは、「PMW-EX1」等1/2サイズの撮像素子を搭載したモデルが感度F10、SN比54dBと 比較してSN比で著しい向上となっている。数値的に見ると先に発売されたばかりの”XDCAM” HD422局用カメラ「PDW-F800」の感度F11、SN比59dBを凌駕している。
ただし、局用のカメラと業務用のカメラとは測定基準が異なる可能性があり、一概に比較するわけにはいかないが、”Exmor”イメージャーの優秀さが見て取れる。なお、「F23」などに採用されているハイパーガンマを搭載。標準6種類と合わせて10種類から選択できる。
レンズは8~128mmの16倍ズームが標準レンズとして用意されており、「PMW-350K」には標準で装備されている。このレンズはフジノン製で、オートフォーカス対応となっており、「PMW-EX1R」と同様な操作性を備えているが、レンズ径は82mmだ。マウントは2/3型ソニーバヨネットマウントになっており、フジノンやキヤノンのレンズを装着することが可能となっている。オートフォーカスは使うとそれなりに便利なもので、ショートズームなどオートフォーカス対応レンズのラインアップに期待したいところだが、いまのところ発売の予定は無い。
「PMW-350K」は、レンズ標準付属(オートフォーカス対応のフジノン製16倍ズームレンズ) |
肩載せしたPMW-350、これが基本スタイル |
さらにそのディテールを覗く!
記録系はHDのほか、オプションの「CBK-DV01」(¥88,000(税抜))を装着することにより、DVCAMフォーマットでの記録が可能なほか、「PMW-EX1」や「PMW-EX3」ではサポートされていなかった1440×1080(59.94i、50i、29.97p、25p、23.98p)での記録ができる。なお、オーディオは4ch記録が可能となった。SD記録は、スクイーズとエッジクロップに対応しているが、エッジクロップの場合画角が狭くなるのでワイコンなどの装着を考慮したほうが良いだろう。ちなみに広角側は35mmスチルカメラ換算で31.5mmなので、エッジクロップで撮影するとおおむね、2~3割ほど画角が狭くなるので、40mm弱くらいになる。
ビデオ出力は、HD-SDI、コンポジットのほかモニタリング用にHDMIも装備されており、安価な民生用モニターを使うことが可能だ。また、スイッチャーや伝送装置へ本線信号として使えるよう、情報表示のON/OFFも行えるようになっているほか、ゲンロックやTCにも対応している。こうした制作スタイルで運用する場合カメラリモートが必要になる場合があるが、既存の8ピンリモートコントロールユニット「RM-B150」、「RM-B750」、「RCP-751」、「RCP-921」などを使用することができるようになっている。当然だが、カメラ側にない機能は制御できない。なお、シーンファイルを設定することができるがこれは、SxSメモリーおよび本体に保存されるようになっており、設定をカメラ間で共有することができる。
「PMW-EX1」でも搭載されていたが、オーバークランク/アンダークランク撮影ができ、720p時には1~60フレーム、1080p時には1~30フレームまでの間で、1フレーム刻みで可変可能。これにより、ハイスピードやスローモーション撮影がカメラ本体のみで可能となる。(スロー&クイックモーション機能)
画面反転機能により、LCD画面部分から跳ね上げても正像で確認できる |
ビューファインダーのアイピース部分はね上げた状態 |
ビューファインダーは、「PMW-EX1」や「PMW-EX3」と同様な3.5型のカラーLCDが採用されているが、アイピース部分が跳ね上げられるほか、LCD画面部分から跳ね上げることもできる独特な構造をしている。通常のビューファインダーとカメラボディ側面に装備されたモニターの両方の機能を兼ね備えた感じだ。また、画面反転機能により、DOFを使用した場合正像として見ることができる。
“XDCAM”などで装備されていたキャッシュレックが装備され、RECトリガーを押す前の15秒(最大)のキャッシュRECが可能となっている。この機能はカメラ内部のメモリーを使用するが、SxS等のメモリーの書き換え寿命に影響を与えないようにとの配慮だと思われる。
ちなみに、レコーディングディバイスとしては、「PHU-60K」/「PHU-120R」/「PHU-120K」、「HVR-DR60」、「HVR-MRC1」が同社製品として使用することが可能だが、インターフェースが適応すれば他社のレコーディングディバイスももちろん接続可能だ。
一見したデザインは同社のENGカメラと共通したポリシーで設計されているようで、操作スイッチの配置や各種入出力は、局用のカメラと同様な配置となっている。また、スイッチ類の誤操作を防ぐため、ちょっと過剰と思われるほどプロテクターが装備されている。
電源はVマウントバッテリーを使用するようになっているが、消費電力は通常オペレーション状態でも約18Wしかなく、「BP-GL95A」バッテリー使用時で5時間以上の運用が可能だ。ちなみにこの状態での質量は6.3kgである。バッテリー1本でほぼ1日の収録が間に合うだろう。なお、対応時期は未定だが、Wi-Fiアダプターによるメタデーターのやり取りが予定されている。
後編は、PMW-EX1Rを取り上げてみたい。