GoProといえばアクションカメラの代名詞であるが、NAB 2026のブースに並んだ「GoPro Mission 1」シリーズは、これまでの同社のイメージを大きく塗り替える存在であった。GoPro自らが「コンパクトシネマカメラ」と位置付ける通り、その仕様は本格的な映像制作領域を見据えたものとなっている。従来のHeroシリーズの延長線上という印象で臨んだが、その進化の幅は想像以上であった。

展示はガラスケース越しで、実機に触れることはできなかったが、Heroシリーズとは明確に異なる「Mission」という新たな系譜が提示されていた。ラインナップは「MISSION 1」「MISSION 1 PRO」「MISSION 1 PRO ILS」の3モデル構成で、制作スタイルに応じた選択肢が用意されている。

上位モデルの「MISSION 1 PRO」は、50MPの1インチセンサーを搭載し、8K60や4K240といった高フレームレート撮影に対応する。さらに8K30や4K120のオープンゲート撮影にも対応し、編集時のリフレーミングの自由度を高めている。特に注目されるのが、1080pで960fpsのスローモーション撮影に対応する点である。このサイズにおいてこれほどのハイスピード撮影機能を備える点は、極めて意欲的な仕様といえる。

そして今回の展示で最も注目を集めていたのが、レンズ交換式モデルの「ILS」である。マイクロフォーサーズ(MFT)マウントを備えた構成が示されており、用途に応じたレンズ選択が可能になる方向性が打ち出されていた。コンパクトな筐体に金属製マウントが組み込まれている外観は、従来のGoProとは一線を画す印象を与える。

展示機の中には、周辺アクセサリーを組み合わせたシネマカメラライクなフルリグ構成も確認できた。その存在感は非常に強く、同社がシネマ領域への展開を強く意識していることがうかがえる。この進化は、もはや従来のアクションカメラの枠に収まるものではなく、プロ用途への展開を視野に入れたものといえる。

一方で、マウント部にも電気接点が確認できなかったことから、電子制御レンズの動作については不透明な部分が残る。この点については、今後の詳細発表や実機検証が待たれるところである。

しかしながら、マウントアダプターの使用によりPLマウントやEFマウントレンズへの対応が想定されるなど、拡張性の高さも見逃せない。リグ運用を前提とした設計思想は、「撮影機材」としての完成度を強く意識したアプローチといえる。

音声面も強化されており、4マイク構成による収録に加え、32-bit float録音やBluetooth 5.3によるオーディオ接続にも対応する。これにより、外部レコーダーに依存せずとも高品質な音声収録が可能な環境が整えられている。

本体はハウジングなしで20mの防水性能を備え、背面ディスプレイの大型化や操作系の再設計など、現場での操作性向上も図られている。フルリグ構成においても本体自体はコンパクトであり、撮影現場の機動力向上に寄与する設計となっている。

価格は「MISSION 1」が税込105,400円、「MISSION 1 PRO」が税込122,600円で、いずれも2026年5月28日発売予定とされている。レンズ交換式モデルの「MISSION 1 PRO ILS」は税込122,600円で、2026年秋頃の登場が見込まれている。これらの仕様と価格設定は、映像制作機器市場において一定のインパクトを持つ可能性がある。