輸入商社であり、かつシステムインテグレーターでもあるアークベンチャーズは、展示会「PRONEWS SUMMIT 2025」において、最新のバーチャルプロダクション技術「GhostFrame」のデモンストレーションを実施した。この技術は、Megapixel社のLEDプロセッサー「HELIOS」を中核とするものである。

GhostFrameとは、Megapixel社のHELIOS LED処理プラットフォーム向けに開発されたツールセットである。その機能の中でも特に中核を成すのが「GhostFrame MultiSource」である。この機能を用いることで、単一のLEDウォールを背景にしながら、最大4台のカメラでそれぞれ全く異なる背景映像をリアルタイムで同時に撮影することが可能となる。

この仕組みは、人間の脳が画像を認識するよりも高速なLEDのリフレッシュレートを利用することで成り立っている。肉眼では1種類の映像しか知覚できない一方で、同期したカメラはそれぞれに割り当てられた異なる映像を捉えることが可能である。その背景には、LEDプロセッサーが1フレームの映像を人間の目には見えない速度で複数の「サブフレーム」に分割し、高速で描画する技術がある。

例えば、カメラA用の背景とカメラB用の背景を交互に超高速で表示し、各カメラはゲンロック(同期信号)によって特定のタイミングの映像フレームのみを記録する。これにより、同じ場所に立つ演者を、一方のカメラではCGのスタジアムを背景に、もう一方のカメラではグリーンスクリーンを背景に、といった形で同時に撮影することが可能となる。

競合するLEDプロセッサーの中には、より繊細な色表現を得意とする製品も存在するが、マルチカメラでの同時撮影という領域においては、このGhostFrameが優れた性能を発揮する。今回の展示では、ROE Visual社の2.8mmピッチLEDパネル「BP2v2」と、メディアサーバーとしてDisguise社製品を組み合わせたシステムが紹介された。

GhostFrameに代表される技術は、1度の撮影で複数のコンテンツ制作を実現する。これにより、隠しクロマキー、最大4つの異なるアングルからの映像、背景、照明効果などを同時に収録することが可能である。複数の背景をリアルタイムに合成するこの革新的な手法は、コンテンツ制作の効率を著しく向上させるだけでなく、これまでにない創造的な映像表現を創出する可能性を秘めている。