CP+会期中の2月28日と3月1日の2日間、パシフィコ横浜の会議センター3階ではプロ向け動画エリアが設けられ、主に動画撮影に必要なカメラやレンズ、撮影機材などのメーカー14社が出展した。

当初はCP+と同じ会場で行われていたが、手狭になったこともあり2日間という会期で別会場で開催されている。出展しているメーカーはInterBEEなどでお馴染みのメーカーがほとんどだが、撮影関連の機材が中心となっており的が絞られている分見やすい構成となっているのが特徴といえるだろう。

ソニー

ソニーはラージセンサー搭載のXDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS7 IIや4K60PハンディカムコーダーPXW-Z190、NXCAMメモリーカムコーダーPXW-Z90、フルサイズミラーレスカメラα7 III、レンズなどを出展。

XDCAMメモリーカムコーダーPXW-FS7 IIや、4K60PハンディカムコーダーPXW-Z190、NXCAMメモリーカムコーダーPXW-Z90、フルサイズミラーレスカメラα7 III、レンズを展示

α7R IIIは1月にファームウェアのアップデートが発表され、リアルタイム瞳AFやリアルトラッキングなどの機能が向上。AFの精度・速度が向上し、被写体の手前を何かが横切った場合や、絞り値を大きく設定した撮影時でも、スムーズでふらつきの少ないピント合わせが可能となっている。静止画だけでなく動画撮影におけるAFの機能とスピードが向上した

FE12-24mmF4およびFE24-105mmF4レンズが装着されたα7R IIIとα7S II。アップデートにより動画撮影時のAFの精度と速度が向上した

被写界深度を自在にコントロールするソニー独自の電子式可変NDフィルターを搭載したPXW-FS7 II

PXW-Z190は3板式で光学25倍ズームを搭載しているほか、顔検出AFやインスタントHDR機能などを搭載

パナソニック

パナソニックは2月に発売となったばりの4K60P 10bit対応のフラッグシップモデルAG-CX350や、1月にアップデートされHEVCコーデックにおける4K/60P 10bit記録モードに対応したAU-EVA1などを出展。

光学20倍レンズと1.0ラージセンサーを搭載したフラッグシップモデルAG-CX350。HEVC・LongGOP/10ビット4:2:0/MOVに対応した新コーデックを搭載しており、ノートPC上でもスムーズな再生が可能なほか、HLGガンマモードを搭載しておりHDR収録が可能。レンズはワイド側24,5mmからの20倍光学ズームを搭載しており、iズームによりHD時32倍、UHD時24倍まで解像度を保ったままでテレ端からシームレスなズームアップが可能。さらに2/5/10倍のデジタルズームも搭載している

屋外でも視認性の高い高輝度・高精細LCDを搭載。UHDでは1fps~60fpsの可変フレームレート(VFR)記録が可能。FHDでは最大120fpsによりスーパースローを実現。いずれも高画質の10ビット映像であり、高フレームレート時でも画像エリアのクロップがないフルフレーム映像が得られるとしている

SDI・HDMI同時出力にも対応。また、1.9kgとこのクラスのカメラとしては軽量かつコンパクトなデザインとなっている。UHD収録時1fps~60fpsの可変フレームレート記録が可能なほか、FHDでは最大120fpsによりスーパースローを実現。いずれも10ビット対応で、高フレームレート時でも画像エリアのクロップがないフルフレーム映像が得られる

AU-EVA1は1月にアップデートされ、HEVCコーデックにおける4K/60P 10bit記録モードの追加や、EVA-LIVE IPコントロールに対応した。また、再生映像の静止画キャプチャ機能やHLG記録・再生時、SDRに変換出力する機能が追加され、LCD/SDI/HDMI各出力を個別に変換可能となった

ニコン

ニコンは4Kライブ配信のソリューションを参考出展したほか、Zマウントを搭載したフルサイズミラーレスカメラZ 7/Z 6などを出展。ミラーレスカメラZシリーズはファームウェアのアップデートが予告されており12bit RAW動画HDMI出力やCFexpressメモリーカードへの対応のほか、AF・AE性能が向上が発表されている。

