ラージフォーマット対応の新製品がぞくぞくと登場

■老舗のレンズメーカーからラージフォーマット対応の新ラインナップ登場

昨年から今年にかけてVENICE、DSMC2 MONSTRO 8K VV、ALEXA LFなどのラージフォーマットシネマカメラが各社から登場。その動向に合わせて、ツァイスやARRIからラージフォーマット対応のレンズシリーズが登場した。

ツァイスはハイエンドシネレンズシリーズ「Supreme Prime」を発表。イメージサークルは46.2mmで、昨今登場したラージフォーマットカメラに対応。今後の10年、業界の第一線で活躍できる位置づけとしている。焦点距離は15mmから200mmの13本で、テレ端とワイド端以外のT値は1.5。近距離から遠距離まで、幅広い撮影シーンで絞りを選べる。

ARRIは、ALEXA LFの発表に合わせて新システムに対応した新しいレンズ「Signature Prime」を発表。ALEXA LFと同時に開発されたLPLマウント対応の短焦点レンズシリーズで、12mmから280mmまでの16本がラインナップされている。自然なスキントーンとクリーミーといった独特なボケ感を特長としており、レンズの鏡胴の部分にマグネシウムの素材を採用することで軽量に作られている。

左からツァイスはラージフォーマット対応の「Supreme Prime」、ARRIの「Signature Prime」

■国産レンズメーカーのシネマレンズも追従

国産のシネレンズも負けていない。

Tokinaは、46.7mmの大きなイメージサークルをもつ「VISTA」シリーズを発売を開始。特長はARRIのSignature PrimeのT1.8よりも明るいT1.5を実現しているところだ。しかも、通常のシネマレンズはワイド端やテレ端はT値が高くなるが、VISTAは18mmでもT1.5を実現。ブリージングも極限まで抑えている。これらの実現するための、ゼロから独自設計で作られているというこだわりをもったレンズシリーズだ。

キヤノンは、プライムレンズのラインナップ14mm、24mm、35mm、50mm、85mm、135mmの6本に「CN-E20mm T1.5 L F」を新たに投入。4Kの画質で、T値は1.5と明るく、フルフレーム対応を特長とする。VENICEやARRIなどはマウントアダプターを使うことによって使用可能。奇数枚の11枚の絞り羽を使用しており、絞りの形がきれいにだせるようになっている。

シグマはIBC 2018で「28mm T1.5 FF」「40mm T1.5 FF」「105mm T1.5 FF」の3本を発表。プライムレンズのラインナップは、14mmから135mmまでの10本となる。

左から、Tokinaの「VISTA」シリーズ、シグマの「28mm T1.5 FF」「40mm T1.5 FF」「105mm T1.5 FF」、キヤノンの「CN-E20mm T1.5 L F」

PRONEWS AWARD 2018 レンズ部門ノミネート製品

以下がレンズ部門のノミネート製品となる。

  • カールツァイス「Supreme Prime」シリーズ
  • シグマ SIGMA CINE LENS「28mm T1.5 FF/40mm T1.5 FF/105mm T1.5 FF」
  • ARRI「Signature Prime」シリーズ
  • Tokina「VISTA」シリーズ
  • キヤノン「CN-E20mm T1.5 L F」
  • キヤノン「CJ24e×7.5B」「CJ14e×4.3B」「CJ18e×7.6B」シリーズ
  • キヤノン「CJ45e×9.7B」「CJ45e×13.6B」
  • 富士フイルム「MKX18-55mmT2.9」「MKX50-135mmT2.9」
  • 富士フイルム「FUJINON UA46×9.5BERD」「UA46×13.5BERD」

何が受賞するのか…?発表は!?

PRONEWS AWARD 2018 レンズ部門受賞製品発表

カメラ部門
ゴールド賞
Supreme Prime

カールツァイス

ゴールド賞はSupreme Prime。カールツァイスは数々のアイコニックなシネマレンズを作り出してきたメーカーだが、そのツァイスがラージフォーマット、大判4K、ハイスピードといったスペックを盛り込んだレンズを実現したのがSupreme Primeだ。

受賞理由は、1.5のT値を達成しながら前枠は95mmと非常にコンパクトにできているところだ。また、重量も平均して1.6キロ以下というのもポイントとなった。エントリークラスのCP.3シリーズよりもちょっと重い程度で、それでかつラージフォーマット対応、ハイスピードを実現するのは相当な苦労があったと思われる。

また、フォーカスのトルクは全焦点距離で同じようになっており、非力なフォーカスモーターを使ったときにでもきんとフォーカスが送れるのも特長。レンズを交換したときも、トルクが変わらないようになっている。CPシリーズではラインナップされていない65mmや150mmなどの従来シネの世界で親しまれていた焦点距離を拡充しているのもポイントだ。

レンズ部門
シルバー賞
28mm T1.5 FF/40mm T1.5 FF/105mm T1.5 FF

シグマ

シルバー賞はIBC 2018で発表されたシグマのシネレンズの新製品、28mm T1.5、40mm T1.5、105mm T1.5を3製品を選んだ。

これまでのスチル用交換レンズの光学系を使ったシネマレンズは、40mmのようなシネマ業界定番の焦点距離をラインナップできてなかった。シグマは、撮影監督が求めている焦点距離を前提に開発をスタートさせて、今回の40mmを実現。このシグマのシネマに対する真剣な取り組みが、最大の受賞理由だ。

また、40mm T1.5はスペックの高さも見逃せない。標準焦点距離域ながらも105mm T1.5とほぼ同じ12群16枚で、そのうちの7枚はFLDガラスまたはSLDガラス、非球面レンズと贅沢な構成となっている。MTFチャートを見てもわかるが、非常に優れたスペックを実現しているところもポイントとなった。

米国のシグマは、2018年11月に米国のカリフォルニア州バーバンクにサポートやシネレンズをテストショットできる事務所を開設。さらには、2019年からレンズマウントに、ARRIのLPLマウントが追加される。シグマのハリウッドでの動向にも注目だ。


Vol.01[PRONEWS AWARD 2018] Vol.03