txt:石川幸宏 構成:編集部

ライカ(CW Sonderoptic)

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ライカは、同社の名機Leica Mレンズにシネマ用のギアピッチの標準値である0.8M(モジュール)ギアを配し、実際にギアを装着したムービー撮影向けのレンズM 0.8 LENSESを5本発表した。ライカMマウントのスチル用レンズにシネマカメラ標準の0.8Mギアを装着したもの。さらにマウントアダプターでライカSL(Lマウント)や、ソニーのEマウント、FZマウントへの変換も可能。今回発表したレンズと販売予定価格は以下の通り。

  • Leica M 0.8 Summilux 21mm f/1.4(€7,500:約87万円)
  • Leica M 0.8 Summilux 24mm f/1.4(€7,400:約85万円)
  • Leica M 0.8 Summilux 28mm f/1.4(€5,900:約68万円)
  • Leica M 0.8 Summilux 35mm f/1.4(€5,300:約61万円)
  • Leica M 0.8 Noctilux 50mm f/0.95(€12,000:約138万円)
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CW Sonderopticはライカグループのシネマレンズ専門部隊。NABでもCW Sonderopticの本社もライカの本社があるWetzlar(ヴィッラー)市内のLeitz-Park(ライツパーク)内にある。日本国内ではSummilux-Cシリーズと同じく三友が販売。

アンジェニュー EZシリーズ

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アンジェニューからは、マウント側の後玉レンズを交換することで、スーパー35mmとフルフレーム/ビスタビジョンのどちらのフォーマットにも対応可能な新システムを搭載した、ズームレンズシリーズ「Angenieux Type EZシリーズ」2本が発表された。

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ユニークなのは、後玉レンズ交換方式の技術(Interchangeable Rear Optics IRO technology)を採用したことで、スーパー35mmのイメージサークル(最大30mm)とフルフレーム/ビスタビジョンフォーマット(最大46mm)に1本のレンズで自在に変更できることだ。簡単な道具のみでユーザー自身が10分ほどで交換が可能だという。

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Type EZ-1は、ズーム比3倍の標準ズームレンズ。スーパー35mmフォーマットのカメラと組み合わせた際、焦点距離は30-90mm、開放値F1.9/T2。後玉群を交換することでレンズは対角46mmのイメージサークルをカバーし、45-135mm/T3となる(45-135mm F2.8/T3)。Type EZ-2は、ズーム比2.7倍の広角ズームレンズでスーパー35mmでは、焦点距離15-40mm、開放値F1.9/T2。後玉交換でフルフレームの場合、22-60mm、F2.8/T3。

マウント部もPL、EF、Eマウントに対応、発売時期はEZ-1が2017年の2~3月、EZ-2が6~7月頃を予定しており、レンタル製品というよりも個人にも所有して欲しいレンズというメーカー思惑から、EZ-1が$10,500(予定価格)、EZ-2が$13,500(予定価格)とかなり手頃な値段を想定している。

また特長として、あらゆるシネマカメラや一眼カメラと連携を取れるように、このレンズには全く電子的な部分が存在せず、ガラスと金属の塊という製品なのだ。カメラが変わってもレンズは長年使えるというユーザーメリットまでも考えた、完全な光学レンズであることも最近のシネマレンズとは全く違うこだわりを感じる。

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三上泰彦氏

実はEZシリーズは、日本のアンジェニュー代表/タレスジャパン株式会社 VP CINEMA/TV BISINESS DEVELOPMENT & ASIAN OPERATION 三上泰彦氏の発案とプロデュースによるもの。同氏は元ソニーでシネマカメラ設計等に関わっていた人物でもあり、アンジェニュー社に移ってすぐ、スーパー35mmセンサーのカメラが次々と出てくる中で全てイメージサークルが異なり、さらにカメラのリプレースやトレンドの変化も激しく、スピードブースターなどの製品が出てきたことなどから、EZシリーズの仕組みを発案したという。また同レンズの設計自体は完全にフランス本社で行われたが、レンズの製造は日本国内で行われるという。

現在では、レンズ設計に関するソフトウェアも非常に良く出来ているため、基本となる数値さえ入れてしまえば何百というパターンの設計も簡単に出来てしまうが、最終的にそこからどういう結果がベストかを選び出すには、やはり人間の判断が必要となる。その何百という光学設計パターンの中からこれという逸品を選び出すセンスにおいて、やはりアンジェニュー社がこれまで培ってきた歴史ならではのセンスは抜群で、逆に日本は決まった設計を緻密かつ正確に作り上げる技術を持つ。その2つが合わさった、まさに日仏混血の秀逸なシネマレンズが誕生したようだ。

富士フイルム

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同社初となる、本格4Kムービーが撮影可能なXシリーズの最高峰カメラ「X-T2」に、4K対応のFUJINON XK6×20 20-120mm/T3.5を装着。モニターレコーダーにはATOMOS NINJA FLAMEを装備した、まさに4Kムービー撮影スタイルのX-T2が、動画系の展示会に初お目見えした。

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X-T2では誰もが気になっている、過去の富士フイルムの名フィルムルックを再現する“フィルムシュミレーション機能”について、やはり海外の多くのカメラファンからも注目されており、ブースも1台のみの地味な展示だったにも関わらず、見入る客が絶えなかったようだ。

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ソニー

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ソニーからも、α7SやFS7、FS5のユーザー向けに新たに18-110mm F4のズームレンズが出展された。FS7発表時に同時発表された28-135mmレンズとほぼ同形、同デザインで、フライ・バイ・ワイヤ方式のフォーカスシステムを採用しマニュアルフォーカスにも対応している。また、ズームリングの回転方向も、下部のスイッチにより簡単に逆回転に変更も可能。IBC2016では今年12月の発売予定と発表しているが、日本における製品内容、発売時期についての詳細は未確定。

txt:石川幸宏 構成:編集部


Vol.02 [IBC 2016] Vol.04