txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部
プロドラマー熊谷徳明氏のVR-4HD活用方法とは
TRIXのドラマーであり。作曲家、編曲家、プロデューサーとしての顔も持つ熊谷徳明氏。1992年から1996年までは、CASIOPEAのメンバーとしても活動し、その後も多くのミュージシャンのツアーやレコーディングなどで活躍をされている。
そんな熊谷氏が主宰するドラムスクールでは、ドラムセットに4台のカメラを設置し、Roland VR-4HDのクアッド機能を使って、手元や足元のプレイを同時に確認することができるシステムが構築されており、ドラムプレイの映像記録から遠隔地とのSkypeを使ったドラムレッスンまで、行っているという。
プロドラマーである熊谷氏が映像機器をどのように活用されているか、熊谷氏が運営しているドラムスクールにお邪魔してお話を伺った
ドラムセット周辺に4台のビデオカメラを設置
――動画を活用されようと思ったきっかけは?
ドラムの教則DVDや、ライブ演奏動画など撮影される側として動画自体は身近なものだったので、動画の重要性は以前から感じていました。ただ、ドラムレッスンのために動画を活用しようと考えると、生徒さんとリアルタイムにやりとりできることが必要だなと思っていました。
――リアルタイムのやりとりは、どういった面から必要なのですか?
教則ビデオやビデオを配信する形でも、一定の効果はあると思うのですが音楽教育として、生徒に伝えていくには、それぞれの人に合わせた教え方が必要になるので、Skypeを活用しています。
――複数のカメラが同時に見えるようにされていますね。
そうです。ドラムの教則DVDなどでも足元を写したり、ワイプで表示したりなど編集で工夫しているものはありますが、生徒さんとやり取りをしながら見本演奏をしたり、一緒に合わせて演奏をしてみたりという時にどうやったら、わかりやすく伝わるのかを考えて、いまの4分割で表示するスタイルになりました。
四分割画面をMacBookに入力してSkype越しにレッスンをおこなう
――スタジオで対面してのレッスンの場合には、どのように使われているのでしょうか?
オンラインレッスンの場合は、4カメをセッティングしてあるドラムセットを私が使うのですが、スタジオレッスンでは、生徒さんに使用してもらっています。もう1セットのほうにも、2つのカメラを設置しており、バスドラムのキックペダルと頭上からのアングルを撮影しています。VR-4HDには、HDMIのセレクターを使って入力できるようにしています。
スタジオでレッスンする際には、PC側のソフトで、録画して生徒さんが自分のドラムプレイムービーをデータで持ち帰って確認できるようにしています。
ドラム用マイク3本と会話用ヘッドセットマイクを入力
――機材選択のポイントは?
自分の中に、動画を活用してやりたいことのイメージはあったので、それが可能な機材を探していたときに、知り合いから教えてもらったのがVR-4HDでした。それまでも、色々な機材を見たりしていたのですが、4分割表示ができて、音も扱えて、PCにもケーブル一本で繋げるとなると、僕の使い方にドンピシャでした。しかも、電子ドラムなど、楽器を通じて身近なRolandの製品だったので、思い切って投資しました。
――実際にレッスンで活用されてみての手応えなどは、いかがですか?
スクールを通じての手応えは、とても高評価をいただいております。スタジオに遊びに来たミュージシャン仲間は4分割で表示されていることや、演奏しながらカメラを切り替えたり出来ることに驚いていて、「どうなってるの?」「面白い!」など、うれしい反応が多いです。
楽器のレッスンという意味では、ドラムの場合、手足を同時に使うので、4台のカメラを使うことで、初めて、いままで伝えづらかったことが、視覚的に理解してもらいやすくなったと感じています。楽器のレッスンを通じて伝えることは、いままで眠っていたセンサーを使えるようにしてあげるためのきっかけづくりと言えるので、そのために映像は大変効果的ですし、色々なアングルから見せることで、これまで以上に伝わっている実感がありますね。
2つのドラムセットに合計6台のカメラが設置されている熊谷氏のスタジオ
今後、同期の調整や複数台の機器の接続などがより簡単に出来るようになって、こういったシステムが身近になっていけば、楽器を楽しむためのきっかけが増えるのでは無いかと思っています。