10bit非圧縮HD記録が可能なCINEDECK EXTREMEを知る
テクノロジー・ジョイントは、2010年CINEDECK社のポータブルディスクレコーダーCINEDECK EXTREMEの取り扱いを開始。InterBEEで同社の製品を一般公開するとともに19日に説明会が会場内のブースにおいて行われた。CINEDECK EXTREMEは、10bit非圧縮HD記録が可能なほか、AvidのDNxHDやApple Proresによる記録も可能なポータブルディスクレコーダーで、記録媒体には汎用の2.5インチSSDを採用している。入力はHD/SD-SDIのほかHDMIなどに対応しており、オプションで2ch入力が可能となり、3D収録を行うことも可能だ。
CINEDECK EXTREMEが誕生するまで…
-CINEDECK EXTREMEの開発経緯を教えてください。
CINEDECK社は2009年に設立された会社で、空撮を専門とするカメラマンがより小型で多機能なレコーダーをということがCINEDECK EXTREMEの開発の発端です。レコーダー機能のほかにも本体だけで記録した画像のプレビューや波形モニターやベクトルスコープなどの測定機能も備えています。こうした表示のためにフロントパネル面には7インチ1024×600のLCDモニターが装備されています。このLCDモニターはタッチパネル式になっており、適宜画面に表示されるファンクションキーと画面に右に装備された10個のハードキーにより複雑な設定も簡単に行えるようになっています。
表示はプレビューや波形などを単独で表示できるのはもちろんですが、画面の端に小さく表示させることもできます。また、セーフティーマーカーのオーバーレイ表示やオーディオレベルなど様々な情報を一度に表示させることもできます。
大きさはこのクラスのLCDモニターとほとんど同じで130×200×90mmほどで、重さも1.8kgほどですが、筐体はアルミ金属製で頑丈に作られているだけでなく、取り付けに便利なように上下に1/4インチと3/8インチのマウント用ネジ穴があります。電源は背面にVマウントのバッテリーを直接装着することができますが、外部電源として12~28Vを供給して使用することもできます。収録中に電源供給が絶たれてしまい記録が途中で止まった場合でも直前まで収録していたファイルを復旧できるリカバリー機能が搭載されています。こうしたCINEDECK EXTREMEの特徴の多くは、空撮やステディカムなど多くの現場のカメラマンや撮影クルーの意見を取り入れて開発しており、様々な撮影シーンでお使いいただけるものと思います。
-撮影に特化したレコーダーということでしょうか?
レコーダーなので、撮影に便利な機能や形状などを備えていますが、CINEDECK EXTREMEで記録可能なフォーマットが非圧縮だけでなく編集に便利なフォーマットでも記録できるようになっています。たとえば、Apple ProResでは4444のほか422HQ、422、422LT、422Proxyとなっており、FinalCutProでそのまま編集できます。またAVIDのDNxHD220x、220、145、36やCineFormのFilm Sc1a、nFilm Sca2n、Keying、Medium、Lowでの記録も可能です。
記録メディアは一般の2.5インチSSDでホットスワップが可能ですが、非圧縮記録のように転送レートが高いものはRAIDタイプのSSDが必要になります。この場合はホットスワップには対応していません。CINEDECK EXTREMEで記録したものはこうした編集システムで変換の必要もなく、そのまま扱えるので非常に効率がよく、しかも画質の劣化もありません。RS-422によるコントロールも可能なので、CINEDECK EXTREMEをデッキとして扱うこともできます。また、Wi-FiやLAN、Bluetoothでのインタフェースも可能なので、PCなどからも簡単にコントロールすることができます。
CINEDECK EXTREMEは現場のクルーたちが理想とする性能と機能をもったレコーダーということがいえるだろう。3Dや2k、ARRI RAWへの対応のほか、さらなる対応フォーマットも計画中だという。なお、テクノロジー・ジョイントのブースではASSIMILATEのDIソフトウェアSCRACHでリアルタイム編集を行うデモンストレーションも行われており、10bit非圧縮や2kなどのワークフローも紹介されていた。