先のこのレポートでお伝えした、10月21日からの降雪でデンバー地区はその後寒い日が続いていましたが、11月に入ってから再び暖かい陽気となって、11月5日(木)にはデンバー空港では午後1時49分に華氏77度(摂氏25度)の最高気温を示しました。
この気温は11月5日としては1945年と1916年に記録した華氏76度を越える新記録となっています。ちなみに、ボールダーに在る国立気象情報センターでは、11月5日の今までの最高気温の平均は華氏56度(摂氏24度)となっていると伝えています。
ところで、11月に入ってコロラドではいよいよスキーシーズンを迎える事となっていますが、今年も「Colorado Ski Country USA」のコロラド州内の各スキー場の最新情報を毎日伝える広告記事が11月6日(金)の地元新聞Denver Post紙のスポーツ欄に掲載が始まりました。
コロラドの主要スキー場のオープン期日が発表されています。
スキー場名 | 11月6日現在 |
Loveland | 10月に既にオープン |
Arapahoe Basin | 10月に既にオープン |
Wolf Creek | 10月31日に既にオープン |
Copper Mountain | 11月6日 |
Keystone | 11月6日 |
Breckenridge | 11月12日 |
Winter Park | 11月18日 |
Eldora | 11月20日 |
Vail | 11月20日 |
Steamboat | 11月25日 |
Crest Butte | 11月25日 |
Aspen Mountain | 11月26日 |
Snowmass | 11月26日 |
Telluride | 11月26日 |
Purgatory | 11月26日 |
Sunlight | 12月4日 |
Silverton Mountain | 12月5日 |
Aspen Highlands | 12月12日 |
Buttermilk | 12月12日 |
Powderhorn | 12月17日 |
SolVista Basin | 12月中にオープン |
Howelson | 12月中にオープン |
Beaver Creek | 未定 |
Echo Mountain | 未定 |
Beaver Creek | 未定 |
Monarch | 未定 |
Ski Cooper | 未定 |
コロラドにはこの様に数多くのスキー場がロッキー山脈中にありますが、ロッキー山脈を越える国道ハイウエイ70号線沿いの交通至便で規模が大きく最もポピュラーなVail スキー場がオープンするとコロラドのスキーシーズンも本格的となります。
コロラドでの高速インターネット事情
今まで私は仕事用も、また私用にもインターネットの利用はダイアルアップの64kbps に頼って来ましたが、今回ケーブルモデムによるADSLサービスに切り替える事になりました。
もともとアメリカではダイアルアップサービスから高速インターネットサービスへの切り替えが事業としてのスタートは早かったものの、その普及が遅々として進まず、韓国や日本、そしてシンガポールなどに比べて大幅に遅れをとってきました。
振り返ってその主要な理由を考えてみますと、下記の様な事が言えるのではないかと思われます。
- ダイアルアップの電話ラインが市内通話では何分間使用していても月額の基本料金以外は無料。
- 使用しているインターネットサービスプロバイダーのダイアルアップベースのアクセスポイントが全米の各都市へ急速に拡大設置されて何処からでも無料で使用出来た。
- ビジネス用としては、外国の主要都市部へのアクセスポイントも数多く設置されたので、海外出張先などでも電話の市内通話の料金で利用出来た。
- その後、サービスプロバイダーの乱立が起ってインターネットの利用月額料金競争で急速に安くなった。
- その後法律の制定で電話事業会社とケーブルTV事業会社との間での電話サービスとTV放送配信サービスについて相互参入が自由化され、更に地上波TV放送のデジタル移行の動きに刺激されて両事業でのデジタルTVサービスを行う為の高速光ファイバー幹線の設備投資が始まり、その本格的な全米の主要都市を結ぶ高速インターネット網の整備が進んだ。
- デジタル光ファイバー幹線とともに市街地での光ファイバーネットの設備投資が積極的に進む様になり、市場では直接衛星TV放送とケーブルTV放送との間でサブスクライバー獲得競争が激しくなり、衛星TVシステムに対してケーブルTV業界ではその双方向性の優位点を活かして高速インターネットおよびVoIP (Voice over Internet Protocol) ベースの音声電話サービスへの事業化が本格的となって来た。
- 市場では双方向通信メディアの電話事業会社とケーブルTV事業会社との間でのデジタルTV/デジタルビデオプログラム放送のサブスクライバー獲得競争が始まって、その新規申し込み者の特別初期料金の価格も下がって来て、それぞれの受信の為の家庭への装置取り付けサービスも激しくなって来ている。
と言った様な経過で、ここへ来てアメリカでは急速に高速インターネットの普及が進んでいます。
この様な情勢から、まだ少数とはいえ下記の様な事が一般的となる日も近いのではないかとさえ推測されます。
