2018年はハンドヘルド型カメラの当たり年
2017年は、「URSA mini Pro 4.6K」「EOS C200」「AU-EVA1」「VENICE」などのシネマカメラが一斉に登場した。振り返ってみると「シネマカメラの当たり年」だった年といえるだろう。2018年は一変して、ハンドヘルド型カメラの当たり年といえそうだ。
その筆頭に挙げられるのが業務用4Kビデオカメラのフラグシップ機「XF705」だ。今年の頭にXF305が終了になり、ようやく4K化の最上位が登場した形だ。最大の特長は、4K UHD 60pのYCC4:2:2 10bitがSDカードに記録できるところだ。
ソニーもハンドヘルド型カメラを投入してきた。PXW-Z280とZ190は4K60p収録対応のCMOSイメージセンサーExmor Rを3板式で搭載。インスタントHDRワークフローに対応し、顔検出AF機能を搭載している。
JVCケンウッドは、CONNECTED CAMの第二弾となるGY-HC550とGY-HC500を発表。1型CMOSセンサーと4K20倍レンズの搭載や、ProRes 422の4K/60p記録が可能で、双方向のライブストリーミング機能を搭載している。
左からキヤノンXF705、ソニーPXW-Z280、JVCケンウッドGY-HC550
キヤノンやニコンからフルサイズミラーレスが登場
2018年はフルサイズミラーレス元年とも呼べる年になった。キヤノンは「EOS R」、ニコンは「Z 6」「Z 7」、パナソニックは「LUMIX S1R」「LUMIX S1」のフルサイズミラーレスカメラを発表。EOS RやZ 6、Z 7の動画撮影は4K30pと物足りなさを感じるが、パナソニックのLUMIX S1シリーズは4K60pに対応予定。発売が楽しみだ。
フルサイズミラーレスカメラではないが、スチルカメラからビデオカメラに一矢報いたのが富士フイルムの「XT-3」だ。特長は4K/60p 4:2:0 10bitのカメラ内SDカード記録と4K/60p 4:2:2 10bitHDMI出力に対応しているところだ。スチルカメラの動画機能はGH5シリーズだけが飛び抜けている状態が続いているが、その動画機能に迫る動画性能を持っているといえるだろう。
左からキヤノンEOS R、ニコンZ 7、富士フイルムXT-3
ARRIやREDから新製品がシネマカメラの新製品が登場
2018年はソニーやパナソニック、キヤノンからシネマカメラの新製品はなかったが、海外のシネマカメラメーカーの新製品は多かった。
ALEXA LFカメラは、35mmフルサイズよりわずかに大きな36.7×25.54mmのサイズのセンサーを搭載。ネイティブ4Kの解像度で収録できるようになったところが大きい。ピクセルサイズを維持する「LFオープンゲートモード」では4,448×3,096の撮影が可能。
GEMINI 5K S35は、30.72x18mm、15.4メガピクセルのデュアルセンシティビティモードを搭載。ISO800と3200の2つの感度に対応することで明るい照明から暗い環境での暗い照明まで対応できる。
左から、ARRI ALEXA LF、RED Digital Cinema DSMC2 GEMINI 5K S35
PRONEWS AWARD 2018 カメラ部門ノミネート製品
以下がカメラ部門のノミネート製品となる。
- Blackmagic Design 4Kデジタルフィルムカメラ「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」
- キヤノン 業務用4Kビデオカメラ「XF705」
- キヤノン ミラーレスカメラ「EOS R」
- キヤノン CINEMA EOS SYSTEM「EOS C700 FF」
- ソニー XDCAMメモリーカムコーダー「PXW-Z280/Z190」
- ソニー ミラーレスデジタルカメラ「α7 III」
- JVC 4Kメモリーカードカメラレコーダー「GY-HC550/GY-HC500」
- JVC HDメモリーカードカメラレコーダー「GY-HC900」
- ARRI ラージフォーマットカメラシステム「ALEXA LF」
- Panavision「Millennium DXL2 8K camera」
- RED Digital Cinema「DSMC2 GEMINI 5K S35」
- Kinefinity 6Kシネマカメラ「MAVO」
- パナソニック LUMIX「DC-GH5S」
- 富士フイルム ミラーレスデジタルカメラ「X-T3」
- ニコンイメージングジャパン フルサイズミラーレスカメラ「Z 7」
- GoPro「HERO7 Black」
何が受賞するのか…?発表!?
PRONEWS AWARD 2018 カメラ部門受賞製品発表
- カメラ部門
ゴールド賞 - Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K
Blackmagic Design
ゴールド賞は映像業界にもっとも話題を巻き起こしたハンドヘルド4Kハンドヘルド4Kカメラ「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」だ。魅力は価格とスペックだ。4K60pのRAWとProRes撮影が可能。HDであれば120pまで対応している。しかもダイナミックレンジは13STOPと充実しており、これで税別147,800円というのは驚きだ。
今回始めてデュアルISOに対応しており、標準ISOは400と3200の2つを搭載している。1000から下のISOの基準が400。1250から上の基準が3200となる。例えば、ISO2000で撮影すると3200の感度を自動的に使う仕様になっている。感度ISO3200ほどの高さがあれば、暗い場所でも地明りで撮るといった使い方も増やせそうだ。
また、実際に使ってみて便利なのが、5インチのタッチディスプレイだ。背面液晶が見やすくて疲れないし、タッチス操作の反応もスムーズ。スマートフォン感覚で使える。このあたりはディスプレイが見にくかった初代Pocket Cinema Cameraのディスプレイとは雲泥の差といっていいだろう。
最後、このお値段で税別33,980円のDaVinci Resolve Studioが含まれているのもポイントだ。
- カメラ部門
シルバー賞 - DC-GH5S
パナソニック
シルバー賞はGH5Sだ。受光部の高感度性能を高めるためにあえて10Mというセンサーを採用。また、デュアルネイティブISOテクノロジーにより、最高ISO感度は従来機(GH5)のISO25600からISO51200へと向上。拡張ISO感度は最高ISO204800まで拡大している。常用はISO6400までいけるので、表現の幅はかなり広がりそうだ。
そのほかにも、Cinema4K(4096×2160)でも、高解像と高フレームレートを両立した4K/60p記録を実現。従来のLUMIX GH1/GH2に搭載されていたマルチアスペクトに対応。イメージサークルよりも大きく設計されたイメージセンサーをクロップレスでフレーム読み出しが可能。バリアブルフレームレートは、240pを実現しているのもポイントだ。