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Autodeskブースレポート

Autodeskは昨年と同様、新しくなった製品の紹介を行う大きなブースをメインにFlame、Maya、3ds Maxの新バージョンを個別に紹介する小ブースを設け製品のアピールを行っていた。

今年はFlame、Maya、3ds Maxの2016版を出展したほか、プロジェクト管理ツールSHOTGUNの新バージョンも発表した。Flameはパフォーマンスのアップや各種ツールの拡充のほかLightbox、Actionに追加されたMatchbox、カラーマネジメントの強化などが行われ、MayaはBifrostという液体シミュレーションアニメーションプレビューの高速化、3ds Maxは今回3ds Maxおよび3ds Max Designが一体となり、新たにMAXクリエーショングラフという機能を搭載。ノードベースでユーザーがツールを制作できるようになった。なお、SHOTGUNはFlameとの連携のほか、今回新たに買収したTweak SoftwareのRV Ver6と一緒に提供されるようになり、より一層使いやすくなった。

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プロジェクト管理ツールSHOTGUNとFlameとの連携デモンストレーションなどが行われたデモブース

Industry StrategyシニアマネージャーMarcus Schioler氏へインタビュー!

Autodesk Industry StrategyシニアマネージャーのMarcus Schioler氏に、今回のNABでのトピックや新製品情報についてお話をうかがった。

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お話をうかがったAutodesk Industry StrategyシニアマネージャーMarcus Schioler氏

――NABでの注目トピックはなんですか。

Schioler氏:Flame、Maya、3ds Max、SHOTGUNが主な新製品となりますが、その前に当社の今回のNABでのテーマがあります。それは、“アーティストコネクテッド”、すなわちアーティスト同士をつなげようということです。なぜこのようなテーマを選んだかというと現在多くの方々が映像制作を行っているのですが、これからも映像制作者の数は増え続けると思っています。こうしている今現在も映像制作者は増えていて、みんなが映像を作る時代がくると思います。

例えばハリウッドの状況を見ると映像制作のワークフローが複雑化していて一箇所に多くのクリエイターが集まって制作するのではなく、世界中にいるクリエイターたちが連携して制作しています。そうしたクリエイターたちはMAXやMayaなどのクリエイティブツールあるいはFlame、SHOTGUNなどのツールを使って素晴らしい作品を世に送り出しています。

――新製品についてはいかがでしょうか。

Schioler氏:まず最初に新しいFlameについてご紹介しましょう。沢山の特長があるのですが主なものに絞って説明しましょう。まず非常に使いやすくなったLightboxがあります。3Dの空間の中でライトを使うのですが、それを効果的にカラーコレクションできます。2Dと3Dの空間をコンポジットして色々連携させようとすると3Dの環境でライティングのカラーコレクションを行う場合非常に複雑な操作が必要になるのですが、それが非常にやりやすくなっています。他にもアプリケーションワークフローについても数々の改善を施しました。

Flameというのは数々のツールを備えたアプリケーションなのですが、タイムライン、Batch、リールを結びつけるコンテキストベースのワークフローがあります。今回のリリースではワークフローが更に効率的に使えるようになっています。というのは色々なツール間の使い分けとかをアーティストの人たちが使いやすいように順番とか組み合わせができるようになっています。

また、SHOTGUNのワークフローとFlameとの連携できるようになっています。他のアプリケーションやファイル交換用のフォーマットに送ったり、レビューや承認用にコンテンツを共有したりが簡単な操作で可能になっています。

他にもパフォーマンスに付いても色々なところで向上を図っていて、プロキシの処理についてもレンダリング、エクスポートなどは高速化を図りスムーズな作業が行えるようになっています。リリースは4月16日です。

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新しいLightboxとMatchbox Actionツールが搭載されたAutodesk Flame Premium。GPUのGLSLシェーダーによる高速処理にも対応

Schioler氏:3ds Maxは新たにMAXクリエーショングラフという機能を搭載しています。これはクリエイターが自身で使いやすいようにカスタマイズできるもので、新たなツールを作り出すことができるものです。これはユーザーコミュニティでユーザー同士が融通しあうこともできます。ビジュアルのノードツリーで視覚的に作ることができますので、クリエイターの人たちはスクリプトとか難しいことをしなくても自身で必要なツールを作ることができるのです。昔のMAXスクリプトのように社内や社外の人たちとこうして作ったツールを共有することができるのです。具体的な使い方についてはWebサイトに掲載していますので見てください。

Mayaはアニメーションが高速になったことと協業がやりやすくなっています。特に強調していっておきたいことにBifrostという液体シミュレーションがあります。泡などの描画が非常に緻密に行えるのです。液体効果をシミュレーションするプロシージャエンジンBifrostの機能拡張を行いカメラに近い場所では高解像度のシミュレーションを作成し、他の領域では泡のパーティクルの計算を軽減することにより、シミュレーション時間を短縮しています。

液体シミュレーションは物理的に正確な演算をするのですが、アーティストにしてみるとよりそれらしく見せるためにシズル感とか様々な味付けをします。ガイド付きシミュレーションワークフローはキャッシュされたシミュレーションまたはアニメートされたメッシュオブジェクトを使用して、液体の動作を操作することができます。例えば水面が波打っている様子をアニメーションとしてシミュレーションの中に取り入れるというものです。

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液体効果をシミュレーションするプロシージャエンジンBifrostの機能拡張が行われたAutodesk Maya、新たにMAXクリエーショングラフ機能が搭載されたAutodesk 3ds Max

Schioler氏:SHOTGUNは、冒頭でアーティストがつながることがテーマというお話をしましたがまさにそれを具現化するツールがSHOTGUNといえます。

昨年の夏にSHOTGUNを買収したのですが、3ヶ月ほど前にTweak SoftwareというRVというソフトを持っている会社を買収してこの2つのソフトをSHOTGUNをご購入のお客様にお使いいただけるようになりました。RVと言うのはレンダリングしたものを再生して見ることができる、いわゆるビューアーですが様々なフォーマットファイルが扱え、それらを比較したり変換したりできるものです。以前からSHOTGUNとTweak Softwareは協業していて、広く両社のソフトは使われていました。なので、2社を買収したのは必然といえます。

アーティストコネクテッドを進める上で様々なツールを使いこなすアーティストだけでなく、スーパーバイザーや作品の決定権を持つ人など様々な人達との協業が必要になりますが、それが今や世界中に散らばっていてコミュニケーションが必須となります。SHOTGUNとRVはそれを可能にするものです。例えば当社のソフト以外を使っているアーティストの方との協業や連携が必要になる場合でもスムーズに行うことができるようになります。