- VoIP (Video over Internet Protocol) ベースのビデオ送信サービスが一般的となり、丁度DVDの映画デイスクをパソコンのデイスプレー経由で観ている人達が大勢居たのと同様に、家庭でのTVプログラム視聴がTV受信機ではなく、パソコン経由で観る人達の人口が増加して一般的となる様相に有る。
- 文字通り「Broadband Service」となるインターネットですが、パソコンの方でもそれに合わせて新型モデルで特にラップトップパソコンではそのデイスプレーが16:9の画面サイズ比のものが主流となって来ており、最近のBestBuy店の広告では16:9画面でないモデルが見られなくなって来ている状況です。
- スポーツ中継プログラムや映画番組などは大画面のTVセットで観て、それ以外はパーソナルなパソコン画面で見る、といった事になるのではないかと思われます。
- Comcast 社のケーブルTV事業所入り口
- デンバーの南西に在るローカル空港CentennialAirportの西に隣接しているInvernessゴルフクラブの敷地の中に在るComcast社のケーブルTV事業所の入り口の看板です。
この広大な敷地内には主要放送関係のDirecTV社やWarner CableTV社などの会社の事業所が点在しており、いわばコロラドのIT事業の中心とも云えます。
現在コロラドのデンバー地区ではケーブルTVの大手のComcast社と地方電話会社の大手のQwest社との間で、高速インターネットサービスと併せてデジタルTV配信サービスとを巡って熾烈なサブスクライバー獲得競争が展開されており、特にインターネットの分野では、そのデータ転送速度と利用月額料金との2項目が焦点となっています。
ちなみに、Comcast社が現在オファーしているサービスのデータ転送速度について見てみると下記の様になっています。
New Speeds | New Power Boost Speeds | |||
Service Name | Down Load | Up Load | Down Load | Up Load |
Economy Tiers | 1.25Mbps | 440kbps | —- | —- |
Performance | 12Mbps | 2Mbps | 15Mbps | 3Mbps |
Blast! | 16Mbps | 2Mbps | 20Mbps | 4Mbps |
Ultra | 22Mbps | 10Mbps | 30Mbps | 5Mbps |
Extreme 50 | 50Mbps | 10Mbps | —- | —- |
New Speedsというのは今までの顧客に同社がオファーして来た通信速度で、New Power Boost Speedsというのは現在から今年の年末までの間に同社で実施する各速度のアップグレード通信速度となっています。
ユーザーの用途プログラムに合わせて多くの選択が出来る様になっており、その解説として次の様に説明されています。
Extreme 50 | インターネットエキスパートや熱心なマニア向け、ゲームマニアやオンラインコンテンツの制作をしたりシェアーして使用する人向け。 |
Ultra | 1回線を複数の人達で使用するユーザー向けで、各種のオンラインメディアを同時進行させるレベル。 |
Blast! | HDムービーのダウンロードやミュージックビデオのダウンロード、ゲームなどに適しており、サイズの大きいマルチメディアファイルの転送に最適。 |
Performance | オンライン活動に十分な性能、勘定書の支払いや旅行の予約、オンラインチャタリング、写真の送信、音楽のダウンロードに適している。 |
Economy Tiers | 当初ADSLインターネットサービスがスタートした時の通信速度。ダイアルアップサービスから高速インターネットへ切り替える人向け。使用月額料金がPerformanceの約半額。 |
ちなみに私の家での選択ではEconomy Tiersを選んだのですが、既に今まで我が家ではComcast社の「Digital Voice」と呼んでいるケーブル1回線で4ライン分までの音声電話が可能な電話サービスを2回線使用して来ており、ケーブルラインとともにケーブルモデムも設置されていますので、工事としてはケーブルモデムのEthernetコネクターから使用しているパソコンのEthernetコネクターまでの間をEthernetケーブルで接続するだけで、済みました。
使用印象としてはすこぶる快適で、今までのダイアルアップの時に比べると大変スムースにレスポンスしてくれるので楽しんでいます。ちなみに、もし私がもう少し高速サービスを受けたい時には設備の変更は全く不要でComcast社へ申し込むだけで切り替えてもらえます。もちろん使用月額料金は少し高額となりますが。
以上、早くから高速インターネットの普及している日本の皆さんには笑われそうなコロラドでの私の「インターネット事情」ですが、これからはこの「コロラド紀行」の原稿からその高速インターネットで送付する事となります。
Comcast社Webトップページの一部
パソコンで受信E-Mailを確認しようとクリックするとこの様な表示がComcast社のインターネットサービスのトップページの一部として表示されます。
現在 Comcast社では、下記の名称で3つのサービスを主力に事業展開しています。
