txt:安藤幸央 構成:編集部

展示会開始前のCES Unveiled

Unveiledおなじみの氷のモニュメント。今年はなんとモニュメントの上から注ぎCESカクテルが振る舞われていた

世界最大の国際家電見本市、International CES(Consumer Electronics Show) 2013 が 1月8日から11日の4日間、米国ラスベガスで開催される。それに先駆けてプレス(取材記者)向けに開催された、CES Unveiledの様子をお伝えする。[Unveiledは、秘密を明かす、正体を表すといった意味]

メイン会場のラスベガスコンベンションセンターでは各出展者の設営準備も佳境に入っているが、一足早く開催されるのが CES Unveiled だ。今年は各種プレスイベントが、メイン会場から離れたMandalay Bay Conference Centerになっており、ラスベガスのカジノの華やかな輝きを横目で見ながら、会場に向かう人たちの群れが見受けられた。これから始まるCES 2013をダイジェストで見る事のできるCES Unveiled。会場はプレス(取材記者)に限定されているにもかかわらず、身動きができないほどの人の入りで盛り上がった。有名オンラインメディアから大手テレビ局の取材など、参加者全てがひたすら取材を繰り広げる熱気のある空間であった。会場では英語のみならず、フランス語、ドイツ語、韓国語での商品紹介の声も聞かれ、出展者も各国にわたっている様子が垣間みれた。

CESの開催地となっているLas Vegasはカジノで知られる観光地。周りを見渡すと巨大なLEDデジタルサイネージが目につき、完全にネオンサインから置き換わっている様相。さらに小さなショップから、高級ホテルまで、FacebookやTwitter、foursquareを活用するのが当たり前のようになっており、それらが社会インフラとして浸透していることが実感される。

CES Trends to Watch

まずはプレス向け、最初のセッション CES Trends to Watchが開催された。CEA (Consumer Electronics Association) のチーフエコノミストであるShawn DuBravac 氏から、CESの歴史を振り返りつつ、今年の傾向が紹介された。今年のCES 2013は、185万平方フィート(約17万平方メートル)、3300社以上の展示とのこと。日本の幕張メッセで開催されるCEATECが約600社ほどなので、単純計算でも5倍以上の規模だ。

DuBravac氏の発表の中で、何度が繰り替えしていた聞き慣れない言葉があった。それは「Digital Omnivores(デジタル雑食)」という言葉。これはパソコンや、スマートフォン、タブレットなど、場所や状況によって様々なデバイスを使い分ける人(つまり雑食)が増えてきていることを示している。

また、今まではスマートフォン、スマートTVなどの「スマート」は単にネットにつながっているという意味だったものが、本来の意味で、利用者の状況や、利用者の場所などを知った上で、デバイスそのものが洗練された(スマートに)動作をすることを意味するようになった。

発表資料:2013 CES Trends to Watch (Shawn DuBravac)

CES Unveiled

今年のCES Unveiledには、67社の展示があった。今年の傾向としては、デジタルヘルス関連、ジュースと呼ばれるバッテリー関連製品、スピーカー、ヘッドフォンなどのiPhone、Android周辺機器、タッチパネル、タブレット系の新製品、その他、便利なデジタルガジェット系の展示で会場が占められていた。

Dexim ClickStik : iPhone/iPad向けリモートシャッター
http://dexim.net/content.php?isadmin=1&id=106 ces2013_unv_CIMG9964.JPG

ClickStikカメラスタンドとリモコン

ClickStikは小型のカメラスタンドと、Bluetooth経由のカメラリモコンのセット。カメラ撮影にはClickStik専用のカメラアプリを用いる。撮影用のiPhoneからは、約30フィート(約9メートル)くらい離れても利用できる。iPadの場合は、カメラスタンドは利用できないが、リモコンそのものは利用できる。

MASIMO iSpO2 : iPhone向け心拍計
http://ispo2.com/ ces2013_unv_CIMG9972.JPG

指にはめて使う iSpO2

iSpO2は、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を知るための医療器具。脈拍と、体内に酸素が取り込まれているかどうかを計測することができる機器だ。Amazon等で249ドルで販売されている。現在はまだiPhone5未対応。

UrbanHello : 室内電話用スピーカーフォン
http://www.urbanhello.com/
UrbanHello を立てた様子。電話ダイアルは底にある

UrbanHello は 360度どの方向でも通話できる室内用スピーカーフォンだ。現在クラウドファウンディングの Kickstarter で開発資金を募集しているところだそう。機器の底にある OLED ディスプレイと、ダイヤルボタン、全体としてミニマルなデザインが印象的だ。85ドルでプリオーダー中。