ブースではいち早くこうした新機能を搭載したZ 7/Z 6のほか、同カメラを使用してデジタルシネマ対応としたシステムやジンバルと組み合わせた撮影システムなどが出展された。

JAXAが行ったH3固体ロケットブースター燃焼試験で使用した4Kライブ配信のソリューションシステム。配信・スイッチングには独自改造されたLivestream Studioを使用しており、カメラはゲームコントローラーで操作できるようになっている

固体ロケットブースターエンジン燃焼試験で使用されたシステムで撮影された映像はYouTubeで公開された

カメラコントロール用のアドインソフトは独自開発されたもの

フルサイズミラーレスカメラZシリーズとATOMOS NINJA Vを組み合わせた、ProRes RAWの収録に対応したデジタルシネマ仕様の撮影システム。Vマウントバッテリーからカメラやフォローフォーカスのほかモニターにも電源供給が可能

富士フイルム

富士フイルムは4:2:0 10bitで4K60P収録に対応したデジタル一眼レフカメラやデジタルシネマ用レンズMKXシネマレンズなどを出展。デジタルシネマ用のX-T3は2月にファームウェアのアップデートが公開され、従来4GBを超える動画ファイルが分割して記録されていたものが、32GB以上のメモリーカードを使用した場合ファイルサイズが4GBを超えても1つの動画ファイルとして記録可能になった。

シネレンズMKXシリーズのMKX18-55mmT2.9やMKX50-135mmT2.9。ブリージングのないフォーカスシングが可能なほか、コンパクトかつ軽量

デジタル一眼レフカメラX-T3は4K/60P 4:2:2 10bitのHDMI出力と4K/60P 4:2:0 10bitのカメラ内SDカード記録に対応しており、H.264/MPEG-4 AVCまたはH.265/HEVCでの記録が可能で、4K/60P 4:2:0 10bit映像を200Mbpsの高ビットレートで収録できる。また今回のファームウェアアップデートにより、4GBを超えても1つの動画ファイルとして記録可能になった

ローランド

ローランドは1月に発表されたライブストリーミング用ビデオ&オーディオ・ミキサーVR-1HDや、昨年12月発売の小型ビデオミキサーV-02HD、収録・配信で使いやすいコンパクト・スイッチャーV-1HD、V-1SDIなどを出展した。

VR-1HDはビデオスイッチャーとオーディオミキサーが一体となったVRシリーズのエントリーモデル。映像と音声をシンプルな操作で配信することが可能なので、音楽ライブやトーク番組、イベント、ネット会議、塾やスクールなどインターネットを使ったWEBオンライン学習のシステムといった法人用途のほか、ご自宅やスタジオで生放送する個人ユースとしても使用できるモデル。

VR-1HDは簡単操作で学校放送やイベントのほかYouTuber、ポッドキャストなどでも利用可能。ソニーのアクションカメラRX0と組み合わせてデモが行われていたが、HDMI接続により通常のカメラやPCのほか、ゲーム機なども接続可能。スケーラーを搭載した3チャンネルの入力をマニュアルで切替可能なほか、自動モードも備えている。音声入力3系統のうち1つはバネル面に装備されており、ブースではフレキシブルマイクが装着されていた

V-02HDは2チャンネルの小型スイッチャーでシステムプログラムVer1.10公開により、iPadからのコントロールに対応したほか、対応解像度やフレームレートの拡張、オーディオディレイ、Transformerスイッチの機能拡張など追加された

V-02HDはLightning端子をUSBに変換するケーブルで接続することでCP+初日に公開されたiPadアプリでコントロールしていた

カールツァイス

カールツァイスはCompact Prime CP.3シリーズをはじめ、35mm判ミラーレスカメラ用マニュアルフォーカスレンズZEISS Loxiaや、ZEISS Milvusのほか、ドキュメンタリーに最適なスーパー35mm判シネズームLightweight Zoom LWZ.3などを出展した。

