DPSJは、映像技術の展示会「PRONEWS SUMMIT 2025」において、Magewell社製品を主軸とした展示を行い、来場者の注目を集めた。中でも、映像制作の現場が抱える課題に対応するソリューションとして、ラックマウント型のモジュール式コンバーターシステム「Modator 2U」がひときわ目を引く存在であった。

このシステムは、安定した常時運用を求めるプロフェッショナルの要求に応えるべく開発されたものである。AVキャプチャーやIPコンバーターといった個別のコンバーターを多数使用する際に課題となりがちな電源確保やケーブル配線の複雑化に対し、本システムはホットスワップ対応のデュアル電源と効率的な冷却機構を備えたシャーシに、最大10枚のモジュールを収納することで対応する。これにより、24時間365日の連続稼働を前提とした高い安定性を実現している


当初、モジュールはNDIへの対応が中心であったが、近年ではSRTプロトコルに対応したエンコーダーやデコーダーなど、多様なIP伝送方式に対応する製品が次々と追加されている。これにより、放送局などで需要が高まるSRT送受信システムを、このシャーシ内で柔軟に構築することが可能となった。日本市場におけるNDIの普及は海外に比べて緩やかであったが、SRT対応モジュールの登場が、本システムの普及を力強く後押しすることになると考えられる。
また、同ブースではQuickLink社の「StudioEdge」も展示された。これは、Microsoftが提供していた「Skype TX」のサービス終了に伴う代替ソリューションとして注目されるもので、ZoomやTeamsといったWeb会議システムの映像・音声を、放送品質のSDI信号として取り込めるユニットである。最大4系統の映像を個別に管理し、話者のクリーンな映像をスイッチャーなどに出力できるため、オンラインでのインタビューや対談をテレビ番組で活用する際に有効なツールとなる。


付言すれば、SalrayWorksのNDIエンコーダー内蔵リモートカメラ雲台「N BOT」の展示に、中国Teris社の三脚が使用されていた点も興味深い。これはDPSJの取扱製品ではないが、一部のプロフェッショナルから支持されるブランドである。

今回のDPSJの展示は、単なる製品紹介にとどまらず、IP化が加速する映像制作の未来像を具体的に示すものであった。多様なプロトコルへの対応とシステムの安定性を両立するソリューションは、クリエイターの表現の幅をさらに押し広げてくれそうだ。