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展示だけではない来場者も参加できるセミナーも数多く開催
開催3日目も良い天気で、かつ土曜日ということもあり、22,216人もの来場者が訪れたそうで、比較的通路も広くゆったりしたパシフィコ横浜の会場内も息苦しいほどの混雑ぶりであった。
CP+では一般の来場者が圧倒的に多く、発売前の新製品を手に取れるコーナーのほかに、プロカメラマンによるセミナーイベントやトークショーを開催しているブースも多い。ニコンやキヤノン、リコー、富士フイルム、オリンパス、パナソニック、ソニー、カシオ計算機、シグマ、タムロン、ケンコー・トキナといった大きなブースで出展しているメーカーは必ず開催しているといって差し支えないだろう。こうしたセミナーは毎年恒例になっているが、新製品が多い今年は特に活況を呈していた。カメラやレンズを扱う大手メーカーはブース内に広いスペースを設け、新製品のアピールを盛んに行っているわけだが、直球的に製品の宣伝をするのではなく新製品の大口径レンズだとこうした写真が撮れるとか、花の写真を綺麗に撮るには新製品をどう使いこなしたら良いかといった内容のものが多く、自分がイメージしている写真を撮るためのヒントを求めて参加するという具合だ。
さて、こうしたソフト的なアピールのほか、ハード的にはレンズやカメラのカットモデルの展示も各社とも当たり前のように展示している。レンズを作っているメーカーもレンズ構成図やMTFまでも公表していたりするが、昔はこうしたレンズ構成図を見比べてこのレンズとあのレンズは同じ構成なので、描写も近いに違いないといったようなウンチクもあったが、オートフォーカスが当たり前になり、全群繰り出しによるフォーカス方法がほとんどなくなり、手ぶれ補正機能も内蔵するようになった現在ではレンズ構成から描写の傾向を探るのは難しいのではないだろうか。ズームレンズに至ってはなおさらだが、実際に使っている機材の普段見ることのできない緻密に作られた中身を見れるという部分では意味があることといえるし、その会社の技術力の高さを推し量ることはできるだろう。
すでに画像処理エンジンが様々なシーンに応じた画像処理もこなしてくれる時代だ。自分が描いたイメージを具現化する機材選択をする上で必要な技術やノウハウを見極める時代ではなくなってきたのかもしれないが、今年のセミナーの盛況ぶりを見ると、解像度的にも色域やダイナミックレンジといった面でもフィルムのそれに近づいてきた現在、ハード的にもソフト的にも表現としてのレンズやカメラ、果ては周辺機器というハードが見直されてきたように思う。
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タムロンは新製品として35mm/45mm/85mm/90mmマクロと単焦点レンズを4本出していることもあり、ポートレートと150-600mmズームレンズによる鉄道写真やネイチャー系のセミナーが多かった
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富士フイルムはトークショーで、新製品のX-Pro2を何人かの写真家が語ったり、開発者による画質設計やデザインなどの解説を行ったほか、撮影技術・方法を学べるワークショップ&セミナーを開催
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ソニーはα7S IIやα7R II、Gマスター85mmレンズを様々な分野のキーマンに語ってもらうという構成。高城剛氏も登場していたのが印象的
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オリンパスはフィルムの一眼レフカメラOMシリーズあたりから一眼レフカメライコール大きくて重たいという常識を払拭。そのころから女性ファンが多く、講師の方たちも女性が多いというのが特徴だ
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パナソニックは有名写真家から見たLUMIXの設定方法や活用法、LUMIXを使った撮影テクニックおよびLEICA開発者によるLEICAレンズ・LUMIXレンズの魅力を語るセミナーを開催
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タムロンの新SPシリーズレンズ35mmF1.8を構成パーツごとに展開。どのような機構部品でレンズが構成されているかよく分かる。一見するとどこのメーカーも同じに見えるかもしれないが、パーツの並べ方で下請けで作らせたパーツを組み立てるだけなのか、一貫して作っているのかなんとなくわかってしまう
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パナソニックの新製品の望遠ズームレンズ100-400mm。手前からカットモデル、レンズ、外装パーツ、絞りやオートフォーカスといった電装部品が並べられている。同社は他にも非球面レンズなど光学系の解説や、画像エンジンの仕組みなども紹介している
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シグマのクラフトマンシップを支える道具と部品。同社はWebでの展開もそうだが、単に技術を解説するだけでなくその裏にある製品に対する背景も語っているところが特徴的だ
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富士フイルムの新製品のデジタルカメラX-Pro2。手前には1/8000秒メカニカルシャッターや、X-Trens CMOS IIIセンサー、フィルムシミュレーションACROSを実現するX-Processor Proといった新開発のキーディバイスが並んでいる
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東芝の30cm半導体メモリーウェハ。最先端の半導体工場ではスタンダードといえるサイズがだ、その上の45cmはいくつか技術的な課題があり、実用化にはもう少し時間がかかりそう。ちなみにCP+に出展のニコンは45cm対応のステッパーの試作機をすでに出荷開始している
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ペンタックスK-1に搭載されているリアルレゾリューションシステム。上下左右方向に1画素分高精度かつ高速に移動させるキーコンポーネントとその説明
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パナソニックのカメラ修理ブース。傍らに修理票、奥には双眼顕微があったりするので、本当にここで修理をしている模様。最近こうした修理の模様を実況するのが流行りのようで、NABなどではキヤノンも行っていた
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ソニーも修理ブースを公開。といってもそれらしい道具がないので、横にあるPCでソフト的な修理を行っているか最終チェックをシミュレーションしているようだ
番外編
会場をさらに歩けば普段目に入らない珍しいもに
日本カメラ博物館ブースに展示されたソニーのマビカ。発表当時一般の新聞やテレビなどで写真のなくなる日などと騒がれた。電気カメラはここから始まった原点的な存在。現在のようなデジタルカメラの原点はカシオ計算機のQV10で、そうした一世を風靡した懐かしいカメラも出展されている
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CP+ワールドプレミアの投票場。ネスカフェとのコラボでコーヒーを無料提供。スタンプラリーなどもそうだがCP+はこうしたコラボでイベントを盛り上げるのが実にうまい
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マンフロットのノベルティのチョコレート。時期外れのバレンタインではないようで、以前も同社が扱っていたカタのロゴ(蚊取り線香のような)の入ったキャンディを配っていた。こうしたノベルティを集めるのもCP+の楽しみの一つといえよう
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