動画撮影用にセットされたZEISS Loxia、ZEISS Milvus、ZEISSコンパクトプライムCPなど

ZEISS Milvusはデジタル撮像素子に最適化されたレンズで、一眼レフ用の単焦点マニュアルフォーカス交換レンズとして15-135mmまで11本がラインナップされている。シリーズ全体で均一化された光学性能を有しており、スチルをはじめ動画撮影にも最適

ティアック

ティアックはUSBオーディオインターフェース対応ステレオオーディオレコーダーDR-Xシリーズや、HDMI同期が可能なレコーダーDR-701D、コンパクトで手軽に高音質収録ができるオーディオレコーダーDR-10シリーズなど、動画撮影に最適なオーディオレコーダーを出展した。

2月に発売されたDR-XシリーズはDR-05X、DR-07X、DR-40Xの3機種で2イン/2アウトのUSBオーディオインターフェース機能を装備しており、インターネット配信やポッドキャストを手軽に収録可能。また高音質ステレオマイク搭載のUSBマイクとしても機能するほか、iPhoneなどのiOS機器のインターフェースとしても使用可能。

ティアックUSBオーディオインターフェース搭載ステレオオーディオレコーダーDR-Xシリーズ。いずれの機種も96kHz/24bitのハイレゾレコーディングに対応しているほか、1回のUndoが可能なカセットライクに録音できるオーバーライト(上書き)録音機能を備えている。また、DR-07XおよびDR-40XはA/BおよびX/Y方式の切り替えが可能なステレオコンデンサーマイクを搭載し、DR-07XおよびDR-05Xはプラグインパワー対応外部ステレオマイク機能を備えたステレオミニMIC/EXT IN端子を搭載している。なお、デュアルレベルレコーディング、非破壊オーバーダビングなど様々な機能が活用可能な4トラックモードはDR-40Xのみ搭載している

ティアックショットガンマイク搭載カメラ用オーディオレコーダーDR-10SG。デジタル一眼レフカメラでの動画撮影時に使用することで、動画の音声をより高音質にすることが可能。シーンに合わせて使い分けが可能な4つのEQプリセットを搭載しているほか、コンパクトボディと簡単操作を特徴としている

ティアックカメラ用リニアPCMレコーダー/ミキサーDR-701D。ステレオ内蔵マイクと4つのXLR入力と6トラックリニアPCMレコーダーを搭載しているほか、HDMIコネクター搭載で映像とクロック同期、録音開始/停止動作の同期が可能。タイムコード入力対応で録音ファイルに時間情報を記録をすることも可能

ピンマイクレコーダーDR-10Lやインタビューマイク用マイクロレコーダーDR-10X、マイクロリニアPCMレコーダーDR-10CS、ワイヤレスマイクシステム対応レコーダーDR-10CHなど

RAID

RAIDはフルフレーム8K収録に対応したRED Digital Cinema社のデジタルシネマカメラMONSTRO 8K VVや、ホログラフィックディスプレイ搭載スマートフォンHydrogen Oneを展示。

REDの最上位モデルで8K収録が可能なフルフレームシネマカメラMONSTRO 8K VV。レンズはコンパクトなフルフレーム対応シネレンズ・Celere HSレンズ。HSはハイスピードの略で、「ハイスピードレンズ」とは開放T値の数値が低い大口径レンズのこと。そのネーミングは光量を多く取り込めて、速いシャッタースピードで撮影できることに由来する。50mmの他、25、36、85mmをラインナップし、T1.5、前径85mm、重量1.05kgで統一されている。マウントはPLとEFのハイブリッド仕様

ホログラフィックディスプレイ搭載スマートフォンHydrogen One。昨年11月に発売された5.7型2K/WQHDディスプレイを搭載した裸眼3D視聴対応対応スマートフォン。モジュール式のカメラ部分を搭載しているほか、Hydrogen Networkアプリにより3D対応のコンテンツの視聴も可能なほか、Red Leia Loftアプリでゲームも可能

