優れた機能を手頃な価格で実現したBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K

毎年大晦日の恒例、いよいよPRONEWS AWARDの発表。

少し前までは4K60Pで撮りたいと思っても、それが実現可能なカメラはまだ高額と思われていた。そこに、パナソニックのGH5シリーズや富士フイルムのX-T3などのミラーレス一眼の登場で少しずつ門戸は開かれてきた。もちろんPRONEWS定番のキヤノンのCINEMA EOS C200シリーズやパナソニックのAU-EVA1、ソニーのFS7 IIなどのミドルクラスのシネマカメラや機動性の高い4Kのカムコーダーは、主流と言える。

そんな状況に風穴を開けたのが、今回の大賞に挙げたBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kだ。

大賞
4Kデジタルフィルムカメラ「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」

Blackmagic Design

Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K は、ワンマン撮影が多いカメラマンを中心に今年もっとも話題になった製品だ。

解像度とフレームレートは4K DCI 60P、HD 120P、コーデックは10bit ProResと12bit RAWに対応。400と3200のデュアルゲインISOで厳しい条件にも対応可能な最大ISO25600、USB-Cスティックへの直接収録をサポート。これでいて価格は税別147,800円。ほぼすべての点で、今年発売された製品の中で最高の製品といっていいだろう。

サードパーティーメーカーもBMPCC 4Kを盛り上げている。SmallrigやTiltaからはケージを発売し、サムスンなどはBMPCC 4KにマッチするUSB 3.1 Gen 2 Type-C外付けSSDなど面白い製品が揃っている。

今後のアップデートでBlackmagic RAWにも対応する予定がある。利用可能になれば、Pocket Cinema Camera 4Kの価値はさらに高まるのは間違いない。

Blackmagic Designは、自社のモニタリングやスイッチャーなどのハードウェアとDaVinci Resolveソフトウェアで業界を支配しつつあるが、今後シネマカメラでも業界をリードするのでは?そんな期待を抱かせてくれる製品だ。

2019年の展望

2018年のシネマカメラとレンズは、ラージフォーマットに続々と対応。放送用レンズは、4K/8K対応の新製品が活気づいていた年だった。特にシネマカメラ関連はラージフォーマットに対する商品展開は目覚ましいものがあった。ソニーの「VENICE」、ARRIのラージフォーマットカメラシステム「ALEXA LF」、キヤノンの5.9Kフルサイズセンサーを搭載した「EOS C700 FF」など、各社からラージフォーマットの口火を切るモルが登場。映画、ドラマ、CMの撮影現場でパフォーマンスを発揮しつつある。

まだ世の中は完パケで4Kですら求められる場面は限られていると思うが、それでも2019年の注目は「8K」だろう。国内では2018年12月1日から、4K放送・8K放送である「新4K8K衛星放送」が開始され、世界のディスプレイ市場では8Kが急激に浸透することが見込まれている。今年のInterBEE 2018でもパナソニックの8Kセンサー搭載カメラを始め、各社8Kソリューションの展示は確実に増えていた。

実際に8K映像制作は、深刻なポストプロダクションのパフォーマンス不足が問題になりそうだ。Adobe Premiere ProやBlackmagicのDaVinci Resolveなどツールは、GPUなどを使ったさらなるパフォーマンスアップを期待したいところだ。8Kの非圧縮伝送に12G-SDIケーブルが4本必要というインターフェイスの課題は、フルスペック8K映像信号を1本のケーブルで伝送できるU-SDIケーブルに落ち着いていきそうだ。

来年はどのような製品が登場し注目されるのだろうか?楽しみである。来年を予想しつつ、2018年のPRONEWSを締めたいと思う。

PRONEWS 編集部


Vol.05 [PRONEWS AWARD 2018] Vol.00