- Comcast High Speed Internet
- Comcast Digital Voice
- Comcast Digital Cable
「E-Mail」をクリックすればもちろんE-Mail確認へ、「Voice」をクリックすればボイスメールへ、「TV」をクリックすればTV放送サービスへと接続される様になっています。
ちなみに、この表示の上の部分には私の住んでいるコロラドのオローラ市の現在の気温と天候が表示されており、これから先の天気予報も「Extended Forecast」をクリックすると見る事が出来ます。また、「Hi, CHARLOTTE」のシャーロットは私の家内の名前です。
この様にパソコンでいろいろなサービスが受けられる事を意識してのWeb Head ページの制作が為されているのを感じます。TVセットのリモコン操作でこのようなサービスが受けられる様にならないものだろうか?などと考えてしまいます。
Comcast社がNBC社を買収準備
- Comcast 社のメディアセンターの入り口
- デンバーの南のLittletonに在るComcast社のケーブルTVの番組の制御や送出を行うMedia Centerの入り口に在る看板です。少し距離は離れていますが、同じLittletonの町には衛星放送のEchoStar社の番組制御や送出を行っている事業所が在ります。
- Comcast 社のケーブル事業所の建物
- L字型に構成された大きな4階建ての建物で広い駐車場が有りますが、従業員の車で一杯で停める場所を見つけるのも大変です。中央のL字型の折れ曲がり部が玄関となっています。
TV放送の3大全米放送ネットワークの1社であるNBC (National Broadcasting Station) がケーブルTVの最大手のComcast 社の買収に応ずる準備に入っていると11月16日(月)の地元新聞がAP電として伝えています。
NBCはアメリカで最初のラジオネットワーク会社としてRCA (Radio Corporation of America) がその子会社として1926年に創立し、後にTV放送のネットワーク事業のパイオニアとして活動して来ました。CBS, ABC とともにアメリカのTV放送の3大ネットワーク会社として放送文化の事業推進のリーダーシップをとって来ています。
現在NBC 社は映画のUniversal社の資本が入ってNBC Universal社となっていますが、その主要株主であるVivendi SA 社がその株式の20%をNBC の主要オーナー会社であるGE (General Electric) に売却を予定しており、その後GE 社は現在の持ち株と合わせてNBC の51%の株式をComcast 社へ売却する事になったものです。早ければ来週にはこの取引内容が公表されるものと推定されています。
この買収により、そのケーブルTVネットワークに、Johnny Carson, Jerry Seifeld, Bob Hope, Milton Berle, Tom Brokaw などの有名タレントの番組を手のうちにおさめる事となり、併せてGolf Channel, E! Entertainment Television の2つのTVチャンネルのプログラムもケーブルで流せる様になります。
今回のComcastのNBC 買収劇の意味するところは、時代の流れとも云えるTV放送の形態が変化して来ていると云う事を象徴しており、今までの巨大TV会社が多勢の視聴者を対象に1つのプログラムを流すという形から、送信会社が多数のプログラムを準備して、視聴者がその中から好みの番組を自由に選択視聴する、すなわち、1つのプログラムに対して比較的少ない人数の視聴者で放送事業が成立してゆくという形態に変化して来ている事を示しているようです。
更にTV放送の形態は高速インターネットの家庭へのサービスの一部として組み入れられて、視聴者たちはTV受信機という商品を介してではなく、パソコンという商品を介してプログラムを選択視聴するようになってくる傾向が現れてきている、と言う事だと思われます。
コロラドではかつて全米一の規模を有したケーブルTV会社のTCI (Tele Communication Inc.) 社がデンバーに本社を置いて事業展開していましたが、しばらく以前に電話事業の大手AT&T 社がTCI 社を買収して、AT&T Broadband 社という子会社組織でケーブルTV事業を行って来ました。
- Aurora市内のComcast 社の直営サービス店
- 私の住んでいるオローラ市内の商店が多く集まっている場所の一画に開いているComcast社直営のサービス店です。デンバー地区のあちこちにこの様な店を10店舗開いており、ケーブルTVの加入申し込みの受付はもちろん、ケーブルTVの受信に必要な電気部品やセットトップボックスやモデムなどの機器類、接続ケーブル類、コネクター類、そして電話機からCaller IDサービス用の表示器など此処へ来れば何でも揃っていると云った具合です。
その後、このAT&T Broadband 社を当時アメリカでは3位の規模のケーブルTV会社であったペンシルバニア州のフィラデルフィアに本社を置くComcast 社が買収して今日に至っています。
