最終日誰もいなくなったレジスト会場
The next big thingを考える
一世を風靡したRED旋風はどこまで続くのだろうか
3Dの撮影環境はリグによるものから肩載せ式やハンドヘルドカメラが登場し、撮影領域は広がった。まだ、リグの調節の簡素化や温度変化によるドリフト、肩載せ式やハンドヘルドカメラにおけるレンズ交換といった課題があるものの製品的にはほぼ出揃った感がある。編集環境もメジャーな編集ソフトは3D対応を果たしており、今後プラグインなど3D編集環境の充実が図られるであろう。他にもモニターや測定器なども3Dに特化したものやより使い勝手の良い物などが登場することが予想される。3D制作環境の充実はより幅広く便利に今後も発展していくだろう。
DSLRで動画撮影を可能にしたキヤノンEOS
一方、REDやDSLRが火を付けた2k4kや大判イメージセンサーを採用したカメラは大手の参入により今年から本格的なスタートの年と言えそうだ。3Dの次にくるトレンドはこうしたカメラや周辺機器なのだろうか。ある面それは正解だがそう単純に割り切れるものではないだろう。
すでにアメリカの3大放送局はその色彩を失い、ハリウッドを頂点とした映画業界も然りである。一方TwitterやUstream、Youtubeといった新しいメディアの台頭が著しく、視聴者が動画を目にする形態は日々刻々と多様化している。それは、コンテンツのタイトルというよりも視聴者がいつどのような内容をどういう形態で視聴したいのか自由に選択する時代ともいえる。
ライブ放送や収録に必要な機能をコンパクトに凝縮したローランドVR-5。今回のPRONEWS Loungeでも活躍した
モノクロ無声映画からトーキー、カラーへといった一面的な流れの時代は終わり、もっと立体的な広がりを見せる実態を映像業界はどのように受け止め進化させていくのか。その課題を突きつけられている様は今回のNABで見て取れる。
時代の潮流と技術進化との歩調はどうだろうか?
マスから個の時代とはどこの業界でも言われてきたことだが、映像業界の実態を見ると必ずしもそうはいえない。映画は多くの視聴者が映画館という空間で感動を共有し学校や職場などで話題にすることで追体験をする。テレビでも基本的には同じ図式だ。ネットを中心にした映像配信も本質的には変わらない。ただ、最大公約数でくくってしまうとどうしても共感の度合いが薄れてしまう。より強いつながりや共感を求めているのである。
ソニーは今までとは異なったアプローチで大判イメージセンサーのビデオカメラを発売。
音楽や文学もちろん映像もそうだが、いわゆるクリエータといわれる人たちはそれぞれ得意とした表現手段をもっている。彼らはより多くの人たちへ感動や共感を届けたいと願っているが、映像だけはコストやテクニック、インフラという面で敷居が高かったわけだ。今回のNABでは、こうしたクリエータが使いこなせそうな映像機器が広がりを見せ始めている。こうした意味では情報発信はマスから個人ともいえるのだが、ある分野に特化したメーカー以外はマスから混沌とした個人(パーソナル)にどうアプローチしていいのか迷っているようにも思える。
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