最新のREDワークフローを考える
「4K」「RAW」「低価格」という3つのキーワードを引っさげて、RED Digital Cinemaが2007年後半に投入した4KデジタルシネマカメラRED ONE。QuickTimeと密接な連携を行ったREDCODE RAWではあったが、当初はリファレンスファイルを使用してAppleのFinal Cut Proで2Kオフライン編集をすることをベースにしていた。最終的に4K解像度の映像にするためには、RED Digital Cinema製REDCINEなどを用いてDPX連番ファイルに書き出し、Final Cut Proのオフラインデータを参考に、ハイエンドのノンリニア編集/フィニッシングシステムを使用して仕上げるという方法しかなかった。
しかし、2008年のNAB Showでは、カメラサポート機器を扱う各社のブースでRED ONEが置かれ、登場から1年も経たずにデジタルシネマ収録の有力な選択肢として定着してしまった。こうなると、編集環境も動かざるを得ない。2008年秋のIBCで、まずQuantelがeQ/iQ/Publoの各システムでREDCODE RAWのR3Dファイルを扱えるようにしたのを皮切りに、各社がR3Dファイル対応へと舵を切った。
2009 NAB Showから2カ月。トムソン・カノープスを除いたノンリニア編集システムベンダー各社は、R3Dファイルへの対応を済ませてきた。これでようやく、ノンリニア編集システムに依存せずにR3Dデータを扱える段階に入ってきたことになる。今後はいかに作品性を上げるか、よりハイクオリティな映像制作を行っていくかという部分に焦点が移っていくだろう。
しかし、ここで新たな壁が立ちはだかることになる。デジタルシネマ収録に、センサーで捉えた生データを扱うという新たな概念を持ち込んできたRED ONE。生データから作品に必要な映像を作り出すという現像処理が必要になる。デジタルスチルカメラを扱ったことのある人であれば、RAWファイルの現像処理にApple ApertureやAdobe Photoshop Lightroom、市川ラボラトリーSILKYPIX Developer Studioなどを使用して、感度やホワイトバランス、トーンカーブなどを調整して仕上げているかもしれない。R3Dファイルは、まさにこれと同様の作業を行わないと、本来の映像にはならないのだ。
収録からインジェスト、オフライン編集、データコンフォーム、オンライン編集、フィニッシングというファイルベースのビデオ編集作業で、R3Dファイルの内容をどう確認し、どう現像し、どうフィニッシングに結びつけていくのか。必要となる情報はまだまだ少ない。そこで、今回は最新のREDワークフローに考えてみたい。