独bebob社のVMICROシリーズVマウントバッテリーV45MICRO。この他にも容量の大きなV98MICRO、V150MICROがあり、43W、98W、150Wの3種類がラインナップされている。バッテリーにはLED表示の残量計やツイストDタップ出力および5VUSB出力機能、フラッシュライト機能を搭載している

Bebob EngineeringホットスワップML-120。バッテリー交換時にカメラの電源を切らずに交換できるようにするアダプターで約120秒間電源を保持することが可能。バッテリーの残量がなくなるとアラーム警告され約120秒電源を保持し、その間にバッテリーを交換することで、カメラの電源を切らずに連続して撮影ができる

KPI

ケンコープロフェショナルイメージングはシネマ用レンズTokina CINEMAレンズや撮影用LED照明DEDOLIGHT、HIVE、MISONICSのほか、スタビライザーのGLIDECAMやカメラ用/照明用バッテリーFXLIONなどを出展した。

トキナーデジタルシネマワイドズームレンズTX 11-20mm F2.9。Super35をカバーするワイドズームでPLおよびキヤノンEF、ソニーE、マイクロフォーサーズ、ニコンFマウントに対応可能

カメラ用/照明用バッテリーFXLION 620WH MEGA BATTERY。48V、28V、15VおよびUSBにも対応したリチウムイオンバッテリーで、28V出力で最大40Aまで対応可能。-30℃の環境温度にも対応しており、マルチ出力対応で照明やムービーカメラ、ビデオカメラなど様々な撮影機材に対応する

撮影用小型LED照明MISONICS社mini10 a/mini20d。照度は1008lux(60cm)で0-100%。調光可能なほか、色温度も2700-7200Kの範囲で可変できる。電源は3,300mAの交換可能な大容量バッテリーを内蔵しており、MicroUSB端子経由で充電できるほか7-24V外部入力での使用も可能

三友

三友はLeitz社のデジタルシネマレンズTHALIAおよびSUMMICRON-Cのほか、Samsung社のポータブルSSD T5、DJIのカメラスタビライザー、Blackmagic Designのシネマカメラ、VRカメラシステムを中心とした製品展示となった。

Leitz社のTHALIAプライムレンズは、スーパー35からアレクサ65までカバーした大判単焦点レンズで、24mm/30mm/35mm/45mm/55mm/70mm/100mm/120mm/180mmがラインナップされている。35mmフルサイズを遥かに超える60mmのイメージサイズをカバーしており、ARRI ALEXA 65のようなカメラでも使用できる数少ないデジタルシネマ用のプライムレンズとなっている。ブースではこうしたレンズのほか、KANDAO社の3DカメラシステムObsidianやQooCamによる3D撮影のデモが行われていた。

Leitz社のデジタルシネマプライムレンズTHALIAのラインナップは24mmから180mmまでの9本があり、ビンテージレンズでは無いものの古くからのフィルムカメラで撮影したような温かみのある柔らかい描写が特徴となっている

Leitz社のデジタルシネマプライムレンズSUMMICRON-Cは15mm、18mm、21mm、25mm、29mm、35mm、40mm、50mm、75mm、100mm、135mmの11本がラインナップされておりフルサイズのイメージサイズをクリアしているほか、アイリスは全機種T2.0に統一されている

SamsungのポータブルSSD T5とX5を展示。T5はV-NANDフラッシュメモリーとUSB 3.1 Gen2インターフェースを搭載しており、最大540MB/sの転送速度を実現。専用ソフトによりデータの暗号化も可能。X5はThunderbolt 3を搭載しており、読み出し2,800MB/秒、書き込み2,300MB/秒の転送速度となっている。X5はオプションでAES 256ビットの暗号化によるパスワード保護に対応

T5をBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K(以下:BMPCC 4K)に取り付けるキットを付属したモデル(1TB/2TB)を展示。BMPCC 4KにはUSB Type-C(USB-C)拡張ポートが搭載されており、T5を付属のUSB Type-C to Cケーブルと接続して、撮影データを収録可能。キットはカメラ外部に取り付けるため、収録に支障がないようにT5本体をカメラに固定できる取付キット(T5用ホルダー、ボールヘッド、オスオス止めネジ)となっている