押さえておくべき基礎知識

■フランジバック調節 fb.jpg

フランジバック調節はF.Bという表示が付いているリングを回して行う

ビデオ用のレンズは、一眼レフカメラの交換レンズのように特定のカメラメーカー用のレンズではなく、現在では一部を除き、汎用性のあるマウントになっている。購入時に装着されている、または標準付属されているレンズを除き、フランジバックの調節が必要になる。この調節を行っておかないと、ズームしたときにピントがずれてしまったり、無限遠でピントが合わないといったことになる。

調節の方法は、レンズのアイリス調節をマニュアルにして絞りを開放にする。ズームを最望遠にしてピントを調節。ズームを最広角にしてレンズのマウント部分にあるフランジバック(F.Bという表示が通常付いているリングで、これを回すにはロックをはずす)のリングを回してピントが合うように調節する。ズーム全域でピントが合うように一連の操作を繰り返し追い込んでいく。詳細はカメラや交換レンズの説明書にもあるので参照されたい。

また、ピント合わせ用の専用チャート(ジーメンスチャート)が付属している場合はこれを使うと便利だ。ピントを合わせる被写体(この場合チャート)はなるべく遠くに(レンズによりけりだが、5~10mくらいの距離はほしい)おいておく。ピントの確認は、ビューファインダーではなく、できればフルハイビジョンのモニターで行うようにしたい。フランジバック調節は結構面倒な作業だが、これをちゃんとしておかないと、望遠側でピント合わせを行うようなことはできないし、ズーミングでピントがズレてしまう。なお、カメラが変われば、同じ型番のカメラでもフランジバックの調節は必要となる。レンタルでレンズを借りる場合など、装着するカメラを持ち込んで調節してもらえることもあるが、通常有料である。

■アイリスのF F.jpg

▴レンズの絞りは√2倍のステップになっている

レンズの明るさを表す単位としてビデオではFという単位が使われているが、実際の明るさを表していない。ビデオ用のズームレンズのように何十枚もレンズを使っていると光量が多少落ちる。 特に高倍率のズームレンズでは、1絞り以上暗くなるのが一般的だ。映画などで使われるレンズでは、絞りの単位はFではなく実際の明るさを表すTという単位が使われている。これは、映画用のフィルムカメラにはオートアイリスや露出計が装備されておらず、単体の露出計で明るさを測って運用するため、実際の明るさが重要になってくるからだ。

Fは、レンズの焦点距離をそのレンズの前玉の直径(有効口径)で割った数値なので、望遠側では、Fドロップといって開放F値が暗くなるのが普通だ。 計算上では、広角から望遠にいくに従いリニアに開放F値が暗くなるはずだが、実際は広角から望遠側近郊まで一定でそこから最望遠に行くに従い暗くなっていくようになっている。

Fドロップがどこから始まるかはレンズによって異なり、スペックにも明記されている。スペック表では、最大口径比1:1.8 ( 7.6 ~102mm )、1:2.3 ( 130 mm )といった表記が一般的だが、7.6 ~102mmの範囲がF1.8で102mmから徐々に暗くなり130mmでF2.3になるということである。130mmでいきなりF2.3になるということではない。

Fドロップは、一般的なビデオ撮影で問題になることはないと思うが、高倍率のズームレンズをマニュアルアイリスで使うような場合は注意したほうがよいだろう。なお、カメラにFドロップを自動的に補正する機能を搭載したものもある。 ちなみに、レンズにはF1.4、 2、 2.8、 4、 5.6、 8、 11、 16、 22、 32といった数値になっており、1絞りは√2倍のステップになっている。

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