オーディオ分野では、すでに導入が始まったラウドネスモニターや、デジタル化による繰り返し遅延などの問題を解決する製品や現状のワークフローにマッチしたマイクやスピーカーのほか、特定ラジオマイクのデジタル化や周波数の移行に対応した製品などを各社が発表している。

ラウドネスモニターは、導入から1年ほど経過しているものの、様々な現場に対応した製品や視覚的なわかり易さなどの工夫が見られる。すでに、アストロデザインやヤマキ電機、RTW、TC Electronic、DK-Technologies、コンドーブロードキャストなど様々なメーカーから製品が市場投入されている。

マイクロフォンは、用途に応じて様々な製品があるが、今回は小型ビデオカメラやデジタル一眼などの新たな撮影スタイルにマッチした製品をピックアップしてみたい。ショルダータイプのENGカメラが主流だったころは、MKH416がカメラマイクとして半ば定番となっていたが、カメラが小型化するにつれ、マイクも小型化が進んでくる。ハンディタイプの小型ビデオカメラが一般化した昨今では、カメラに標準付属のマイクを使うことが多くなっているが、マイクメーカーもこうしたカメラに適合するマイクを発売している。DPA Microphonesは、ショットガンマイク4017CとRycoteの各種アクセサリーを用意することで、MKH416ライクな運用性を実現している。また、ShureはVP83Fというレコーディング機能を搭載したマイクを、TASCAMはデジタル一眼レフ用X-Y方式ステレオマイクTM-2X、フォステクスはiPhoneやデジタル一眼レフカメラなどに対応したステレオマイクAR101を商品化している。いずれも特徴的なマイクとなっており、最近の様々な撮影スタイルに合ったものとなっている。

さて、長年に渡り業務用として使用されてきたA帯の特定ラジオマイクは、地上波のデジタル移行に伴い、いわゆるホワイトスペースの帯域を利用した新たな帯域に対応したものやデジタル化対応したものなどが、今回のInterBEEで各社出揃った。ソニーやパナソニック、オーディオテクニカのほか、Shureやbeyerdynamicといった海外製品などである。まだ先とはいえ2019年にはA帯の物は使えなくなるため、切実な問題である。ちなみにB帯は今のところ引き続き使用可能となっている。

PRONEWS AWARD 2013 オーディオ部門ノミネート製品

  • DPA Microphones コンパクトショットガンマイクロフォン 4017C
  • アストロデザイン ラウドネスモニター AM-3807
  • タムラ製作所 トランスミッターミキサー WFF-0711A
  • Beyerdynamic 業務用UHFデジタルワイヤレスシステム TG 1000シリーズ
  • TASCAM デジタル一眼レフ用X-Y方式ステレオマイク TM-2X
  • フォステクス 小型・軽量オーディオ・インターフェイス AR501
  • Shure レコーダー機能付きコンデンサーマイクロフォン VP83F

何が受賞するのか…?

PRONEWS AWARD 2013 オーディオ部門受賞製品発表

オーディオ部門
ゴールド賞
4017C

DPA Microphones

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DPA Microphonesのコンパクト・ショットガン・マイクロフォン 4017Cは、小型ビデオカメラに最適なマイクシステムだ。ウィンドスクリーンやウィンドジャマー、サスペンションなどのアクセサリーも揃っており、SENNHEISER社のMKH416をアクセサリーを含めてそのまま小型化した印象だ。カメラマイクとしてだけでなく、ブームを使った収録にも対応できる。性能や音質だけでなく、今までの制作スタイルも変えることなく運用可能で、取り回しが軽いので運搬や長時間にわたる収音にも適している。マイク本体は19mm×154mm、質量70gで、アクセサリーもそれに合わせて全てが小型になっているので、狭い室内での収音のほか、カメラの映り込みの軽減やマイクポジションの自由度が高く、今まで諦めなくてはならなかったような現場でも収音の可能性が高くなる。

オーディオ部門
シルバー賞
VP83F

Shure

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Shure VP83Fは、24bit/48kHz記録が可能なレコーダーを内蔵したガンマイクだ。超小型のショットガンマイクロフォンにRycote社のショックマウントシステムが組み込まれているほか、ヘッドホンモニター、ローカットフィルター、マイクゲイン、再生/一時停止/早送り/巻戻しが行える。デジタル一眼による動画収録や小型ビデオカメラ向けのオーディオレコーダーとして大きな注目を集めた製品だ。

総括

ブームマイクを使った収音は基本とはいえ、最近はワイヤレスで収音することも多くなってきている。その理由の一つとして、かさばるブームマイクを現場に持ち込み、なおかつクリティカルな操作を行わなくてはならないというハードルの高さがあったといえる。とは言え音質的にはシンのある収音が行えるブームマイクは音の要である。DPA Microphonesの4017Cは、そうした問題の解決となる最適なソリューションといえるだろう。

Shure VP83Fも小型化するカメラにマッチする仕様のマイクで、バッテリー駆動が可能なほかレコーダー機能も搭載しているので、様々なカメラに柔軟に対応できるという面でアドバンテージのある製品といえる。


Vol.03 [PRONEWS AWARD 2013] Vol.05