今回のComcast社のNBC 社買収はその最終的な確定までには独占禁止法にもとづくアメリカ司法省か商務省の認可が必要となるものと推定され、今しばらく時間がかかるものと思われますが、突然降って湧いたようなニュースに驚きとともに時代の流れを感じさせられます。
地上波TV放送のデジタル移行その後
さる6月12日で全米の地上波TV放送がNTSCアナログ方式からATSCデジタル方式に全面移行しましたが、その後各放送局では「今までTVが受信出来ていたのにデジタルになった途端、コンバーターボックスを使用しても受信出来なくなった。」という視聴者からのクレームに対応してハイゲイン外部アンテナの設置指導や送信アンテナのビームの微調整などを行って来ましたが、やっと落ち着いた感じです。
従来使用していたアナログTVセットでデジタルTV放送を受信する為にコンバーターボックスを購入する人の為にアメリカ政府がその費用補助としてクーポンを発行して来ましたが、その有効期限が11月9日(日)で切れました。
政府の記録によると、1枚40ドルのクーポン券が全米向けに総数6410万枚発行されましたが、その54%が実際のコンバーターボックスの購入に使用され残りは使用されないまま無効となりました。今回のこの活動には政府として18億ドルの費用が計上されましたが、そのうち約5億ドルは視聴者がクーポンをもらったのにボックスを購入しなかった、としています。
クーポンは1世帯に2枚までの配布となっていましたので、2枚入手して1セットきり使わなかった、という家が多いのかもしれません。ちなみに、我が家ではクーポン券は2枚入手して、コンバーターボックを2台購入しています。
コロラド州では89万6000枚のクーポンが発行され、その56%にあたる50万2000枚が使用されています。また、州別のクーポン利用率ではハワイ州が最下位で40%、アイオワ州がトップで64%となったとしています。
今回の結果について、その推進にあたったNTIA (National Telecommunications and Information Administration) では「DTVクーポンの仕組みは大変な成功だった。特にアメリカ国民の多くにデジタル移行にどの様に準備すれば良いかを知らしめ、数100万軒の家庭でのコンバーターボックスを購入する為の費用を助けて積極対応をうながした。」と云っています。
TVセットの消費電力低減法が成立
カリフォルニア州では毎年消費者が大型TVセットを購入する事からTVセットが消費する電力について年率8%の増加を示していると言う事で、そのまま放置しておけない、として、新しく販売されるTVセットの消費電力の低減値の標準を決め義務化する法案が11月18日(水)に州議会で可決されました。
それによると、カリフォルニア州エネルギー委員会として2011年より第1段階の低減実施を課して、更に2013年よりより厳しい実施標準を課すと言う事になっています。
自動車の排気ガス規制でもそうでしたが、このTVセットの消費電力規制についてもカリフォルニア州がアメリカで最初の州となりました。このカリフォルニアの規制はやがては全米のすべての州で適用される事となると想像されますが、自動車の場合と異なり、TVセットの場合はほとんどその製造メーカーがアメリカ内の企業では無いので、実施の全米への波及はもっと早くなるのではないかと思われます。
今回の規制では58インチ以下のサイズのTVセットが対象であり、市場の台数占有率で3%程の比率を占めている58インチを越える大型TVセットについては今回は規制されませんが、将来別途その規制値を検討して行くとしています。
担当のカリフォルニア州エネルギー委員会では、TVセットの家庭で消費している電力はその家庭での全体の消費電力の約10%を占めており、今回の法律の実施でカリフォルニア州全体で年間10億ドルの電気料金の節約となり、それは500メガワットの発電所一つ分の発電量に当たる、としています。
ただ電力を減らせば良い、と言う事ではなく再生画質を落とさないという制約条件付きに実際の商品ではなりますので、各TVメーカーの設計開発部隊に新しい挑戦課題が提供されましたが、実際にどのような消費電力値が規制値となるか大変注目されます。
あとがき
毎年この時期には恒例となった「Colorado Ski & Snowboard Expo」がデンバーのダウンタウンに在るコロラドコンベンシヨンセンターで11月13日(金)から14日(土)、15日(日)の3日間スキー場、スキー用具メーカー、用具小売店など出展社約100が参加して開催されています。
今年はこの3日間で延べ3万人の見学者を見込んでいますが、昨シーズンが景気不調の為コロラドの各スキー場へのスキー客の総数は1185万人で、一昨シーズンに比べて5.5%低下した事から、今年の回復を期してのショーとなっています。もともとこのショーはスキーやスノーボードの用具の展示会だったのですが、特に本格的なシーズン前で各スキー場のシーズンパスを割引価格で入手出来る最後のチャンスと言う事でスキーヤーの人達にはその選択購入で人気があります。
各スキーリゾートの出展者たちはスキー場のロッジの使用やリフト券の購入、用具のレンタルなどとのパッケージでホテルの無料宿泊などを組み合わせてオファーしており、今シーズンのスキー客の動静を占う絶好の場所となっています。