txt:江口靖二 構成:編集部

4KのUltraHDに埋め尽くされている会場。各社の動きは?

CES2013が今年も1月8日にラスベガスで開幕した。事前の予測通り、会場内は4Kディスプレイで埋め尽くされていると言っても過言ではない。

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4Kディスプレイは各社が競って新製品を発表した。まず、ソニーは56インチ4KのOLEDTVである。ソニーは2007年にすでに11インチのOLEDフルHDTVを発売していたが、その後のラインナップが途絶えたままになっていた。その後2011年にはマスターモニターとして25インチと17インチフルHDのOLED機を発売していた。また2012年のCESではCrystalLEDという、55インチのサイズに600万個のLEDを並べたフルHDTVを発表したが、これもその後我々の前に登場することはなかった。

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キーノートで56インチOLEDテレビを発表するパナソニックの津賀社長

今回のCESでは、56インチ4Kという大画面、高解像度で新たに登場したわけだ。担当者によると、OLEDTVが2007年以降に新製品が出て来なかった理由は、LCDの進化とテレビの価格低下、製造の歩留まりなどの理由のようだ。またCrystalLEDについても開発は継続しており、画面サイズに応じて製品化の機会を伺うとのことだ。

56インチ4KのOLEDTVの画質は素晴らしいの一言に尽きる。圧倒的なコントラスト比と4K解像度が、もはやディスプレイの存在を感じさせない程だ。最近ソニーが画質評価用に使用しているリオのカーニバルの映像は、前述のOLEDマスターモニターで表示させた場合と比較しても遜色ないレベルに仕上がっている。あくまでも参考出品であるが、今回の反応と市場動向を見極めながら年内の製品化を目指しているようだ。台湾のAUO社との共同開発である。

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パナソニックの56インチOLEDテレビ

パナソニックも初日のキーノートで津賀社長自ら、56インチ4KのOLEDTVを壇上から発表した。現時点で北米に1台しかないという実機の完成度はソニーに決して引けを取るものではない。同社のOLEDはRGBすべての素材を印刷によって塗布させたもの。

SHARP
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SHARPは日本ではすでに発表済みで2月に発売予定の「ICC PURIOS」を展示。同一ソースによるICC 4KとフルHD表示の比較を行なっている。

東芝
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東芝の4K液晶テレビ群

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フルHDと新しいCEVOエンジンとの比較

東芝も新たに強化されたCEVOエンジンによる超解像で既存のフルHDソースからのアップコンバージョンで画質の向上をアピール。さらにLG、サムスン、さらにHisenseもそれぞれに4KのLCDTVを展示している。

LG
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LGの85インチ4K液晶テレビ

SAMSUNG
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サムスンの110型インチ4K液晶テレビ

Hisense
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Hisenseの84インチ4K液晶テレビ

このように各ディスプレイメーカーはこぞって4K時代のリアルティをアピールしていた。なお各社の4Kに対する呼称について、昨年までは4Kと言っていたのに対して今年はUHD(Ultra HD)と呼ぶ例が増えた。おそれくこれは、”4K”は技術用語であり、コンシューマー市場を睨んだ場合に業界全体としてUHDまたはフルHDに対してウルトラHDの方が差別化しやすいからであると思われる。本稿でもここからはウルトラHDと表記することにしよう。

ウルトラHDのコンテンツ供給は?

このように家庭内のテレビがウルトラHD化した場合に、ではソースどうするのか?という問題になる。このための現時点での解答はやはりフルHDからの超解像によるアップコンバージョンだ。既存の地デジやブルーレイと比較してその差を認識できなければ消費者は当然動かないが、その差は大画面になればなるほど歴然としている。

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ソニーの4Kメディアプレイヤー(モックアップ)

更に今回注目したいのは、ソニーの取り組みだ。ソニーも当然超解像エンジンを搭載しているが、やはりなんとかピュア4Kソースを家庭に送り届けるために、この夏から北米で自ら映画コンテンツのウルトラHDでの配信をはじめる。そのために新たにメディアプレイヤーを開発中で、会場内にモックアップで展示されている。さすがにUHDで映画一本分は巨大なファイルになるので、インターネットからダウンロードしてプレイヤー側に保存する。配信インフラの関係でまずは北米からということだ。

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ソウルの地上波UHD実験放送のシステム

また韓国ソウルではLGとKBSがすでに地上波テレビによるUHD放送の実験電波を24時間出し続けている。解像度は3840×2160、フレームレートは60P。エンコーダーはHEVC 35Mbpsで、これをDVB-T2、送信出力100Wで、UHF66チャンネルで送信中である。

こうした取り組みがテレビのワークフローやエコシステムのあらゆる階層で着実に動き始めていることを会場では感じることが出来る。


Vol.03 [CES2013] Vol.05

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