BrushBuddies : 音楽歯ブラシ
http://www.brushbuddies.com/
各種楽曲用の歯ブラシ。1本1曲

BrushBuddies は歯磨きしながら音楽を楽しめるグッズ。自分が歌っている気分になれるそう。ボタンを押すと流行のPSYやレディガガ、ジャスティンビーバーらの楽曲版の歯磨き。レディガガ版は、日本でも販売しているとのこと。

vuzix : Smart Glasses M100 : ヘッドマウントディスプレイカメラ
http://www.vuzix.com/consumer/products_m100.html
右目側に vuzix M100 装着の様子

昨年、ヘッドマウントディスプレイカメラとしてGoogle Glassが話題になったが、ヘッドマウントディスプレイの老舗vuzixからも同じような製品が発表された。Android OS (4.01) を搭載し、WQVGA (16:9) のヘッドマウントディスプレイを搭載する、画面の無いスマートフォンのようなデバイスがM100だ。14フィート(約4メートル)先に、4フィート(約1メートル)サイズの画面が見られるそう。待ち受けで約8時間、常時利用で約2時間利用できる。前面に搭載されているカメラは16:9/1080pのフルHD解像度のカメラ。ちなみに単体では利用できず、ホスト機となるAndroidスマートフォンまたはiPhoneが必要となる。アプリ開発用のSDKも用意されており詳細はhttp://developer.vuzix.comにアクセスとのこと。開発者向けのM100 Silverが999ドルで販売予定されている(日本代理店もあり)。

invoxia AudiOffice : iPhone/iPad 用オフィス電話機
http://www.invoxia.com/en/products/audioffice
AudiOfficeをiPhoneで利用している様子のデモ機

AudiOfficeは、iPhone、iPadのテレビ電話 (FaceTime) をより便利に安定して使えるようにした機器。iPhone 5にも対応。Amazon等で299ドルで販売中。

Withings : ネット対応体重計と、生体情報トラッカー
http://www.withings.jp/en/activitytracker/keepmeinformed
Smart Activity Trackerと連携しているiPhone

WiFi対応で、日々の体重をTwitterに自動でつぶやいてくれることでも知られているWithingsが、小型の生体情報トラッカーSmart Activity Trackerを発表。歩数計、心拍数、睡眠の様子が記録され、スマートフォンアプリと Bluetooth経由で連携する。搭載バッテリーで約2週間の連続利用が可能。OLEDタッチスクリーンディスプレイで、AndroidやiPhoneアプリが用意される予定。2013年前半の終わり頃(6月頃)に販売予定とのこと。

3DP : 3Dプリンターで自作 iPhone ケース
http://3dpcase.sculpteo.com/en/
iPhone ケース試作例

3DPは3Dプリンタを活用して、1個からの少量で自分用にカスタマイズしたiPhoneケースを制作してくれるサービスだ。市販のケースには無いような、大胆な形状や、色合いを選択することもできる。iPhone 5、4、4S、3Gに対応。自身の名前やメッセージなどを刻印することもできる。

nectar : 燃料電池
http://www.nectarpower.com/
nectar にて充電中の様子。nectar の燃料ポッド

nectarは、スマートフォンを始めとするUSB機器を充電することのできる燃料電池機器。1本の燃料電池カートリッジで55000mWhの充電が可能とのこと(スマートフォン 10回〜15回分くらい)。機器上部のnectarロゴ入りの丸い部分が燃料電池カートリッジ(ポッドと呼ばれる)。機器全体は299ドル。燃料ポッド一個あたり35グラム、9.99ドルで、AC充電せずともポッドの交換によって次々に利用することが可能。ただしポッドは使い捨てで、ポッドそのものに再充電は出来ない。ポッドは、少し太めの単三乾電池といった感じ。詳細は不明だが、航空機に持ち込める許可がとれているらしく、忙しいビジネスマンには必須のデバイスになるかもしれない。

Power2U : USB給電可能な壁コンセント
http://www.newertech.com/products/power2u.php
通常のコンセントに加えて、2口のUSB充電用コンセント

Power2Uは、壁コンセント一体型の USB給電コンセント。スマートフォンやデジタルカメラなど、USB端子で充電する機器が増えており、便利に使える機器。USB端子口にカバーが着いているのも安心な点だ。(日本では、実際のコンセントの交換には、電気屋さん他、電気工事士の資格が必要)

その他にも数多くの出展がされており、屋内外に設置して気温、湿度などを計るデバイス Netatmo、 iPhone の背面、側面をタッチデバイスに変えてしまうケースCanopy Sensus、iPhone5の新しいLightningコネクタに対応したスピーカー機器iHome、SpareOneの非常用使い捨て携帯電話など、数々の興味深い展示にあふれたCES Unveiledであった。いよいよ明日から展示会が始まる。引き続き、CES 2013からのニュースをお届けする。


Vol.00 [CES2013] Vol.02

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