明らかに4Kはリアリティだ!

今年のInterBEEをひと言で言えば、「4K営業開始!」だったと思う。これまでの4Kの紹介とか、ここまでできますとか、課題はこうですとかいったフェーズを終えて(その段階が本当に終わったかどうかはともかく)、各社一斉に営業開始宣言だった。

それを端的に表しているのが、幕張メッセ周辺のホテルが軒並み満室であったことだ。これは各出展者が主に地方のお客様向けに「お部屋はご用意していますからぜひお越しください」という営業体制であったようなのだ。しかし、デジタルバブル時期のようにアゴアシ全部ではないところがイマ風なのと、実際に部屋が押さえられている割に、実稼働はそれほどでもないとホテル関係者が言っていた。さらに、主催者発表の来場者数はほぼ例年並みの31,979人だが、出展者数は39社増、コマ数は68コマ増。要するにやや売る側の勇み足といったところであろう。

とは言いながらも、明らかに4Kはリアリティだ。個々の課題を挙げればいくらでも文句は言えるが、同じことはデジタル化の時にもあった現象だ。いまさらアナログSDに戻れないのと同じように、我々は4Kに行かねばならない。4Kの壁を越えていかねばならない。それは経済社会構造上当然の話しであって、そこまで遡って議論しない限り必然である(個人的には決して成長戦略信奉者ではない)。伝送技術が足りないなら作ればいいし、フォーカスが大変なら機械にやらせればいい。送る場所がないなら作ればいいのである。

そうなのだ、どうやって家の4Kテレビに映像を送り届けるのか。ここの課題が今回のInterBEEでは最も強く浮き彫りになった。着々と準備が進む実験放送はいいが、その先どこで放送するのか。BSなのか、CSなのか、それともネットか。

私は4Kこそ地上波で放送するべきだと考えている。確かに衛星が最も手っ取り早いが、その参入事業者は結局民放系列とNHKということになるだろうから、地上波とBSとCSと4Kを別々のコンテンツで埋められるわけがない。またこの場合はローカル局問題が浮上する。

そこで私は、基幹放送はVHF帯とUHF帯を交互に利用するのが最も合理的であると考える。アナログからHDへはVからUへ。HDから4KへはUからVへ、伊勢神宮の式年遷宮と同じように、まさに20年間隔くらいで移動を繰り返せばいいのだ。4Kの次には8Kでも立体テレビでも交互にできる。放送というものは一定の継続性が必要で、ある日突然切り替えられないのであるから、式年遷宮方式が最も優れている。これによって伝承と発展が行われるのだ。先達の知恵に学ぶべきだ。それが電波資源の有効活用であり、既存のビジネスモデルを維持活用しながら、付加価値を付けられる唯一の方法であると考えるからだ。この辺りは機会があればじっくりご説明したい。

txt:江口靖二 構成:編集部


Vol.05 [BrushUP! InterBEE2013] Vol.07